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幽霊ちゃんとの怪奇な日常。  作者: くろのくん
第4章 霊力覚醒編
51/202

廃病院Ⅱ

主人公と幽霊ちゃんが、廃病院に潜入した丁度その頃、マンションの一室で、夕飯を食べながら会話をするハルカとふーちゃん。


「ふーちゃん、そういえばあいつら今日から例の合宿するんだっけ?」


「そうなの。」


「それにしても、いきなり心霊スポット合宿やらせるなんて、ふーちゃんも鬼よねー。」


「?」


何のことだか分からないといった表情でふーちゃんが首をかしげる。


「だって、この辺りの心霊スポットって、どこもヤバいとこばっかじゃん。確かに霊力は高まるかもしれないけど、ほとんど素人のあいつらにはちょっとキツイんじゃない?ま、私は天才だから乗り切ったけどね。」


ふーちゃんの箸が止まる。


「・・・まさか、ふーちゃん。何も考えないであいつに合宿させたわけ・・・ないよね?」


「うっかりしてたの。まぁ、死ぬことはないし。大丈夫なの。・・・たぶん。」


「いやいや・・・普通に死ぬレベルでヤバいよ・・・。、ま、まぁ、何とかなるか!さ、ご飯食べよう!冷めちゃうよ!」


________________


場面変わって、廃病院。二人は時速10メートルくらいのスピードで、なんとか一歩ずつ進んでいた。


「うぅ・・・。なんか変なにおいするし。ほこりっぽいし。もうすぐ夏なのに寒いしぃー・・。」


幽霊の言う通り、鼻をつくカビのにおいが酷い。空気も、外の何倍も重い気がする。


「幽霊、俺はもっとヤバいことに気付いてるんだぜ・・。普通、心霊スポットって、面白半分で訪ねてきたやつらとかが残す落書きが多いじゃん?スプレーとかで描いたやつ。・・・ここ、全くそれがないんだよ。・・・これがどういう意味か分かるか・・・?」


「・・・ここに入る人はほとんどいない。それか、入っても落書きなんかしてる余裕がない・・・とか?」


大当たり。幽霊のくせに、こんな時に限って冴えてるじゃないか。


コツ・・・コツ・・・


ナースステーションを横切り、長い廊下を二人の足音だけが鳴り響く。目の前には、患者がいたであろう病室が並んでいる。


「なんで、廊下のど真ん中に車いす置いてんのよぉ~・・・。雰囲気出しすぎなのよぉ・・・」


幽霊が半泣きになりながら俺にぎゅっとしがみつく。目線の先には、いまにも動き出しそうな無人の車いす。


「バカお前、フラグ立てんじゃねーよ。こっちまでビビるわ。」


二人して、びくびくしながら車いすの横を通る


「「「「「ねぇ」」」」」


・・・・・・!!!!!!


車いすを通り過ぎようとしたその時、『何か』が囁く声が二人の耳元にこだまする。


「ゆ、幽霊さん・・。な、何か聞こえた・・・か?」


「きっ、奇遇ね。『ねぇ』って聞こえたんだけど、まさか君がじゃない・・よね?」


ダメもとで幽霊に聞いてみるが、どうやら二人して同じ幻聴を聞いてしまったらしい。というか、明らかにそれは女の声だった。俺なわけがない。


「「「「「逃がさないよ」」」」」


今度は、真後ろから聞こえてくる。とっさに振り替える俺と幽霊。その瞬間、目を疑う。


「うわあああああああああああああああああっ!!!!!」


「きゃあああああああああっっ!!!」


本能的に、ダッシュで逃げ出す俺と幽霊。振り返った先に見えたのは、病室からこちらを覗く、顔。顔。顔。



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