双子の掃除係Ⅱ
「ししょーっ!店から出てきたやつ捕まえたよー!こいつ店員かな?っていうか、うちらはホントに突入しなくていいんですか?あんな奴らに任せちゃって・・・。」
「仕方ねぇだろ。今回の任務は部長から直々に下された作戦だ。勝手な行動はできねぇ。」
双子がターゲットのいるカラオケ店に突入した頃と同時刻___
店の前では、師匠とヌイがそれぞれの持ち霊と共に任務にあたっていた。彼らの任務は、店から出てくるターゲット以外の客又は店員の捕縛、及びカラオケ店から連絡を取らないように、師匠の持ち霊『かよっち』の空間支配の能力で、店からの電波を遮断すること。能力を『電波遮断』に留めるのは、前回のような能力の暴走を考慮したからだ。
「あーあー。アイツが『極霊力』?とかいう力さえ持ってなかったら師匠とかよっちさんで簡単に捕獲できるのに!それに、あの『掃除係』って何者なんですか。」
「掃除係・・・ヌイが知らないのも無理はないな。あいつら双子は元々俺たちみたいな、霊の捕獲がメインの部隊じゃねぇんだよ。たまにいるだろ?俺たちじゃ手に負えない野良霊とか、廃墟に集団で巣食ってる奴ら。そんな所に、単騎で乗り込んで全ての霊を問答無用で消滅させちまうのが、掃除係であるあいつら双子だよ。」
「そんなヤバい連中だったのか・・・。あ、でもあいつら見たところ霊使いじゃないですよね?持ち霊いないみたいだし。どうやってそんな芸当できるのですか?」
「はぁー、お前何も見てねぇのかよ。店入る時、双子が持ってただろ。チェーンソー。あれはただのチェーンソーじゃねぇ。『神器』って呼ばれるやつだ。」
「じんぎ・・・?」
ヌイが首を傾げる
「・・・お前はちょっとは勉強しろ。まぁ、お前にも分かるように説明すると『とにかく霊をぶった切る武器』だ。たぶん、お前の飼ってる化け犬でも双子にかかれば一刀両断だろうな。」
「そんな・・・!それずるくないですか!?私も欲しい!!」
「この世には色んな神器が存在してるらしいが、それを扱える人間は限られてる。お前みたいな脳筋バカには無理だろうな。まぁ、これで分かったろ?神器使いは俺たちみたいに霊力を使わないから、極霊力の影響を受けない。それで双子が今回の作戦に選ばれったってわけだよ。」
「むぅー・・・。納得いかない・・!!私も神器使えるようになる!!」
「無理無理。100年修行しても無理。でもまぁ・・・問題は、果たして双子が作戦を理解してるかだな。部長も必死に説明してたが・・・。」
今回の作戦___双子はカラオケ店に潜入し、ターゲットである極霊力の能力者を捕獲。さらに、出来ればその持ち霊も無傷で捕らえること。反撃して来るようであれば攻撃してもいいが、あくまでも『捕獲』がメインだ
__________________
その頃、店内。
ギュィィィィン!!!!ギュィィィィン!!!!!
「ぎゃあああああああ!!!!なんやこいつら!?なんやこいつら!?」
「カラオケではこんなスリルを味わうサービスもあるのですか!?」
師匠の心配通り、双子はさっそく目についた悪霊とアリサを追いかけ回していた。____とにかくぶった切るため。
「霊は、」「お掃除する。」




