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幽霊ちゃんとの怪奇な日常。  作者: くろのくん
第6章 解呪編
88/202

解呪Ⅰ

「と、いうわけで。女将さん、言いにくいのですが、やっぱり青葉さんが犯人でした。」


「ぬぅ・・・信じたくはなかったが、青葉・・・お主が犯人じゃったのか・・・!!」


どよめく会議室。明け方早朝に集められた他の仲居や従業員たちは、皆信じられないといった表情を浮かべ、ソファーに座りくやしげな表情を浮かべる青葉を見つめていた


青葉を捕獲することに成功した俺たちは、そのまますぐに女将さんの元へ行き、作戦が上手くいったことを伝えた。ちなみに青葉は、いつまでも悪霊に憑依させておくわけにもいかないので、体を浴衣の帯でぐるぐる巻きに縛り、ついでに口も縛っておいた。例の『発情の霧』を発生させる際、何かをボソボソと唱えていたからだ。恐らくそれが発動の条件なのだろう。


「まさか身内に犯人がおったとはな。なぜこんなことを起こしたんじゃ?何かこの旅館に恨みでもあったのか・・!?」


「んー・・・恨みとかじゃないんですけどー・・・聞かない方がいいっすよ、女将さん・・・。たぶんドン引きしますよ?」


そう。この青葉さん、かなりの特殊性癖の持ち主だったのだ。この旅館で働き始めた時から、バレない様にこそこそと、カップルや夫婦の客を『発情の霧』によって精神支配し、その様子を見て愉しんでいた。しかし最近になってどんどんエスカレートしていき、とうとう片っ端から来る客全てを手にかけるようになり、今回の旅館閉鎖騒動へと発展してしまったわけだ。本人としては客が来なければ自らの欲望を満たせない。そんな中、やって来た俺たちを見て、なりふり構わず手を掛け、見事に墓穴を掘ってしまう結果となった。

________________


青葉捕獲時、尋問中


「まったく、表向きはきびきび動く仲居さんで、裏の顔は変態性癖女子だったとは驚きだよ。」


「だってぇー、まさかの人間と霊のカップルでしょ?どうなるか見てみたいに決まってるじゃないですかぁ・・・なのに、あとちょっとでいいとこだったのに、急に戦い始めるし、意味わかんない・・・」


「か、カップルじゃないし!!」


顔を赤らめて『カップル』の単語に反応する幽霊


「どーでもいいけど、やっぱり幽霊と悪霊の暴走は、あんたも予想外だったようだな。おかげで俺は大変な目にあったけど・・・あ、それと青葉さんの持ち霊はどこだ?」


(ご主人さま、憑依して分かったのですが、こいつ持ち霊いません!)


青葉に憑依して体の自由を奪っている悪霊の声だ。

持ち霊がいないのにどうやって霊力を使ってたんだ?霊使いの霊力は、霊を介してじゃないと行使できないはずだが


「あ、わたし自分の『生き霊』を使えるんですよ。ほら、白い霧視えてたでしょ?あれが私の生き霊ですよ。」


「なにそれ・・・『生き霊』って自分の意志で使役できるもんじゃないだろ。帰ったらまたふーちゃんに聞いてみるか。」


「私の能力教えてあげたんですから、ちょっとだけ憑依解いてもらっていいですか・・・・?ちょっとだけだから・・・。ほんの数秒だけ・・・。」


だめだこいつ。捕まってなお全く反省してない。


「よーし、んじゃ、女将さんとこに連れて行くか。幽霊、ちょっと縛るから手伝ってくれ。」


「おっけー。」


こうして青葉への尋問は終わり、今に至る

______________________


「何はともあれ、お主のおかげでやっと旅館を再開できるわい。お主らが壊した露天風呂を直した後で、じゃがのぅ。」


「あ、あれは仕方ないっすよ!!不可抗力というか、なんというか・・・まさかやっぱり弁償とか言わないですよね?」


「うひゃひゃひゃ!冗談じゃ。ワシは約束は守るぞ?どれ、お主の『解呪』。忘れんうちにやってやるぞい。」


「あ、ありがとうございます!」


今回の騒動のせいですっかり忘れていたが、この旅館に来た本来の目的は例の『双子』からかけられた呪いを解くためだ。やっと・・・やっと解放される時がやって来た。


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