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幽霊ちゃんとの怪奇な日常。  作者: くろのくん
第5章 双子編
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双子の掃除係Ⅰ

「ちょ、ちょっと待て・・・!!話せば分かる。まずはその物騒なもの下してくれ・・!!」


デゥルルル・・・・ブォォォンッ!!!


こちらの呼び掛けには全く応じる気配は見せず、チェーンソーを唸らせながらゆっくりと近付いてくる2人の少女。何なんだこいつら、とは言っても頭の片隅では大方の予想はついていた。直前、俺の方を向いて『見つけた』と言った。恐らく、ヌイと師匠以来2回目となる例の研究会からの刺客だろう。・・・しかし、まさかチェーンソーを武装してくるとは。もうこれ、警察に通報した方がいいんじゃないか?

チラリと店員のにーちゃんを伺うと、どうやら同じことを考えてたらしく、気づかれないようにゆっくりとカウンターの電話機を操作している。


「掃除、」「はじめる。」


突如、2人組の少女の片方が一気に距離を詰めてくる。あんなに大型のチェーンソーを持ちながら、ありえない俊敏性。成人男性でもあんな動きは無理だろう。


「___っ!!っぶねぇ!!」


チェーンソーの刃が首ギリギリのところをかすめる


「ハァ、ハァ・・マジで殺しに来てるじゃねぇか!!冗談じゃな___うぉぉっ!?」


ギュィィィィン!!!!


間髪入れずに、今度は連携した動きで攻撃を仕掛けてくる。二人はジグザグに交錯しながら距離を詰め、交互に刃を振りかざしてくる。

必死に逃げ回るが、この受付前の空間は広くはない。徐々に足がもたつき始め、とうとう壁際まで追い込まれる。


「ちょ、ちょいタイム!!!トイレに行きたくなっ____」


苦し紛れの時間稼ぎには見向きもされず、一気にチェーンソーの刃を振り下ろしてくる。


ギュィィィィン!!!!


「うわわぁぁぁぁぁぁあ!!!痛いぃぃぃ!!!!死ぬぅぅぅぅっ!!!・・・・・あれ?」


ゆっくりと目を開ける。たしかにあの角度からだと刃は避けられない。必ず俺の体を切り刻んだはず。

なのに、体に傷跡はないどころか、一滴の血も流れていない。目の前には、依然と立ちふさがる2人の少女。

カウンターから店員が声を掛けてくる


「お客さん・・!!大丈夫ですかっ!?いま、完全に切られたように見えましたけど・・・!?」


「だ、だよな・・・?なんで俺生きてるんだ?」


2人の少女が、『あっ』と思い出したように口を開く


「忘れてた、姉さま。こいつ、人間。霊じゃないわ。」「忘れてた、妹。お掃除するのは霊だったわね。」


「・・・??」


姉さま、妹って呼び合ってるってことはこの2人は姉妹なのか。見た目がそっくりだから双子なのかもしれない。って今はそんな情報はどうでもいい。双子の口調から考えると、俺が人間だったから切られなかった・・・?意味が分からない。それに、掃除?

双子はきょっろきょろと周りを見渡すと、今度はカラオケルームが続く廊下の方へと走っていった。

嫌な予感がする。そちらには悪霊とアリサがいる部屋があるからだ。


「ちょ、ちょっと待てよ!あ、店員さん!警察とは連絡とれましたか!?」


「それが、なぜか繋がらなくて・・・俺の携帯もダメでした。圏外になってます・・!!」


一応、自分の携帯も確認してみるがやはりこっちも圏外になっている。


「店員さんは外に出て誰か呼んできてください!俺はあいつらを追います。」


「は、はいっ!!」





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