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幽霊ちゃんとの怪奇な日常。  作者: くろのくん
第14章 皇大社編
202/202

百鬼夜行Ⅱ

【________えー、ここで駅伝中継の途中ですが速報です。えー、たった今東京都〇×区の一部地域の上空が、突如暗雲に覆われたとの情報が入りました。気象庁によりますと、雨雲レーダーには異常はなく、原因は不明だそうです。えー、現場のより中継の映像が入っております。〇〇さん、現場の状況はどうなっていますかー!?】


【はい、こちら現場です。ご覧ください!晴天だった新年の空が、まるで夜かのように真っ暗です!何でしょう、まるで火事の時の黒煙のような雲にこの辺りの地域一帯が覆われています!!_______おや、何か空から__________わッ!!!な、バケモノ…____うわああああああああ!!!】


ブツン______


【______〇〇さん!?〇〇さん!?___え、えー、映像が乱れてしまい申し訳ございません。復旧次第、中継を再開いたします。えー、引き続き、この暗雲のニュースをお伝えします。本日朝未明、東京都〇×区_________】


一般道を猛スピードで駆ける黒塗りのベンツの車内。取り付けられたカーナビのテレビからは、この『暗雲事件』のニュースが先ほどからひっきりなしで流れていた。


「________直ぐに現場に到着します、キサキさん。」


運転しているのは、超常現象研究会秘書ちゃんだ。後部座席のキサキから返答はなく、ただバケモノ染みた殺気のみ伝わってくる。続けて、現在の状況を報告をする。


「…すでに元から現場周辺に居た我ら研究会の構成員数名は交戦中と思われます。併せて幹部も我々と同じく急行していますが…____まさか、『皇家』の奴ら、こんな大戦力…『百鬼夜行』を動かすなんて…。申し訳ございません。完全に私の油断です。」


今まで黙りこくっていたキサキが口を開く。


「___貴女の責任ではないわ。私も完全に不意を突かれた…霊力を持たない一般人にも被害が及ぶ『百鬼夜行』、私たち暴霊団はもちろん、国家権力『対霊課』との全面戦争も厭わないつもりのようね…面白いじゃない。私の旦那様は誰にも渡さない。」


ズズズ__________

今までにないほどのキサキの霊力の昂ぶりを感じる秘書ちゃん。『全面戦争』の単語がより一層現実味を帯びてきた。


「キサキさん、暗雲の切れ目が見えました。まもなく『百鬼夜行』の領域内に入ります。」


まるで黒いカーテンに覆われているかのようなエリアに突入する車。あっという間に外は真夜中のような暗さとなる。秘書ちゃんは言葉を失った。


「…これが、皇大社の百鬼夜行…!!」


正月の平和な街の様子は一変し、まさに地獄絵図となっていた。空から際限なく降り注ぐ異形の『妖怪』。

まるで楽しんでいるかのように、逃げ惑う人々を追い回していた。


「______次の通りを曲がれば、現場に…きゃッ_____!!!」


キキィッ________!!!ガッシャァンッ!!!!


突如、車体は側面からの何者かの突進により大きくバランスを崩し、コンビニ目掛けて吹っ飛ばされる。

大破し炎上するコンビニと車。


「…ぐふ。ぐふふふふふふ。あれ?死んだ?死んじゃった?」


現れたのは、巨大な蜘蛛の妖怪。その高さ数メートル以上もある巨体からは若い女の声で人語を話している。


「同業には手を出していいっていうお達しが来てるけど、今の同業者で合ってるよね?一般人殺したら牛鬼様に怒られちゃう。あんた達、死体を確認しておいで。」


無数の小型(といっても原付くらいの大きさ)の蜘蛛たちへ命令し、大破した車へ向かわせる。


ヒュッ_________ズガァァァァンッ!!!

次の瞬間、大破し炎上する車が宙を舞い、小型蜘蛛数匹の頭上に落ちる。

大破したコンビニから何食わぬ顔で、キサキと秘書ちゃんが姿を現す。


「あーあー、この車高かったのに。部費から経費で下りますかね?…って、うわっ、でっかい蜘蛛!あれ何ですか?キサキさん。」


「『土蜘蛛』よ。それより早く旦那様の元に行きたいわ。さっさと片付けましょう。」


ズズズ…

キサキの足元から巨大などす黒い鬼の手が出現する。


「ぐふふ…そうでなくっちゃね。ん?…その鬼の手…お前、研究会の『キサキ』だな!ぐふ、ぐふふふ!!!これは良い!牛鬼様へ良い手土産が出来そうだ!」


_______________________


一方、同じ百鬼夜行領域内。


「サイトウっ!!!本部へ緊急連絡っ!!!一課、二課、特課もよ!対霊課総動員で百鬼夜行の鎮圧を急げっ!」


「すでにやってるっす!!けど霊障による電波妨害が強くて、上手く交信が出来ないっす!」


「そこを何とかすんのがアンタの役割でしょサイトウ!!あぁー、もう!新年早々うっざいんだから妖怪共がッ!!!」


ガシッ!!!ブチィッ!!!

『一反木綿』のような妖怪を鷲掴みにし、引きちぎるのは『対霊課』の霊、貞子。必死に本部と交信を試みているのは同じくサイトウだ。たまたま彼女の部隊が領域内の近辺に居たため急行したものの、なかなか増援を呼べずにいた。片っ端から妖怪を狩っているがキリがない。


「まさか『百鬼夜行』とはね…。狙いは…まぁ、十中八九、『極霊力』…!!急がないと…!!___ん?

ん?この気配…」


ズズ…!!!

これまでの雑魚妖怪とは違う、明らかに異質な霊力を持つものが近付いてくる。


ザッ_______ザッ________

対霊課の前に現れたのは、鎧に身を包んだガイコツの集団。その先頭には、同じく赤い鎧に身を包み、その額には大きなツノが生えている『鬼』の姿。片手に持った大きな酒樽をあおっている。


「んっ…んっ…ぷはぁ~~。やっぱ、人間どもを襲いながら呑む酒は旨ぇなァ~!。」


____鬼の姿、ツノ、鎧武者、そして片手に酒。

その風体から、この異質な霊力を放つ妖怪が何者なのか貞子さんはすぐさま特定した。


「_______あなた、『酒呑童子』ね?」


「おっ、俺のことを知ってるのか?いやぁー嬉しいね。」


「知ってるも何も、あなた重要指名手配犯だから。この百鬼夜行の『大将』はあなたでいいわね?現行犯で逮捕します。『霊獄』へぶち込んであげる。」


「おぉー、こわ。まぁ、かくいう俺も、あんたの足止めに来たってわけよ。対霊課最大戦力『貞子』…ねぇ。お手並み拝見といきましょうかッ…!!野郎共ッやっちまえッ!!!」


ウォォォォォォ_______!!!!!!!


遅いかかる鎧武者の軍団。


「…サイトウ、憑依戦闘。」


「了解っす!」

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