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幽霊ちゃんとの怪奇な日常。  作者: くろのくん
第13章 クリスマス編
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ナナシという少女Ⅰ

「・・・。」


サイトウが帰り、玄関には俺と無表情の少女『ナナシ』二人きりになる。サイトウの奴、とんでもないクリスマスプレゼントを寄越しやがって。ちくしょう、間が持たねぇ。何か喋らないと。


「…えっとー、と、取り敢えず、中に入って…ください。」


「______はい。ありがとうございます。」


何故か敬語になりながらも、何とかナナシをリビングへと促すことに成功する。ナナシはペコリと頭を下げると、年齢に見合わぬ丁寧な口調で返事をした。


「おかえりー。誰だったのー?結構話し込んでたみたいだけど___________ちょ、ちょっと…その子…誰?つ、通報案件…?」


「…ちげーよっ!先ずは話を聞け、幽霊!」


ナナシを見るや否や、震える手で携帯を操作し始める幽霊。コタツの中に居た悪霊も顔を出し、憐れみの視線を俺へ向ける。


「ご主人さま…いくらロリコンでも誘拐はダメなのです。悪いことは言いません、一緒に警察に出頭するのです!」


「だから違うって言ってるだろ、悪霊!まずは話を聞け。この子は今日から一緒に住むことになったナナシだ。お前ら仲良くするように。」


3秒ほどの間を置き、幽霊と悪霊が揃って驚愕の表情を浮かべる。


「_______今日から一緒に、」


「す、住むぅ!?一体何がどうなったらそうなるのですかご主人さまぁ!?」


じっと俯いたままのナナシに視線をやりながら、こうなった経緯を説明する。サイトウからの話をまとめるとこうだ。

_______アリサ奪還作戦によって解放された霊たちは、対霊課主導で専用の施設で保護されることとなった。そこで霊たちは『成仏』という特殊な手続きを受けるのだが、人間界での悲惨な生活が長いナナシはそう簡単に『成仏』が出来ないらしい。そこでナナシを預かると声を掛けたのが、アリサだ。


「なんでアリサがこの子を預かるの?」


説明の途中で、幽霊が疑問の声を上げる。


「捕まってた時に知り合ったらしく、アリサは姉御肌で放っておけない性格だからな。1週間ほどアリサの住むカラオケ店で預かったんだと。けど、あんまり馴染めなかったらしい。」


「…あそこは女の子が住むには少し特殊すぎるところなのです。住んでる住人もアレなのです。」


悪霊の言う通り、あのカラオケ店はこんな幼い少女が住むにはいささか無理がある。だが、馴染めなかった理由はそれだけでは無かった。文字通り奴隷のような生活を送って来たナナシにとって、『普通』の生活自体が特殊なのだ。


「・・・んで、ナナシと年齢の近い同性の霊が2人も住んでいる我が家に白羽の矢が立った、という訳だ。」


アリサは、ナナシを俺に預けることに対してかなり責任を感じていたとサイトウから聞いた。決してナナシを預かるのが面倒になったというのではない。ナナシにとってより良い環境で、かつ信頼できる人物を考えると、必然的に俺に頼るしかなかったという。そこまで言われると、断るにも断れない。


「なるほど…いや、急すぎてまだよく分かんないけど…よろしくね、ナナシ。私の事は幽霊って呼んで。こいつに何かされたらすぐに言ってね。私がぶっ飛ばすから。」


「悪霊なのです!よろしくなのです!妹が出来たみたいで嬉しいのです!ご主人さまは変態なので気を付けるのです。」


「…おいお前ら、勝手に人をロリコン変態野郎にするな。と、まぁ、こんな奴らだが、ちょっとずつ馴染んでくれたらいい。今日からよろしく、ナナシ。」


俺たちからの挨拶に、表情一つ変えることのないナナシ。次の瞬間目を疑う行動をとる。


「え、ちょ________何して‥‥」


制止する間もなく、ナナシはおもむろに床に膝をつき、『土下座』の恰好を取った。それはまるで彼女の体にプログラムされているかのような動作だった。そして、感情の籠っていない声で呟く。


「私のような家畜を飼っていただき心から感謝申し上げます。ご主人様、幽霊様、悪霊様。これからは、皆様の手足となり働かせていただきます。どんなご命令にも応えますので、どうぞ何なりとお申し付けください。」


「「「_____________っ…!!!」」」


絶句する一同。

これはまだ、ナナシの心に巣食う闇のほんの一部だということを、今後俺たちは身をもって知ることとなる。

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