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GパニックⅡ

この世で一番苦手なものは?と問われれば俺は間違いなくこう答えるだろう、『G』と。

"ゴキ〇リ"という名称すら口にするのもおぞましい、黒光りし高速移動するその生物が俺は大の苦手だ。別に虫全般が苦手な訳ではない。至って普通に触れることが出来るし、もちろん部屋に入って来ても何ら臆することなく手掴みで外に逃がすことが出来る______が、その侵入者が『G』となると話は別だ。


「ご主人さま!!洗面所の棚から殺虫スプレー持ってきたのです!」


「でかした!悪霊!お前が取りに行っている間ずっとこの廊下を見張っていたが、『G』は姿を見せなかった・・・つまり、奴は今、確実にリビングに潜伏しているっ・・・・いいな!?」


「りょ、りょうかいなのです!!」


対『G』戦において重要なこと、それは決して見失わないこと。もし姿を消しても、確実に潜伏しているであろう範囲を絞ることだ。見失えば最後、奴の存在に怯えながら日常生活を送ることとなる。それは絶対に避けなければならない。


「よし、まずはリビングへと前進するぞ・・・!!いいか?常に周囲を警戒するんだぞ?」


緊張した様子でこくりと頷く悪霊


ギィ______

ゆっくりとリビングへと続く扉を開ける


「・・・どしたの?二人そろってそんなビクビクして。それよりお腹空いたー!お昼ご飯にしよーよ!」


リビングには、何も事情を知らない幽霊の姿が。こたつの片づけを命じたはずだが予想通り途中で投げ出している様子。だが、今はそんなことどうでもいい。


「・・・幽霊、ちょっと聞くが何か、その・・・見なかったか?」


「へ?ずっとリビングにいたけど何も見てないよ?ねぇ、ホントなにがあったの?二人とも、顔真っ青だよ?」


「それが・・・『奴』が出たんだよ。ゴキ〇リがっ・・・!!だからお前も捜索するの手伝って______って、ちょ、幽霊!抱き付いてくんなって!!」


最期まで言い終わらないうちに、急に幽霊がすごい勢いで俺の腰に抱き付いてきた


「ゴゴゴゴゴゴキって、あの黒い奴だよね!?ううううう嘘!!嘘だよねっ!?嘘って言ってよぉ!!」


「幽霊さんも『G』、苦手なのですね・・・わたし程じゃないですけど。」


俺の背後で、若干の呆れ顔でつぶやく悪霊

うーむ・・・もしかしたら幽霊は『G』が全く怖くなく、率先して捜索を手伝ってくれるかもしれない、という淡い期待を抱いていたのだが、そんなことはなかった。というより、この様子じゃ戦力になりそうにない。


「ま、まずは落ち着けって!そんなに密着されたらまともに動けねぇ!奴はこのリビングのどこかにいる、抹殺には悪霊と幽霊、お前の力も必要だ。」


「無理っ!ぜっったい無理だもん!!アレに立ち向かうくらいなら死んだほうがましだもん!!」


「お前既に死んでんじゃん・・・なぁ、悪霊!お前も説得してく________」


カサカサカサカサ


「ご主人さまぁぁぁぁぁ!!!足元っ!足元にいるのです!!!」


「な!?うっそだろ!?どこ!?どこ!?」


「きゃあああああああああああああああっ!!!!!!!」


逃げる悪霊、泣き叫ぶ幽霊


スゥゥ__________


「あ!お前らずるいぞ!!実体化、解きやがったな!?」


気が付けば、2人とも半透明でフワフワとその場に浮かんで霊体モードとなっている。家にいる時はずっと実体化モードで過ごす幽霊と悪霊だが、こうして霊体モードになることで最悪ゴキ〇リに触れるという事態は避けられる。奴ら『G』は、たまに突進してくることがあるからだ。


「ご主人さまには申し訳ないのですが、こうするしかないのです!」


「グスッ・・・早くぅ・・・早く殺してよぉ・・・!」


「裏切者め・・・お前ら2人とも後で覚えてろ____________」


ブチッ


「「「あっ」」」


幽霊と悪霊に詰め寄ろうとしたその刹那、履いていた靴下越しに『何か』を踏み潰す嫌な感触が。



________________



「ま、まぁ良かったじゃん!無事倒せた訳だし!ね、悪霊!」


「そ、そうですよご主人さま!これで安心してこの部屋で過ごせますね!!」


俺が踏みつぶしたのは、まぎれもなく『G』だった。靴下を履いていたのがせめてもの救いだが、あのぐしゃりという嫌な感触は未だ拭えない・・・


「・・・お前らがいかに自分の事しか考えてないのかがよーく分かったわ。当分、晩飯は抜きだ。覚悟しとけよ?」


ブブブブ・・・・


2人に説教しようと思ったその時、携帯のバイブ音が鳴る。見ると、隣の部屋に住むハルカからだった


「・・・もしもし?」


『_________た、助けて・・・欲しいの。』


電話に出ると、その声の主はハルカの持ち霊であるふーちゃんだった。いつもの淡々とした口調ではなく、珍しく消え入りそうな声で、どこか怯えている様子だ


「あれ、ふーちゃん?ど、どうした!?」


『へ・・・部屋に、ゴキ〇リ・・・いっぱい・・・!!』


「は?そっちも出たのか!?って・・・いっぱい!?」




________『G』の恐怖は、まだ始まったばかりだった。


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