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幽霊ちゃんとの怪奇な日常。  作者: くろのくん
第11章 オークション編
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まだ諦めてないんでしょ?

「お帰りなさいなのです!ご主人さまっ、アリサは___________」


オークションが開催された日の深夜。ハルカと共に自宅に帰宅すると、留守番していた悪霊がすぐさまアリサの安否を尋ねてきた。俺とハルカの沈んだ表情から、オークションの結果は察したようだ。その場にへなへなと膝から崩れ落ちる。


「______だ、駄目だったのですね。アリサを…落札できなかったのですね、ご主人さま…」


「…あぁ、すまん。あと少しだったんだが…」


涙目になっている悪霊を見たハルカが、絞り出すような小さな声で呟く。


「______ごめんっ…!!私が助けるって言ったのにっ…悪霊ちゃんの友達、救えなかった…!!」


「なんでハルカが謝るんだよ。お前は何も悪くない。とりあえず、中に入ろう。ふーちゃんも居るんだろ?」


リビングに入ると、幽霊とふーちゃんが心配そうな表情で俺たちを出迎えてくれた。


「おかえりー、って‥‥その感じだと、うまくいかなかったんだ。」


「2人ともお疲れなの。ひとまず、こたつに入って何か温かいものでも飲むの。今夜は冷えるの。」


ふーちゃんが入れてくれたコーヒーを飲みながら、全員でこたつに入る。そしてまず、オークションでの出来事を留守番していた幽霊・悪霊・ふーちゃんに報告する。研究会のキサキや、仮面教の幹部が来ていたこと、オークションには様々な霊が出品されていたこと。そして、ハルカがギリギリまで頑張ってくれたことなど全てだ。


「…組織が競り相手だと、さすがのハルカの資金力でも勝ち目はないの。運がなかったとしか言えないの。」


「もうちょっと…もうちょっとだったのにっ…!!」


ふーちゃんは落ち込むハルカを慰めるように頭を撫でる。俺達からすればアリサは友達だが、ハルカとふーちゃんにとっては言ってしまえば『赤の他人』だ。俺はそんな彼女たちに、ここまで責任を感じさせてしまう結果となってしまった。


「さっきも言ったけど、ハルカが責任を感じることは無いぞ。お前のおかげでオークションに参加させてもらったんだし、お前が居なかったら俺は競売の土俵にも立てて無かったんだ。」


「そうなのです…ハルカは何も悪くないのです…。悪霊の友達の為にここまでしてくれて、本当に、本当にありがとうなのです…!!」


「2人とも…ごめんっ…ごめんねっ…!!」


なおも謝り続けるハルカ。リビングが重い空気で包まれた時、今まで黙っていた幽霊が突如、俺に向かって口を開く。


「________それで?まだ諦めてないんでしょ?アリサって娘助けるの。黙ってないで、早く作戦を教えてよね。」


「えっ_______幽霊お前、何で分かったんだ?」


「そんなの、君の顔見てたら分かるよ。伊達に居候霊してないってのっ!」


自信ありげに俺を見つめる幽霊。そんな幽霊の発言に、悪霊とハルカも驚愕する。


「アリサを助けることが出来る作戦があるのですか!?ご主人さまっ!!」


「さ、作戦って…そんなの私は知らないけどっ!?」


先ほど俺は、オークションでの出来事を全て報告したと言ったが、実はまだ話していない事が一つだけあった。これは一緒にオークションに行ったハルカも知らないことだ。


「幽霊の言う通り…作戦は、ある。作戦というか、最後のチャンスといった方がいいか。ハルカとふーちゃんをこれ以上巻き込みたくなくて、2人が帰った後に幽霊と悪霊だけに話すつもりだったんだが…」


「そんなの今更だよっ!いいから、作戦って何!?」


ハルカにすごい勢いで問い詰められ、結局は話さざるを得なくなってしまった。


「…分かった、話すよ。実は、オークションが終わった後、俺はある人物からとある『情報』を聞いたんだ。その人物は、超常現象研究会のボスであるキサキからだ。」


______________________________

時はオークションが終了した直後に遡る。


「それでは皆様!これを持ちまして、本日の奴霊オークションは終了とさせていただきます!商品を落札されたお客様につきましては、後ほどお手続きの詳細について、こちらからご連絡させていただきます!本日は、ご参加いただきまして誠に有難うございます!」


ムクロの挨拶が終わるとともに、一斉に席を立つ参加者たち。俺は落ち込むハルカを何とか立たせ、混雑している出入り口を目指す。その時、人ごみの中背後から耳元で囁く声がしたのだ。


「________旦那さまが狙ってたのは、最後の女王霊ちゃんね?残念だったわね…でも、良いこと教えてあげる。落札された商品の引き渡しは明日の夜、このホテルの最上階よ。それまで商品はこのホテルで保管される。」


「その声は…キサキ!?…そんなこと俺に教えるなんて、一体何が目的だ?」


「…まぁ最後まで聞いてよ、旦那さま。商品が客の手に渡ったらもう手出しできないわ、奴霊契約がされるもの。でもまだこのホテルに商品が在るうちは別。」


「…盗めって言ってんのか。俺も同じことは考えた…だが、相手はバッグにでかい暴霊団がついている組織だぞ?警備だって固い。無謀な戦いに、うちの霊は連れていけない…。」


「ふふっ…そこで旦那様に、とっておきの情報。その問題の警備だけど、本来はあの『ムクロ』が直接雇っている『霊攫い』という集団が行うんだけど、それの殆どが今回は居ないらしいの。どうやら『対霊課』と一戦交えてるらしいわ。つまり、明日の夜にかけてのこのホテルの警備はそこまで固くないのよ。」


「絶好の…チャンスって訳か…!!けど、お前の情報をみすみす信じろっていうのは無理があるのだが…。」


「あら、未来の旦那さまの助けになりたいっていうのは普通じゃない?もちろん、信じるか信じないかは旦那さま次第。出来れば私も直接手助けしてあげたいけど、一応私って一暴霊団のボスだから、そういうのは、ね?だからこうして、情報だけでもって。」


屈託のない笑顔で微笑むキサキ。

何度でも言うが、本当にこの人物は何を考えてるのか全く分からない。


「それじゃあご武運を、旦那さま。帰るわよ秘書ちゃん。お腹空いちゃった、何かここで食べて帰りましょう。」


「かしこまりました、キサキさん_______失礼致します。」


手をヒラヒラと振りながら、『秘書ちゃん』と呼ばれる女性と会場を後にするキサキ。彼女が嘘をついている風には見えない。いや、上手く騙されているのかもしれない。だが、正規のルートでアリサを奪還できなかった今、キサキの言葉を信じるしかない。


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