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幽霊ちゃんとの怪奇な日常。  作者: くろのくん
第13章 クリスマス編
195/202

助っ人

________『霊力過多ブラック・アウト

任意の相手に一時的に膨大な霊力を流し込むことによって起こる、霊力が【ショート】する現象。ヌイたち4人が一瞬のうちに気を失ったのはこれが原因だ。もちろん、手練れの霊使い相手には通じない、不意打ち前提の技。


「…ふぅ。初めて試してみたけど、思いのほか上手くいったなー。さんきゅーな、怨霊さん」


ズズズ…

憑依戦闘もどきを解除すると、俺の背後から怨霊さんが姿を現す。怨霊さんとの憑依戦闘は暴走の危険性も有るため、もっても『1分』が限界だ。


「ったくー、クリスマスまで出勤とかやってられないよぉー。あー、酒飲みたい!シャンパン!この後シャンパン奢ってよね!」


「高い護衛料だなおい…てか、ちゃんと『対霊課』から給料は出てんでしょーが。」


何故この酔っぱらいアル中霊の怨霊さんがここにいるのかというと、それは言うまでもなく俺の『護衛』のためだ。オークションでの一件以降、顔が割れてしまった俺を狙う暴霊団が出てくるのは火を見るよりも明らか。そこで、最近対霊課の一員となった最強で最凶な野良霊の怨霊さんに,

白羽の矢が立ったというわけだ。


「________そんでー?こいつら、どーすんの?一応、上からは逮捕命令が出てるけど。」


目の前には、完全に気を失っている4名の襲撃者が転がっていた。うち2名は知っている顔だ。

『研究会』メンバーの犬使いヌイと、以前ラブホで俺のことを拉致った人形を操るゴスロリ少女。


「残りの二人は知らない顔だが…この兎と猫の仮面からして、十中八九、『仮面教』のメンバーでしょうね。」


「えーと、仮面教の『喰面クイメン』だっけ…?これも回収できたし、さっさと上司の貞子さんに連絡してこいつらの身柄を引き取りに来て貰うとしますかー。」


「…ちょっと待ってください、怨霊さん。こいつらには、俺を狙った報いを受けさせないと…!!」


________________________


「…えーっと、先輩?そちらの方々はどちら様…ですか?」


コンビニ前に戻ると、サンタコス姿の藤宮が困惑した表情で出迎えてくれた。


「紹介しよう、藤宮。俺の知り合いの『ロリ犬曲芸師・ヌイ』、『腹話術師・ゴスロリ』、『ネコミミ京都弁Jk・ネコ美』、『変態糸目・兎太郎』!以上、今夜のケーキチキンノルマ達成に助っ人に来てくれた4人だ!!」


「いやいやいや……急にどっか行ったと思えば、マジで何なんですか、この人たち。」


藤宮はますます混乱していた。

_______ネコミミとウサミミを頭に付けている知らない制服の男女、イヌミミ生やしたちびっ子、そして気味の悪い日本人形を抱えているゴスロリ少女…なに…?このカオスな組み合わせ…


「ちょ、誰がロリ犬曲芸師だーっ!変な名前つけるなー!」


「屈辱ですの…!!高貴な人形使い(マリオネットマスター)であるわたくしが、このような扱いを受けるなんて…!!」


案の定、ヌイとゴスロリが不満の声を上げる。そこに、おもちゃのネコミミを付けたネコ美が赤面しながら口をはさむ。


「君らはまだマシやん…うちら何か、仮面奪われてもーて、こんなおもちゃのネコミミなんか付けられてんやで!?」


「それを言うなら…一番酷いのは僕ですよ…男なのにウサミミって…それに、『変態糸目』って…出会って初日の相手に付ける名前じゃないでしょう…。」


死んだ声と表情で呟く兎太郎。


「うるせえぇ!お前らは黙ってケーキとチキンを売ることだけに集中しろ。…それともあれか?今すぐ、『対霊課』に連絡してお前らを連行しに来てもらってもいいんだぞ?別に俺は止めやしない。【ショート】した直後ですっからかんの、その僅かな霊力で逃げ切れるものならな…!!」


「「「「……ぐぬぬ…!!」」」」


言い返すことが出来ない4人。実際のところ、仮に逃げたところで対霊課どころかその辺の野良霊にすら負けてしまうほどに4人の霊力は弱り切っていた。まさに、『まな板の上の鯉』状態。


「ということだ藤宮。計6人で掛かれば残りのノルマも何とかなるだろ。」


「何がどうなって『ということで』なのかさっぱり分かりませんが…もぉ、なるようになれって感じです…。」


こうして、半数以上が暴霊団構成員というかなりぶっ飛んだメンバーでケーキとチキンの売り込みを再開した俺たちだったが、なかなかどうして、『助っ人』たちの働きぶりが凄まじいものだった。


「いらっしゃーい!今チキンを買ってくれたお客様には、このネコ美ちゃんとの握手できるにゃん♪更にケーキも購入で、にゃにゃにゃんと…!『ハグ♡』してあげるにゃん♪」


ネコ美は、藤宮に負けないルックスとネコ語、そして少々過激な購入オプションを武器に次々とケーキとチキンを売り捌いでいる。


「そこの奥さん、ケーキいかがですか?え、何でウサミミを付けているかですって?買ってくれたら、奥さんだけに秘密を教えてあげます________」


年上女性中心に人気があるのは兎太郎。数はネコ美に劣るが、トーク力(?)で捕まえた客は確実に落としている。

一方で、僅かだが霊力を使えるヌイとゴスロリ。


「出て来いっ!化け犬っ!」


ズズズ__________グルルル……!!!


「な、なんだあのでかい犬っ!?」「着ぐるみ…じゃないよね!?なんか急に何もないところから出てきたし…!!」


ヌイの掛け声とともに化け犬が出現。突如現れた巨大な犬に、路上を歩いていた人々が一気に集まってくる。霊力不足で通常の3分の一程の大きさの化け犬だったが、それでも十分規格外の大きさだ。集客するには十分だった。


「さぁ、私の可愛い人形たちお客様にご挨拶して頂戴。」


両手に抱える日本人形の『お菊』とフランス人形の『Chloé(クロエ)』に話しかけるゴスロリ。

某腹話術師いっこ〇堂をも凌駕する腹話術で、ヌイの化け犬に劣らぬ集客をしていた。


「嗚呼…姫様とあろうお方がおいたわしい…このような愚民どもの前で…!!」


「Si j’avais le pouvoir, je pourrais te tuer tout de suite…!!(霊力さえ元に戻れば、こんな奴ら皆殺しですのに…!!)」


と、こんな具合で助っ人4人の活躍もあり、次々とケーキとチキンは驚異的なスピードで売れていった。

そして、開始から約1時間後の午後9時___________


「こちら、チキン2ピースになります。ありがとうございましたー!!!__________っっっ完売だぁぁぁぁぁぁっーーーーーーーー!!!!!!」


歓喜の声を上げる一同。先ほどまで殺し合いをしていたヌイたち4人も、手を取り合って喜びを分かち合っている。


「良かった…何とか日付が変わる前に家に帰れそうだ…そんじゃ、皆さんお疲れ様-。お前らも、もう俺の周りで騒ぎ起こすなよー。」


「ちょっと待ってください先輩。なにさらっと帰ろうとしてるんですか?約束通りこの後、先輩の家行きますからね!」


そそくさと帰ろうとする俺の前に立ちふさがる藤宮。

__________すっかり忘れていたが、たしか勢いでそんな約束したっけか…

藤宮の言葉に、助っ人たちも黙っていなかった。


「なに!?クリスマスパーティーだと!?よし、このヌイ様も参加してやろう!」


「暖かい飲みものと食事を所望しますわ。全く…!!体が冷え切ってしまいましたわ。早く案内しなさい。」


さも当たり前のようにうちに来る気満々のヌイとゴスロリ。そしてさらには仮面教のネコ美と兎太郎も、んうんと頷く。


「人数は多いほうがええからなぁー。ほな、うちらも参加させてもらおか。なぁ、兎?」


「そうですね。こんなこともあろうかと、先ほどのケーキとチキン、僕のほうで少し買い取っておきました。」


とどめは、さっきまでどこかに行っていた怨霊さん。両手いっぱいにコンビニ袋を抱えている。


「酒はたんまり買ったぜーーーー!!今夜は飲みまくるぞー!!!」


________え、なにこれ…マジでこいつら来る気なの…?


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