40秒
「では、ハルカと私は部屋に戻りますので・・・。お邪魔したの。」
「うぅー・・・肉食べすぎたー。今度はちゃんと決着をつけに来るからねっ。」
そそくさと帰ろうとするハルカとふーちゃん
「ちょっと待ったぁぁっ!!元はと言えばお前らが呼び寄せた霊だろ!?何とかしてくれよ!!っていうか、さっきからこいつら喋りまくってるんですけど。なんか部屋も荒らし始めてるんですけどぉ!?」
虚ろな顔で突っ立っているだけだった低級霊たちは、先ほどまでとは打って変わり自らの意志を持ったかのように喋り、そして動き回っている。中でも、幼稚園児くらいの子供の霊たちは片付け途中の荷物を引っ搔き回ず始末。
「オ二ーチャンこれなにー?」「すみませんがもっと食べ物ください。」「トイレどこー?」
老若男女、10数人の霊たちが俺の新居で騒ぎまくっている
「ご、ご主人さま助け・・・ぐへっ・・」
「あーっ、それ私が大事にしてた限定版のフィギア!!・・・腕が・・・取れてる・・・」
悪霊は子供の霊たちに乗っかかられ、幽霊は私物を破壊されている
「・・・こんな事態は初めて。低級霊が急に自我を持つなんて。・・・まさか。まぁ、面倒なことは嫌なので帰るの。さよーなら。」
いつもクールで無表情なふーちゃんだが、心なしか焦っているように見える。それに、『まさか』というのは何なのか。このまま帰すわけにはいかない。
「・・・いいのか?ふーちゃん。この前のメールをハルカに見せるぞ?」
「なっ・・・!!!」
顔を真っ赤にして立ち止まる。そう、以前大学で始めてハルカとふーちゃんに会った後、ふーちゃんから届いたメールは、普段のクールキャラからは想像もつかないテンションの高い内容だったのだ。
「ふーちゃん?メールって何?」
「めっ、メール・・・?ナンノコトデスカ・・?」
明らかに動揺している様子。やはり主人であるハルカには知られたくないようだ。
「バラされたくなかったら、この状況をどうにかしてく・・・」
ザンッ______
突然、右足に鋭い痛みが走る。
「ッ!?何だ・・・??」
恐る恐る右足を見ると、鋭利な刃物のようなもので切り付けたように履いていたジャージは破れており、15センチほどの浅い傷が出来ていた。
「オ二ーチャン・・・アソンデヨ・・・ヒヒヒッ・・・」
ゾッとするような声が背後から聞こえてくる。声の主は、先ほどまで無邪気に騒いでいた子供の霊たち。明らかに様子がおかしい。うっすらと黒いオーラを纏っており、手の爪は鋭く伸びている。どうやらあの爪で切り裂かれたらしい。
「ご主人さま・・この状況・・・ヒジョーにまずい気がするのです・・・!!」
「は、話せば分かるわ!!」
大人の霊にも同じような変化が起きており、幽霊と悪霊も壁際に追い詰められていた。あっという間に絶体絶命の状況になる。
「・・・仕方ないの。ハルカ、やるよ。」
「ふふふ・・・とうとう私たちの力を見せる時が来たわね!古から代々伝わる伝説の龍の力を・・・」
「そういうの、いいから。まじめにやって。」
ズズズ・・・・
どこからともなく、ふーちゃんの前に日本刀が現れる。
「40秒で終わらせるの。」




