廃病院Ⅴ
「うぅ・・・もうお嫁にいけない・・・。」
「おい幽霊いつまで拗ねてんだよ。悪かったって言ってるだろ。ていうか、不可抗力だったし。」
時刻は夜の11時を過ぎたころ。俺と幽霊は廃病院から無事脱出し帰路についていた。そう、無事、あの病院霊軍団を撃退することができたのだ。しかし、ご機嫌斜めな幽霊。この理由は、今後幽霊と俺の『戦闘スタイル』に関わる問題と大きく直結していた。
時は少し遡り、戦闘中。
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「うりゃああああああああっ!!!」
バゴォォォォォンッ!!!!
幽霊のパンチが炸裂し、ナース姿の霊が派手に吹っ飛ぶ。予想通り、幽霊に俺の手が触れている間は霊力が供給され、凄まじいパフォーマンスを発揮している。これほどの強さなら、研究会の連中にまた襲撃されても返り討ちにできるかもしれない。だが同時に、ある一つの問題点に気付く。
「手繋ぐのはちょっと恥ずかしいけど、これならいける!幽霊ちゃんの時代だぜぇ!!」
「調子に乗るのはいいけど、ちょっとは背後にも気を配れ・・・ってうおぉ!!??」
「ひゃんッ!!ちょ、き、君どこ触ってんの!?」
背後から飛びかかってくる患者の霊。幽霊の手を引っ張って咄嗟に交わすが、勢い余って幽霊に覆いかぶさる形になってしまい、俺の手が幽霊の胸に触れてしまう。
「じ、事故だよ事故!それより、前だけ見てないでもっと周り見ろ!今俺が避けなかったら、俺たち二人まとめて攻撃食らってたぞ!?」
「うそ!ちょっと揉んだでしょ!何か触り方がいやらしかったもん!ヘンタイっ!親にも揉まれたことないのに・・・」
「普通ねーよ!!ごちゃごちゃ行ってる間に次が来るぞ!」
「こ、このっ~~~!!後で覚えてろよー!!」
その後、なんとか襲い掛かる無数の病院霊軍団を殲滅し廃病院を脱出することに成功したのだが、同じような2人の接触事故は数度に渡り起こってしまった。
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問題点その1、手を繋いでいる間幽霊は強くなるが、霊力を送っている俺自身は何ら変化はない。戦闘中は攻撃が当たらないようにするので精一杯だ。そして、それに伴う問題点その2。俺と幽霊の息が絶望的に合ってない。よくあるハーレムアニメでありがちなラッキースケベな事故が多発する始末である。幽霊も無視すればいいのに、いちいち変な声出すからこっちまで意識してしまう。
「・・・はぁ、とりあえず、戦えるようになっただけ良かったとしよう。でも、もっとこう霊使いの戦闘ってカッコいいの想像してたんだけどなぁー。ハルカとふーちゃんみたいに憑依して戦う、みたいな。」
「うぅ・・私の体・・・汚されちゃった・・・。セキニン、取ってよね?」
涙ぐんだ目でこちらを覗き込む幽霊
「わかった、わかった。悪かったよ。ほら、約束のアイス買ってやるから機嫌直してくれよ。」
「やったぁー!!ハーゲンダッツね!!」
こうして、大きな課題を抱えたまま俺と幽霊の心霊スポット合宿1日目は幕を閉じたのだった。




