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幽霊ちゃんとの怪奇な日常。  作者: くろのくん
第6章 解呪編
77/202

厄介なもの

「あー!、女将っ!!こんな所にいたんですね!全く、この大変な時にあなたという人は____そちらの方々は?」


旅館の中から仲居と思われる若い女性が出てきた。『この大変な時に』とはどういう事だろうか


「おーぅ、青葉あおばか。良いタイミングじゃ。この若造、呪われとるようなんじゃが今の旅館の状況じゃあ、『解呪』することは出来ん。せめてもの償いじゃ、仲居総出で極楽へ逝けるよう最期を看取ってやろうぞwガハハハハッ!!!」


「ちょ、ちょっと!!もう俺が助からない前提で話進めるの止めてくださいよ!!」


このクソBBA・・・明らかに俺の状況を楽しんでやがる


「も、申し訳ありませんお客様っ!!うちの女将が失礼な態度を・・・女将っ!早く事務所に戻ってください!!これから今後についての会議が始まりますから!!」


「おぅおぅ、青葉は怖いのぅ。それじゃぁ、若造よ!せいぜい余生を楽しむことじゃ。」


そう言って女将は中へと戻っていった。取り残される俺たちに、女将から『青葉』と呼ばれていた仲居の子が声をかける


「申し訳ありません。うちの女将はいっつもあんな感じなんですよ・・・。それで、お客様。どうやら『解呪』ご希望のようで・・?残念ながら、現在うちでは『解呪』どころか、一般の宿泊のお客様ですら受け入れ不可能な状況なのです・・・」


本当に申し訳なさそうな表情で頭を下げる青葉


「さっきも言ってましたね。『この大変な時に』って。それに会議がどうのって・・・」


「話せば長くなるのですが・・・立ち話も申し訳ないので、中へどうぞ。お茶くらいはお出しできますので。」


_____________



青葉に案内され、旅館の中に入る。外見からも分かるように、本当にここは高そうな旅館だ。廊下には今まで見たことないような高級そうな皿とか飾ってあるし。

青葉に通されたのは、客室ではなく事務所のようなところだった。隣の会議室からは数人の話し声が聞こえてくる。どうやら、先ほど言っていた『会議』が開かれている様子だ。


「まず初めに、うちの女将がやっている『解除』、つまりかけられた呪いの解除についてお話しますね。」


ソファーに向かい合うように座って、青葉が説明を始める。幽霊と悪霊は、『探検に行きたい』とうずうずしている様子だが、どうやらこの旅館の状況はただ事ではない様子なので、行かせるわけにはいかない


「女将の『解呪』は、ある手順を踏んでからではないと駄目なんです。それは、この旅館の温泉に入り、旅館の料理を食べ、そして一晩泊まること____胡散臭い商売かと思われるでしょうが、この条件を満たさないと、女将の『解呪』の儀式は成功しないのです。」


どうやらさっき女将が言っていたことは本当のようだ。確かに怪しいが、ブログでは女将を称賛するコメントで溢れていた。それが何よりの証拠となるだろう


「それで、ここに泊まれない理由とは___?」


険しい表情で、青葉が話を続ける


「つい2日前のことです。温泉を含め、お客様が宿泊する区域・・・仲居や従業員が寝泊まりする所以外の"全て"の区域が、ある『厄介なもの』に憑りつかれたのです・・・。」



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