めざせ、霊使い。
「ありがとうございましたー・・・はぁ。」
「先輩、どうしたんですか。ため息なんかついて。まぁいつものことですけど、今日は一段とイラつく感じのため息ですね。」
そうやって俺にキツい言葉をかけるのはバイト先の後輩、藤宮だ。新居での騒動から2日、現在の時刻は午後23時。引っ越しなどで忙しかったせいもあり、深夜のこの時間帯にシフトを入れるのは久しぶりで、藤宮と一緒になるのも数週間ぶりだった。
「それが疲れている先輩にかける言葉かよ・・・。」
「何かあったんですか?」
「んー・・・。」
時は2日前に遡る
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「な、なんで俺が原因なんだ?この野良霊たちを引き寄せてんのはハルカだろ?」
ふーちゃんがゆっくりと答える
「そう、でも、今までこんな風に狂暴化するようなことはなかった。・・・あなたから霊力を増強、もしくは暴走させる力が溢れ出てるの。」
「は?なんだよそれ。適当なこと言うなよふーちゃん。・・・いや、待てよ。」
そういえば以前、超常現象研究会の師匠とかよっちのペアが襲撃した時、かよっちの能力が暴走していた。本人たちも、原因がまるで分からないといった様子だった。それに、閉じ込められた部屋から脱出した時も、怨霊さんの馬鹿力で何とかなったとあの時は思ったが、もしかしたら・・・。もしふーちゃんが言うように俺が原因だったとしたら辻褄が合う。
「ちょ、ちょっと待ってよ!それなら、なんで私たちは何ともないの??」
「そうですよ!私たちはほとんど毎日ご主人さまと一緒ですよ!」
「それはたぶん・・・アホだから?」
さらっと答えるハルカ。あんたに言われたら終わりだっ!、と幽霊と悪霊が殴り掛かる。あきれ顔でふーちゃんが話を続ける。
「あなたみたいな霊力を増強、暴走させる能力をもつ霊使いは、とても稀なの。私も生で見たのは初めて。これは憶測だけど、たぶんあなたは力をコントロールできてないのね。自分でも無意識のうちに、無差別に力を使ってる。」
「なるほど・・・いや、話の半分も分かってないけど。で、俺はどうすりゃいいんだ。ここに住んでる限り、毎日こんな目にあってたら命がいくらあっても足りないぜ?」
「うっ、痛い痛い、引っ張るなーっ!・・・さっきの雑魚霊はこっちでどうにでも対処出来るけど、君、このライバルである私に内緒で、この前いっぱい戦ったんでしょ?例の研究会の連中と!」
幽霊と悪霊に髪を引っ張られながら、ハルカが口を挟む。どうやら、ヌイや師匠とかよっち達との騒動のことはこの二人にはバレているらしい。いったいどうやって知ったのか。
「ちょっとめんどくさいですが、この部屋にも結界を張ってあげるの。これでさっきみたいな雑魚霊は入れないけど、研究会の連中はそうもいかないの。たぶん。向こうもあなたの能力に気付いてる。これからどんどん仕掛けてくると思うの。」
「じゃあ、どうすればいいんだよ。いきなり『霊使い』になれとか言われても、うちのアホ霊じゃあどうしようも・・・」
「あー!また私のことアホって言ったー!!」
幽霊が怒って飛びついてくる。だってお前らアホですし。
「簡単にそこの二人の霊力を上げ、かつあなたも能力をコントロールできるようになる手っ取り早い方法があるの。それは_____」
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「先輩?まじでキモいですよ?ぼーっとしてて。」
藤宮が俺の顔を覗き込んでくる
「なあ、藤宮。お前この辺で有名な『心霊スポット』とか知らない?」




