表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幽霊ちゃんとの怪奇な日常。  作者: くろのくん
第11章 オークション編
163/202

作戦会議

「というわけで、何か良い作戦ある人挙手ー。お、幽霊。さっそく何か思いついたのか?」


「はいはーい!えっとねー、『正面突破』でいいと思いますっ!」


「よし、それは『プランB』として採用してやろう。ハイ次ー。」


「それ絶対採用じゃないじゃんっ!」


時刻は深夜2時。とっくの昔に日付は跨いでおり、アリサの引き渡し時刻まで残り17時間を切っていた。


ハルカとふーちゃんがアリサ奪還作戦に協力してくれる事となったものの、幽霊が言っているような『正面突破』は流石に無理だという結論に達し、こうして全員でコタツを囲みながら徹夜で作戦会議を行っている次第だ。


「・・・あのなぁ、幽霊。さっきも言ったけど、これは殴り込みじゃねーんだぞ?あくまでもアリサの奪還が目的だ。敵に気付かれずに潜入するのがベストだ。そーだろ、ふーちゃん?」


「そうなの。出来れば、『霊攫い』には1人にも出くわしたくないの。ハルカはどう思うの?」


ふーちゃんはカタカタとパソコンを操作しながら、隣でミカンを食べているハルカに問いかける。


「…モグモグ…そうねー、どのくらいの人数が警備しているかは分からないけど、こっちの戦力で一度に相手できる霊攫いの人数は3人ってとこだね。これ以上の人数と戦うのは無理、確実にこっちがやられる。それに、あいつらさっさと倒さないとワラワラ増えるのよねー。」


未だ『霊攫い』の実態は掴めてはいないが、ハルカとふーちゃんの発言から相当手ごわい集団ということは分かるが、倒さないとワラワラ増えるのか…職質を断った時の警官か何かなの?


「ところで、ふーちゃんはさっきからパソコンで何を見ているのですか?」


悪霊が後ろから、ふーちゃんが操作しているパソコンの画面をのぞき込む。


「丁度いいの。これ、会場のホテルの見取り図なの。」


ふーちゃんは、全員が画面が見られるようにこたつの中央にパソコンを移動させた。画面には、pdfに変換された詳細なホテルの見取り図が映し出されていた。


「すご…こんなのどこから見つけて来たのよ。ふーちゃんてもしかして、ハッカーか何か?」


「この程度普通なの。私はただのか弱い霊なの。」


ドン引き気味の幽霊に対して、ふーちゃんはすまし顔で答えながら更にパソコンを操作し、表示部分を40階から上の階に絞る。


カタカタ…カチッ


「この40階から最上階の52階までは、全て敵陣と思っておいた方が良いの。これらのフロアは全てバックに付いている暴霊団の所有物なの。」


「…まじかよ。通りで『専用エレベーター』がある訳だよ。」


ハルカとホテルに到着した際、ボーイは俺たちを通常の一般客が使うエレベーターとは別のものへと案内したことを思い出した。ホテル側と暴霊団は裏でズブズブの関係ということだ。


ふーちゃんの説明を聞いた悪霊が青い顔になる。


「こ、こんなの、どーやって潜入すればいいのでしょうご主人さま?」


「…そーだな。全てのフロアが敵陣といっても、ここは『ホテル』だ。最低限の従業員は居るはず。そうだな…例えばホテルの従業員として潜り込むとかはどうだ?」


良案だと思ったが、すぐさまふーちゃんに否定されてしまう。


「潜入するならそれしかないけど、無理なの。あなたとハルカは既に顔が割れているの。」


「あ!だったら憑依戦闘で私の身体になればバレないんじゃ?」


「おぉ、幽霊!それはナイスアイデアだ_______って駄目だ。確か、霊を遮断する結界があるんだった…」


オークション会場には、一切の霊の侵入を阻む結界が張られていた。商品の引き渡しの際にも、襲撃に備えて同じ結界が張られていると考えるのが妥当だろう。敵陣である40階から52階はまず間違いなく幽霊たちは近づけない。


「霊を遮断する結界は、外からの霊の侵入者には強いけど内側からの攻撃には脆いの。私の推測だけど、これほどの規模の結界を維持するには…そうなの、最低でも10人もの術者が必要なの。生身の人間が、結界内に侵入して騒ぎを起こして、術者を混乱させることが出来れば、結界はすぐに破れるの。」


「むぅ…考えれば考えるほど難攻不落だわ。何とかして、敵陣に潜入できる人間がいればなぁー。顔が割れてない人間で、かつ霊を使わず騒ぎを起こせる人間_______おらんわそんなんっ!」


ハルカが万策尽きた表情で天を仰ぐ。彼女の言う通り、そんな都合のいい人間いるはずがない。結界をどうにかしない限りは、アリサの救出など夢のまた夢。万事休すとなり、作戦会議の場は重い空気に包まれる。


「_________ちょ、ちょっと待って…!!いるよね?一人。私たちのすぐ近くにさ…!!」


沈黙を破ったのは幽霊。何かを思い出したかのように勢い良く立ち上がる。


「何なのですか幽霊?急に。そんな都合のいい人物、悪霊は知らないのですよ?」


「いやいや。いるって!私たちの『上の階』にいるじゃん。あの『変態』が…!!」


幽霊の口から出た『変態』というワードを聞いて、一瞬全員の頭に?マークが浮かぶも、『上の階』でその人物が誰なのか察する。


「…でかしたぞ、幽霊…!!くそっ、俺としたことが、あまりに危険人物過ぎて本能的に脳から除外してたわ。たしかに、ピッタリの人材が上の階にいるな。」


「悪霊も思い出したのですご主人さま…!!元・天獄荘仲居の『青葉あおば』!!」


ピンと来ていなかったハルカとふーちゃんも、その名を聞いてハッとした様子だ。2人も青葉の事ならよく知っている。『G』騒動の際に奴のせいで散々な目に遭ったからだ。


「あの変態女を仲間にするの…?いや確かに、あいつ以上の人材はいないけどさー…」


ハルカが青ざめた顔で呟く。


「ハルカの言う通り、青葉は色んな意味でやべー奴だ…けど__________」


俺に続いて、ふーちゃんがため息をつきながら話す。以前の『G』騒動でのトラウマがあるのだろう。苦渋の決断と言った表情だ。


「…彼女は、とても希少な『生霊使い』なの。恐らく、結界に阻まれることなく侵入することが出来るの。」


「おまけに、青葉が得意とする『催淫の霧』…結界内を混乱させるにはうってつけなのです…!!アレはまじで…や、ヤバいのです…///」


「やめて悪霊…アレはうちらにとって黒歴史だから…!!頼むから思い出させないでよ…。」


頬を赤らめてうつむく幽霊と悪霊。2人は天獄荘の一件で、青葉の『催淫の霧』の効力を身をもって知っている。


「…と、ともかくだ…!!結界を突破するには、青葉に協力して貰うしかない。各々、言いたいことはあるだろうが、今は時間がない。明日の朝一で、青葉の部屋に行って頼んでみ____________」


「__________話は聞かせてもらいましたよっ!お客さんっ!!」


「「「「!?」」」」


俺が言い終わらないうちに、突如ベランダから声が聞こえる。恐る恐る、閉じていたカーテンを開けると、そこには満面の笑みで仁王立ちをしている青葉の姿が。


「あ、青葉っ!?な、なんでお前人ん家のベランダにいるんだよ!?つーか、どーやって上の階から来たんだよ!?」


「ふふふ…青葉はいつでも近くにいるんですよ、お客さん。あ、寒いので早く中に入れてくださいよー!」


「ナチュラルに不法侵入してんじゃねぇよ…あとその『お客さん』って呼ぶの止めろ。何かイヤだわ。」


不本意ながらも、窓を開けベランダにいた青葉を部屋にあげる。


「私にとって、あなたは永遠に『お客さん』ですよ。いやー、それにしても外寒かったです、お邪魔しまーす。あ、幽霊ちゃん、この間は美味しいイカ墨シチューありがとね!」


「…あれ、カレーなんだけど。まぁ、いいや。青葉、協力してくれるってホント?見返りに、霧の実験台になれとかは言わないでよ?」


恐る恐る、幽霊が青葉に問いかける。


「もうそんなことしませんってーwいやですね、どうやら私の力が必要なようなので、この青葉、一肌脱ぎましょうってことです。」


「…あなたなら、一肌どころか勝手に下着まで脱ぎだすのです。それにどうせ、思う存分に霧を試すのが目的なのでしょう?悪霊は青葉の変態さを知っているのです!」


悪霊に問い詰められた青葉は、バツが悪そうな顔をしながら渋々答える。


「ば、バレちゃってますか…まぁ、おっしゃる通りなんですけども…で、でも!ここ数か月、全然私の性欲は発散出来てないんですよ!?いいじゃないですか!邪な目的でもっ!」


「こいつ、開き直りやがった…だが_________青葉の力が必要なんだ。手伝ってくれるか?」


青葉に手を差し出すと、彼女は力強く俺の手を握り返す。


「任せてくださいお客さん!なんなら、そのホテル丸ごとラ〇ホに変えてやりますよ!」


「いや、それは止めろ。」


こうして、アリサ奪還作戦に参加する最後のメンバーに青葉が加わった。メンバーは、俺・幽霊・悪霊・ハルカ・ふーちゃん・青葉の、生きた人間3名に霊3体。

作戦会議はその後も明け方まで続き、決行は商品の引き渡し開始時刻の1時間前である18時に決まった。


「…アリサ、絶対助かりますよね?ご主人さま…」


一同が解散し、リビングで仮眠を取ろうとした時悪霊が不安そうな表情で俺に問いかけてくる。はっきり言って、作戦は不安点ばかりだ。だが、その不安を今ここで悪霊にぶつけるわけにはいかない。悪霊の頭をクシャりと撫でながら答える。


「ばーか。『助かる』じゃなくて、俺たちが『助ける』んだよ、絶対にな。分かったら早く寝ろ。」


「…ハイなのです!ご主人さま!絶対に悪霊は友達を助けてみせるのです!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ