モグモグ
ジュー・・・
「ちょっとハルカー、あんた肉取りすぎ!それ私が焼いてた奴なのにぃ!!」
「モグモグ・・・霊力を高める為には良い肉を・・モグモグ・・・食べるのが一番っ!!幽霊さんは黙っててください!モグモグ・・・」
「ハルカ、お行儀悪い。」
ちょっと待て、何だこの状況は。たしか部屋の中によく分からん霊が沢山出て、原因かもしれない隣の住人を訪ねたら、以前大学で会ったハルカがいて・・・で、なんでそれから俺の部屋で焼肉パーティーやってるんだ?ちゃっかり憑き霊のふーちゃんもいるし。
「ご主人さま、お肉食べないんですか?悪霊が食べちゃいますよ?」
「おい待て、俺も食う・・・って違う!なんだよこの状況は!幽霊と悪霊はともかく、なんでハルカとふーちゃんが俺の家で飯食ってるんだよ!?」
「それは、モグモグ・・・あなたと決着をつける為です。モグモグ・・・」
「ハルカ、あなたは黙ってて。説明は、モグモグ・・・私がする。」
ふーちゃん、お前もがっつり肉食べてんじゃん
「・・・ゴクン。ふぅ、それでは、説明する。ハルカは昔から、無駄に霊力が強くて、今この部屋にいるような野良霊や、たちの悪い霊を引き寄せちゃう体質なの。だから私がそういう奴らを追い払っているの。」
いや、焼肉パーティーしてるのは何でだよ。・・・まあそれは置いといて。部屋には未だにその野良霊とやらが、わらわらと突っ立っている。なるほど、ハルカがこの部屋に入ってきてからは、野良霊たちはハルカの方だけを見つめている。こんな状況で焼肉をしているというのは、何ともシュールだ。
「でもまさか、隣の部屋がこんな状況になっていたなんて。道理で隣人が毎回すぐに引っ越しちゃうのね。納得したわ。」
「いやいやいや。『納得したわ』じゃねーよ。どうにかしてくれよこいつら。風呂場にオッサンがいるんだぞ。まともに生活できねーよ。・・・そもそも、こいつらは無害なんだろうな?」
「はい。無害です。野良霊の多くは成仏できず、ただ浮遊するだけのあいまいな存在で、私たちみたいにこうして話したり自分の意志で動けるのは珍しいの。」
「そう!私たちは特別な、モグモグ・・・霊なの!!」
幽霊のドヤ顔はスルーするとして。いくらこの野良霊たちが無害といっても、部屋の中に他人が大勢いるのはとてもじゃないが耐えきれない。ただでさえ2体の霊と暮らしてるのに。
「ふーちゃん、何とかこいつら追い払ってくれよー。」
「モグモグ・・・ハルカの周辺で精いっぱいなの。モグモグ・・・こいつら喋らないし無害だから、君なら大丈夫。」
「そんなことより!!これ食べ終わったら決闘の続きをっ!!・・・モグモグ。」
これから毎日おっさんの隣で風呂に入らないといけないのか・・・いやいや勘弁してほしい。喋らないし無害だからって、そういう問題ではない。・・・それでハルカは戦うことしか頭にないのかよ。
ツンツン
「ん?」
不意に肩を叩かれる
「あのー・・・私たちにもお肉分けてもらえませんかね。あまりにも美味しそうなので。」
「あぁーはいはい。いいですよ。どうぞどうぞ・・・・ん?」
風呂場にいたオッサンが話しかけてくる。
「僕もー。」「私もお肉食べたーい。」
おっさんをきっかけに、今まで虚ろな目だった野良霊たちが次々と喋りだす。
「あのー・・・ふーちゃん?君さっき『こいつら喋らないし』って言ってなかったっけ?」
「私、知らない。肉、焦げてる。・・・モグモグ」




