廃病院Ⅲ
無人の廃病院の廊下を、夢中で逃げ回る俺と幽霊。後ろを振り返ってる余裕はない。なぜなら、追いかけてくる無数の『何か』の足音が聞こえてくるからである。
「来てる来てるぅ!!!追いかけて来てるよぉおおっ!!!」
「ちょっ、バカお前!!服引っ張るな!っていうかさっきから、俺を転ばせて『後ろの奴ら』の囮にしようとするのやめろ!!」
それにしても、聞いていた話と違う。ふーちゃんの話では、こんな危険な目に合うなんてこと言ってなかったはずだ。『心霊スポットは、霊力増強・制御にはうってつけなの』この言葉を信じて来たのに。帰ったら絶対許さん。・・・生きて帰れたらの話だが。
「ハァ・・・ハァ・・・っていうか、『何』が追ってきてるの!?さっきは一瞬しか見えなかったから分かんないけどっ・・・ハア・・・」
幽霊が呼吸困難になりながら訪ねてくる。霊のくせに運動不足かよ、と突っ込みたいところだが、俺の足も既に限界が近づいている。
「わ・・・わからん!!ハァ・・・とにかく逃げないとヤバい!背後の殺気がヤバい!」
叫びながら、思わずチラリと後ろを確認する。
「「「「殺すコロスコロスコロスコロスッ!!!!」」」
・・・一瞬だけ目に見えてしまったのは、車いすバスケの選手かよってレベルのスピードで車いすに乗りながら追いかけてくる目が逝っちゃってるじじいと、両手いっぱいに怪しい注射器を持っている白目のナースさん。他、同じようにヤバい連中が複数。全員もれなく殺意たっぷりだ。
「幽霊っ!次の角右に曲がるぞ!」
「わかっ・・・あっ」
ツルっ べターン!!
次の瞬間、俺の右側を走っていた幽霊の姿はなく、3mほど後ろで泣きそうな顔でこちらを見る、派手にこけている幽霊の姿が。すぐ後ろには、『奴ら』が迫っている。・・・バカ。そんな顔すんなよ、置いてく訳ねぇだろ。あーあ、俺もホント幽霊には何だかんだ甘いな。
「なにずっこけてんだバカ!掴まれ!」
「うぅ・・・ごめんなざいいぃい!!」
顔をくしゃくしゃにしながら、俺の手を掴む幽霊。さて、これで追いつかれるのは確実だ。どうしたものかと脳裏に『諦め』の二文字が浮かんだ、その時。
「な、なんか、君の手熱い!!・・・っていうか、何か力が・・・溢れるッ!!!」
「な!?どうした幽霊!?」
幽霊と繋いだ手と手が、真っ赤に発光している。間髪入れず、追手が俺たちに飛びかかってくる。
「「「殺すコロスコロ・・ゲㇹォ!!!」」」
「うおおおおらあああああああッ!!!!」
幽霊の回し蹴りが、車いすじじいの顔面を吹っ飛ばす。
「うぅ・・・あ、あれ?ごめんおじーさん、思わず顔面蹴っちゃった・・・っていうか、何この力?私こんな力初めて何ですけど・・・。」




