チート
店外、師匠&ヌイ監視班_____
「おいおい・・・まじかよ・・・。ありゃ、もうチートだな。手が付けられねぇわ。」
「あわわ・・・本当ですね。ありえないですっ・・・」
かよっちの透視能力で視界を共有しながら、カラオケ店の隣のビルから監視を続ける師匠たちであったが、店内のありえない状況に思わず揃って愚痴を漏らす2人
「ししょーっ!何が起きてるんですか!?ヌイにも見せてっーー!!」
自分だけ中の様子を見せてもらえず、駄々をこねるヌイであったが透視能力の共有はかよっちの主人である師匠にしか使えない。めんどくさそうに、ヌイにも分かるよう状況を説明し始める師匠。
「ヌイ、ちょっとお前は静かにしろ・・・!中はとにかく意味が分からねぇ状況だ。まず、ターゲットの使役してる中級霊が、強力な『憑依系』の上級霊に成長しやがった。んで、この店に元から棲みついてた霊も、かなり厄介な『女王霊』に化けた・・・!!まったく、頭が痛くなる話だ。上級霊のバーゲンセールかよ・・・!?」
「憑依系っていうのはヌイでも分かるけど・・・でも、じょうおう・・・・?聞いたことないぞ?」
「あぁーー・・・お前にも分かるように説明するとなぁ・・・うーん、かよっち!こいつにも分かるように教えてやってくれ。」
「心霊スポットなど、多くの霊が住み憑く場所でごくごく稀に現れる霊のことですね。色々と諸説ありますが、簡単に言うと、その女王霊が消滅しない限り同じ場所に棲む他の霊は消滅しない。さらには、棲み憑く建物の空間支配も変幻自在。まさに、あのカラオケ店は『女王の城』と化しちゃったわけですねー・・・」
「うーん・・・結局よく分からないけど、とにかくヤバい!チートうぜぇ!って感じっすか?師匠。」
「やべーよ!うぜーよ!双子の妹は憑依され、姉も捕まった。作戦は中止だ!ヌイ、お前の犬霊どもを召喚しろ!あのでかい化け犬もだ、急げ。」
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再び、店内
「くっ・・・・離せっ・・・!」
悔しそうな表情を浮かべ、なんとか押さえつける霊を振りほどこうとする姉だったが身動きが取れる様子ではない
「アリサ、それにみんなも・・・?さっきまで斬られてぶっ倒れてたはずじゃ」
見る限り、先ほど斬られた影響はどの霊にも見られず、むしろピンピンしている様子だ
「うちもよく分からんけど、たぶんにーちゃん。君のおかげやと思うで。急に、力が君から流れてくる感じがして、無意識のうちにみんなが治るように念じたら、この通りや!」
どうやら思った通り、悪霊が憑依できるようになったということは、アリサにも俺の霊力が影響するようだ。自分が活躍した感じは全く無いが、上手い具合にアリサにも霊力を供給することが出来て良かった。結果オーライだ。
「ふふふ・・・さすがご主人さまですね!さぁ、形勢逆転なのです!こいつをどうしてやりましょーか?」
手に持つチェーンソーを姉に向けながら、にやりと笑う妹(in悪霊)
「おいおい、痛みつけるのは流石に気が引けるぞ・・・。そりゃあ、こっちも殺されたが。そうだな、うすうす俺も分かってんだが、誰の差し金で来たんだ?あと、他にどんな仲間がいる?」
「返して・・・妹返して。」
もう逃げられないと悟ったのか、姉は暴れることはやめたものの、妹だけは守り抜きたいらしい
「そりゃあ、あんたの返答次第だな。こっちも手荒な真似はしたくな____」
「兄ちゃん!!!何か来るで!!!」
突如、アリサが叫ぶ




