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幽霊ちゃんとの怪奇な日常。  作者: くろのくん
第14章 皇大社編
201/202

百鬼夜行Ⅰ

「お…お兄様っ????」


「ご主人さま…妹さんがいたのですか??」


唖然とする幽霊と悪霊。いや、この場で一番唖然とした顔なのは間違いなく俺だろう。


「本当にお久しぶりです、お兄様。…5年ぶり、でしょうか。お兄様が『皇家』を出られた時、私はまだ小学生でした…。もしかして、私の顔を忘れてしまったのでは…???」


何も話さない俺を見て心配になったのか、不安げな表情で眞銀が顔を覗き込む。

間違いない…。忘れる筈もない。5年前、逃げるように出て行った実家に残してきた、妹の顔だ。


「どうして眞銀がここに…いや、待て…あのクソババァが今さら何で俺を実家に呼び出すんだよ…!!」


俺の問いかけに対し、眞銀の表情が一瞬にして真顔に変わる。

そして一呼吸置いた後、ゆっくりと応えた。


「次期、当主に。」


「__________は?」



「大婆様は、お兄様を皇大社の次期当主にすることをお決めになられました。そのため、この眞銀がお迎えに来たのです。」


ズズズ______________

突如、晴天だった空がどす黒い雲によって覆われる。あっという間に辺り一面はまるで夜のような暗闇に包まれた。暗雲からは、『霊力』とも少し違う異質オーラを感じる。


「ちょ、ちょっと!この子、あんたの妹だかなんだか知らないけど、何かヤバいんじゃないの!?」


臨戦態勢に入る幽霊。悪霊も、危機を察して声を上げる。


「ご主人さま、今さら隠されていた過去編とかどうでもいいのです…!絶対こいつ『ヤバい』のです!逃げるのですっ!!!」


「…お兄ちゃんは、ナナシのお兄ちゃんなんだから!」


「_________あなたの、『お兄ちゃん』?」


ピキッ____________


「…な、なんだっ?急に寒く…」


ナナシから出た『お兄ちゃん』というワードに対し反応する眞銀。

次の瞬間、周囲の気温が一気に下がるのを感じる。気のせいではない、まるで真冬の外気に触れたような肌を刺すような異常な『冷気』だ。


「______っと、いけない。私としたことが、取り乱してしまうとこでした。そこの『野良霊』があまりにも無礼な発言だったものですから…。良いですか?お兄様は、あなた方のような下等な存在と同じ空間に居ること自体、許されてはならない高貴なお方なのですよ?」


「おい眞銀っ!お前さっきからおかしいぞ!?こいつらは俺の大事な家族だ!それに何を言われようとも、実家に帰るつもりはない!」


こうしている間にも、空を覆う暗雲は更に大きく成長しいる。既にこの街全体を覆う程の巨大さだ。


「はぁ…。どうやらお兄様は『皇家』を長く離れすぎたせいで、ご自分がいかに特別な存在なのかをお忘れになっているのですね。…少々手荒になりますが、失礼します。」


眞銀が俺に向けて手をかざす。

ピキッ______ピキピキピキッ


「っ____!?うおっ!?」


一瞬のうちに、俺の体に『氷の鎖』が生成されきつく巻き付けられる。


「ちょっとあんた何して!」「ご主人さま!」「お兄ちゃん!!」


幽霊が瞬時に俺と憑依戦闘の体制に入ろうとした、次の瞬間。眞銀の口から『命令』が発せられた。


「総員、降下。」


ズズズ____________

空に広がる暗雲から無数の何かが一斉に『降って』くる。人間でも霊でもない、その異形の怪物たちを形容するとすれば、まさに『妖怪』だ。


「…『火車』、私とお兄様を運びなさい。」


降り注ぐ『妖怪の雨』の中から、鬼の首がついた炎を纏う巨大な二つの車輪のついた籠が現れる。


「くそっ、離してくれ眞銀っ!!!」


「暴れては駄目ですよお兄様。さぁ、帰りましょう。大婆様が首を長くされてお待ちです。」


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