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幽霊ちゃんとの怪奇な日常。  作者: くろのくん
第11章 オークション編
166/202

赤い悪魔と青の死神

__________ドゴォンッ!!!!

__________ザシュッ!!!

__________うわああああああああああっ!!!!

__________あ、悪魔だぁ・・・赤い悪魔に・・・青い死神っ・・・・!!!


42階、オークション会場となったイベントホールに木霊する打撃音と斬撃音、そして骸の部下の悲鳴。

激しい戦闘による塵煙の中にいるのは、『赤い悪魔』と『青の死神』。そうとしか形容仕様がないほどの戦闘力を見せる、2人の侵入者。


「くそぉ!!!侵入者はたった2人だ!数で押し切れぇ!!!」


俺たちと骸の部下との人数差は、ざっと見ても30倍以上。だが、そのほとんどが低~中級程度の霊を従える霊使いだ。憑依戦闘を体得している俺たちの敵ではない。


「悪霊!!私たちの傍から離れないでよ!!_______うりゃあっ!!!!」


「分かっているのです!」


憑依戦闘によって俺の外見は、紅く髪が発光する幽霊の姿へと変貌しており、その紅い長髪を激しく揺らしながら、次々に襲い掛かって来る骸の部下を殴り倒す。


(「やっぱり修行の成果もあってか、体の動きが夏とは全然違うな。無駄な霊力が一切無くなってる感じがするぜ。」)


「これはアレだね!シンクロ率が300%超えてるって感じ!」


某ヒト型決戦兵器アニメで例える幽霊だが、こいつの言っていることもあながち的外れという訳でもない。夏に、『海亡頭ウミボウズ』を退治した時以上に、体が思い通りに動く。いや、敵の霊力に反応して反射的に体が動いていると言った方が正確かもしれない。

そんな中、骸の部下たちが攻撃を止め10数人で俺たちの周囲を円になって囲んだ。


「おいっ!!精神支配系の霊使い集まれ!!全員で一斉に囲んで金縛りやるぞ!!」


「よしっ…!!いくら強くても霊力には底があるはずだ!尽きるまでの辛抱だ!!」


ズズズ_________

どうやら馬鹿正直に戦うことは捨て、耐久勝負に持ち込む作戦のようだ。実力差がある一方、人数で上回っているこの状況下では、もっとも有効な手段と言えるだろう。だがそれは、敵が『一般的な霊使い』である場合だ。


「残念だったね。私を止めたかったら、君たちのレベルじゃ100人は連れて来ないと。それに、私たちの霊力は________『無限』だっ!!」


バァンッ!!!!!


「______________っぐぁ!?」


一気に霊力を解放させ、囲んでいた敵を吹っ飛ばす。俺は『極霊力』という無尽蔵の霊力を持つため、このように惜しげもなく霊力を存分に使うことが出来る。


「いててて…ちょ、ちょっと!ご主人さま!幽霊!私まで吹っ飛びそうだったのです!悪霊は武闘派じゃないのですから、気を付けて欲しいのですー!」


軽く衝撃波を喰らってしまった悪霊が、尻もちをついてしまったようだ。頬を膨らませ怒っている。


「あー、ごめんごめんw霊力があり過ぎて、力の調節ちょっとミスっちゃったwいやー、強すぎるってのも罪だね。」


「あー!絶対わざとなのですっ!ご主人さまも止めてくださいよ!!」


悪びれた様子も無く、軽い口調の幽霊。こういう幽霊のふざける性格の部分は、憑依戦闘中でも俺からコントロールすることが出来ない。どうにかしないとな…。


(「おいおい、喧嘩すんなって。こっちはあらかた片付いたな。さて、ハルカとふーちゃんの方はどうなったかな。手こずってるようだったら手を貸しに行くか、幽霊。」)


「おっけー。まだまだ暴れ足りないし!」


ガチャ_________


オークションが始まるまでに客が待機する場所となっていた隣の会場では、ハルカとふーちゃんが戦っている。

扉を開け隣の会場に移ると、そこには俺たちが相手にした以上の数の骸の部下たちが、会場の床に転がっていた。全員、気を失って戦闘不能になっている。


「うへー…やっぱ、あの二人は強いわー…。」


(「これはえげつない…ん?まだ戦ってるな。あれで最後のようだ。」)


粉塵の中、会場の中心で光る青い炎。

憑依戦闘状態のハルカが最後の3人の敵を相手に戦っていた。どうやら、俺たちが戦った中にはいなかった『手練れ』の骸の部下のようだ。3対1ということもあり、ハルカも少し手こずっている様子。


_______キィィンッ!!!ザンッ!!!

敵も3人とも憑依戦闘を体得しており、体の一部が『獣』のように変化させている者もいる。ヌイと同じように、獣の霊を体に憑依させているのだろう。その爪で、ハルカの青い炎を纏った日本刀の刃を受けている。あの霊力の大きさからして、憑依させているのは上級霊だ。


(「流石のあの2人でも、上級霊を憑依させてる霊使いを一度に3人は無理だろ!幽霊!すぐ助けに入るぞ!」)


「そ、そうだね!ハルカそれにふーちゃん!大丈夫!?私も戦うから_________」


ズォッ_____________


ハルカとふーちゃんの元に駆け寄ろうとしたその時、彼女の纏う青い炎の出力が一気に上がる。ふーちゃんを体に憑依させているハルカの瞳が一層青く輝くと、纏う炎が巨大な『龍』の形へとそのその姿を変える。そう、以前『G』騒動の時に見たあの技だ。


「________『青龍牙アオキバ』。」


グオォォォォォォォォォッ!!!!!!!!


低い唸り声と共に、青い龍は3人の敵へとその牙を剥く。


「う…嘘…だろっ…!?やめっ________うわあああああああああああああああああ!!!!!!」


龍は3人まとめて巨大な口の中に飲み込み、巨体を捻じらせながら会場を奔り回る。数十秒後、ゆっくりとその姿を消すと、後に残ったのはピクリとも動かない3人。体には、まだ青い炎が燻っている。


「え、えっとー・・・君ら、ピンチだったんじゃなかったの?上級霊の霊使い3人も相手にしてたんだよ…?」


(「そ、それにあの、アオキバ?って技、あんなに龍デカかったっけ・・・?前見た時より明らかに倍以上の大きさだったんだが…。」)


「あの三人、死んじゃったんじゃないでしょうか、ご主人さま…!?お、恐ろしい技なのです‥!!」


ドン引きする俺たちを意に介する様子も無く、ふぅ、と一息つくとハルカとふーちゃんは憑依戦闘を解除し、ハルカの肉体からふーちゃんが現れた。


「苦戦…?あんな練度の低い憑依戦闘、いくら上級霊だからって、私とハルカの敵じゃないの。」


ふーちゃんに続き、ハルカも涼しい顔で口を開く。


「久しぶりに憑依戦闘やったから、身体が慣れるまでちょっと手こずっちゃったねー。あ、その3人はちゃんと生きてるよ、安心して。あの技は、『霊力を焼き尽くす』感じの奴だし。私は殺しはやらないよー。」


「あ、そーですか…」


俺たちも、この2か月の修行によってある程度ハルカとふーちゃんに近付けたんじゃないかと密かに思っていたのだが、ここまで圧倒的な強さを見せつけられると、その実力差はまだまだあると痛感させられる。


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