GパニックⅠ
旅館・天獄荘での一件から一週間が過ぎたある日の休日。
俺たちは、春になり本格的に暖かくなってきた為、リビングに出していたこたつの片づけと衣替えも兼ねた大掃除を行っていた。
「はぁー・・・せっかくのお休みの日なのに、掃除とかつまんなーい!どっかに遊びに行こうよー。ねーねー。」
「幽霊、重い。足にしがみつくの止めろ。せっかく広くて綺麗な部屋に引っ越したのに、誰かさんのせいでいっつも部屋が散らかってるんだ。今日くらいは掃除手伝えよ。」
脚にしがみついてくる幽霊であったが、構っている暇はない。ずるずると引きずりながら移動する
「ほら、幽霊も早く立ってこたつ分解するの手伝ってくれ。じゃないとこのままモップとしてお前の体を使わせてもらうぞ?」
「・・・ったく、しょうがないなぁーもぉー。この幽霊ちゃんが手伝ってあげましょう。ありがたく思いなさいよね!」
鼻につく言い方だが、どうやら渋々手伝う気になったらしい。自ら進んで家事をこなす霊なら俺も歓迎なのだが、うちの居候霊たちにはそんな期待は持てそうにない。
「ご主人さま!エアコンの掃除が終わったのです!!・・・が、ちょっと問題が発生したのです。こっちに来てほしいのです!」
寝室にあるエアコンの掃除を任せていた悪霊がリビングにやってくる
「お、もう終わったのか?やるじゃねーか悪霊。どれどれ・・・って、おい。なんだこれ。」
寝室の床には、原形を留めていないほどに分解された元エアコンの姿が。ネジの一本一本まで分解してやがる。たしかに、綺麗にはなっているが・・・。
「いやぁー、夢中になって掃除していたのですが、気づいたら元に戻せなくなっちゃったのです!どうしましょう!」
「どうしましょうって・・・まぁ、お前さっきから珍しくずっと静かだったから嫌な予感はしてたんだが・・・悪霊に任せた俺がバカだったわ。」
後で電気屋さんに来てもらって何とか復元してもらうしかない。悪霊に家電を触らせたらダメだ、もっと単純な作業をさせないと。
「あ、悪霊ってポルターガイスト出来たよな?なら、あっちに積んである段ボール浮かせてくれよ。めっちゃ重いから運ぶのしんどいんだよ。」
「りょうかいなのです!悪霊のポルターガイストを使えば余裕なのです。」
「・・・やっぱり心配だから俺も見てるわ。えっとー、動かすのはこの段ボールな。いけそうか?」
むむぅー、と段ボールに手をかざす悪霊。するとゆっくりだが重い段ボールが浮き始めた
「おぉー、すごいすごい。やっぱ悪霊のポルターガイストは便利だな。ちゃんとコントロール出来てるみたいだし。」
「ふふーん。やっとご主人さまも、この悪霊のすごさを分かってくれましたか!」
「スペックだけは高いんだけどなぁー・・・。まぁいいや、それじゃ、その段ボールをリビングの方へ______」
カサカサカサカサ
「!?」
ポルターガイストで浮かせた段ボールの下から、一瞬ではあるが高速で動く『黒い物体』が見えた。その黒い物体は俺と悪霊の足元を走り去り、幽霊がいるリビングの方へと消えていく。
「い・・・今の生物は何なのでしょう、ご主人さま?見たことないのですが、なぜか鳥肌が・・・。」
青い顔をする悪霊
認めたくはない、見なかったことにしたいが、俺と悪霊2人揃って幻覚を見るはずはない。その高速移動するおぞましい生物には、心当たりがある。
「_____ついに出やがった・・・。奴が・・・!!おい悪霊、戦闘準備だっ!!早く!殺虫剤持ってこい!奴を見失わないうちに!!」




