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幽霊ちゃんとの怪奇な日常。  作者: くろのくん
第11章 オークション編
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最終決戦は星空の下でⅠ

「…何も、わざわざ斃す必要何か無いんだよ!『封印』すりゃいいんだ!!_________うおっ、危っ___________」


「罪人ッ!!!!殺スッ!!!!」


ブンッ!!!

こちらが喋っている間もお構いなしに、牛頭コズが巨大な金棒を振りかざす。とてもじゃないが、憑依戦闘状態でない今の俺が躱せるスピードではない。


「あなたの相手は…私なのっ!!」


ガギィィィンッ_________ズガァァァァンッツ!!!

ふーちゃんがその手に持つ日本刀で、俺への金棒攻撃を受け流す。金棒はそのまま俺のすぐ傍の壁に大穴を開けた。ふーちゃんは間髪を入れずに、金棒が壁にめり込んで動けない牛頭コズの首を切断する。


ザシュ______________


「もうひとつ____________おまけなのっ!!!『青闇アオヤミ』っ!!」


ふーちゃんは、俺が初めて聞く『青闇アオヤミ』という名の技を叫ぶと、日本刀の刀身から濃い青の煙が発生し、あっという間に視界は青一色に変わった。


「ただの目くらましなの…!!こんなのじゃ、あいつを撒くことは無理なの。それで、どうやって封印するつもりなの?」


「ちょっとでも時間が稼げれば十分だ…!!とにかく、今は時間が無い!俺の予想が正しければ、まだこのフロアにいるはずだ!探すぞ!」


ふーちゃんの手を引き、青い煙で一色のこの場から離脱する。牛頭コズに追いつかれるか、それとも封印する為の重要な『鍵』を俺たちが見つけるのが先か、ここからは運勝負だ。

状況を理解できていないふーちゃんが、困惑した表情で俺に問いかける。


「はぁ…はぁ…ふ、封印って…たしかに、いくら牛頭コズが無敵でも封印してしまえば何もできないの。でも、私たちはあんな化け物を封印出来る結界術は使えないの___________あっ!!」


途中で、俺の考えていることを理解した様子のふーちゃん。その青い瞳に、希望の光が宿る。


「…思い出したか?あぁ、ふーちゃんの言う通り俺たちには出来ない。けど、このフロアにいるはずなんだよ、オークションの時から今夜の引き渡しの時まで、ずっと霊を排除する結界を張っていた術者の集団が!!」


「盲点だったの…!!たしかに、あれだけの規模の結界を張れる術者集団なら、牛頭コズを封印することが出来るかもなの。」


このフロアに来るまでに、それらしい集団と会わなかったことから、まだこの階にいると推測できる。いや、居てくれないと困る。恐らく、青葉の『催淫の霧』によって制圧されたはずなのだが。


「_________止まるのっ!!!」


ズガァアアアアアアアアアアアアアンッ!!!!!!!!!!!!!!

不意にふーちゃんに腕を引っ張られ、後方へバランスを崩す。直後、前方の壁を突き破り、牛頭コズの巨体が姿を現す。


「…ハァ_______ハァ_______________罪人…ドコ行ク?逃ゲル、許サンゾ…!!!!」


「こいつは壁突き破らないと気が済まない性格なのか…?このホテルの損害賠償、誰が払うんだか。」


「…首を切り落としたのに、普通にくっ付いていることにもう驚かない自分が怖いの_________あれって…いたの!!あそこなの!!」


ふーちゃんが、牛頭コズの背後数メートル先を指さす。ちょうどそこには、10名ほどの男女がおぼつかない足取りでホテルの一室から出て来る最中だった。壁を突き破った音に驚き、全員がこちらを驚いた表情で見ている。


「いた…あいつらだ!!おーい_________って!!ちょ!!逃げるなぁあああああ!!!」


術者たちは、一目散に背を向け逃げ出した。

まぁ、逃げるなという方が無理な話だ。何しろ、こんな牛の化け物が目の前に現れたのだ。俺だってダッシュで逃げるだろう。だが、逃げてもらっては困る。


「アレモ___________罪人…???逃ガサナイッ!!!!!!!!!!」


ブンッ____________

牛頭は、俺たちがいるのにも関わらず今度は逃げる術者集団目がけて金棒を投げ飛ばした。金棒は術者たちの頭スレスレをかすめ、行く手を阻むかのように床に突き刺さった。


「ひっ________ひぃぃぃ…な、何なんだよぉ…!!集団催眠で酷い目あったかと思ったら、今度は牛の化け物…?」


「私たち、ただの雇われ術師なのに…だから暴霊団と関わる仕事は止めようって言ったのよぉ…!!」


腰を抜かし、床にへたり込む男女の術者たち。


「ふーちゃん!!もう一回最大出力の霊力、大丈夫か!?」


「確認なんていらないの!!早くっ!!!」


ズズズ_____________

先ほどと同じように、ふーちゃんに圧縮した大量の霊力を送る。送った直後、直感的に感じた。『この量は、ヤバい。ふーちゃんは耐えられない。』と。だが、ふーちゃんは拒むことなく俺の霊力を全て受け入れ、技を繰り出す。


「_________うっ…!!!あっ…ぐっ___________『青䬖龍(テンペスト)』!!!!」


ゴオオォォォォォォ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

室内にも関わらず、まるで台風の真っただ中に居る様な暴風が辺りに吹き荒れる。巨大な青い竜巻が一瞬にして牛頭コズを呑み込む。牛頭コズのからだは爆散し、辺りに体の破片が飛び散る。


バタンッ_____________

ふーちゃんは倒れ、ハルカとの憑依戦闘が解除される。急いで駆け寄りふーちゃんの身体を支えるも、体は幽霊と同じように透けぐったりとしている。


「…良かった、何とか消えずに済んだか。ったく、無理しやがって…!ハルカも、体大丈夫か?」


「______だ、大丈夫。やっぱ、君の霊力凄い…!!あんな桁外れの霊力…ふーちゃんも、ホントにギリギリまで頑張ったよ…!!」


ふーちゃんに体を預けていたハルカも、すぐに目を覚ましゆっくりと立ち上がった。まだ意識ははっきりしていないが、何とか無事のようだ。


「た、助けてくださって、ありがとうござます!!」


術者たちが、次々に駆け寄って礼を言ってくる。近くで見ると、俺とそう年も変わらなそうな若者ばかりだった。みんな着ている服が乱れているとこを見ると、やはり青葉の能力によって制圧された術者で間違いないようだ。


「…あんたら、ここで結界張ってた術者だろ?頼みがある。てか、命令だ。嫌でも従ってもらう。」


「え…?た、頼みって…?」


「お前らに、この牛の化け物を封印して貰いたい。出来ないとは言わせねーぞ?何なら、俺が足りない分の霊力を供給してやるから。」


「牛の化け物って…今ので斃したじゃないですか?」


「________後ろ、見てみろ。」


キョトンとする術者たち。彼らの後方で散らばっている牛頭コズの肉片を指すと、彼らは小さな悲鳴を上げた。

かろうじてどの体の部位が分かる程にまで爆散した牛頭コズだったが、その肉片たちは既に再生を始めていた。既に、両足は完成にまで至っていた。


「な…何なんですか、この化け物…!!こんなのがいるなんて、私たちも知らないですよ!!」


怯えた様子の女術者。


「こっちが知りたいわ!いい?ここでグダグダ言って全滅するか、うちらの言うこと聞いてこいつを封印するかどっちなんだよ?出来るのか?出来ねーのか!?あぁ!?」


キレた口調で、術者たちを脅すハルカ。オークションの時のお嬢様演技といい、これといい、ハルカの演技力は役者並みだ。


「で、出来ますっ!!けど、ここじゃダメです!もっと広いとこに行かないと!!そ、そうですね…屋上!!屋上がいいです!」


すっかり怯え切った術者たちの一人が、屋上でなら出来ると提案する。専門的なことは知らないが、今はこいつらだけが頼りだ、従うしかない。


「…分かった。屋上だな。お前らは、先に屋上へ行って準備していてくれ!何とか俺とハルカでこの化け物を屋上まで誘導する!」


「は、はいっ!!」


屋上へと走っていく術者たちを見送ると、戦闘不能となったふーちゃんを背中に背負い、再び牛頭コズへ目を向ける。既に胴体まで再生は完了し、腕は動いていた。


グチャッ!!グチャ…!!ゴキィ!!!メキメキッ!!___________


「…あのさあ、ハルカ。今更だけど、こいつ封印できるのかね…?何か俺、これ見てたら自信無くなって来たわ…まず屋上まで生きて誘導できるかどうかも怪しい。」


「言い出しっぺの君が言わないでよ…私のライバルであろうものが、そんな弱気なこと言うな________って言いたいけど…正直、このハルカ様も自信ないわぁー…」


何てお互い弱音を吐いているうちに、牛頭コズの再生はとうとう頭部にまで達した。むき出しとなった眼球がギョロりと動き、真っすぐにこちらを捉えた。


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