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幽霊ちゃんとの怪奇な日常。  作者: くろのくん
第11章 オークション編
157/202

お嬢様と護衛

__________オークション当日の夜。


俺とハルカはタクシーから降り、寒空に聳え立つ会場となるホテルを見上げていた。


「やっと到着か。東京まで出てくるのは骨が折れるぜ…つーか…これまた馬鹿でかいホテルだなぁ…何階建てだよ、これ。」


見上げるのもやっとなその建造物の外見は、さながら巨大な光の柱だ。俺からの問いかけに、ハルカが招待状を眺めながら答える。


「えーっと、52階建てだってさ。会場は42階にあるイベントホール。ほら、早くしないと遅れますよ、『護衛さん』。」


「もうここから始めるのかよ…。かしこまりました、『お嬢様』。」


ハルカの手を取りホテルのエントランスへと進む。

何故、幽霊たちがおらず俺とハルカの2人だけで来たのか。そして『護衛さん』『お嬢様』などとお互いに呼び合っているのには理由があった。


「当ホテルにお越しいただき誠に有難うございます、お客様。」


エントランスホールに入るや否や、すぐさまボーイが来る。流石は高級ホテルだ、俺が知っているようなビジネスホテルとはわけが違う。


「私たち、『オークション』に招待されているのだけれど?」


いつもの中二病ハルカはどこへ行ったのか、ボーイに応えるその身振りや立ち振る舞いは完全に『お嬢様』を演じきっている。


「_______会場は、42階となっております。どうぞこちらへ、エレベーターまでご案内いたします。」


ハルカが『招待客』だと分かると、若干抑えた声になるボーイ。どうやら会場を貸しているホテル側も、今夜のオークションはあまり大っぴらに出来るようなものではないということを承知しているようだ。


「それでは、いってらっしゃいませ。」


俺とハルカは、普通の宿泊客が使っているエレベーターとは異なる位置にあるエレベーターに乗せられる。なるほど、『専用』エレベーターという訳だ。エレベーターの扉が閉まり、2人の緊張の糸が一旦解ける。


「ぶっはー…『お嬢様』演じるのしんど過ぎだっつーの!」


「まだホテルのボーイと喋っただけじゃねえか…頼むぜ、ハルカ。にしても、改めてこう見ると…馬子にも衣裳だなー。」


今夜のオークションはドレスコードだ。ハルカは赤いイブニングドレスに身を包んでいる。


「うっせー、黙れ!ヒールなんか歩きにくくて今すぐ脱ぎたいんだから!そっちはあんまり似合ってないね、タキシード姿wなんかこう、着られてるって感じw」


「…それは俺が一番感じてるんだから言うな。ほら、もうすぐ42階だ。『お嬢様』と『護衛』に戻るぞ。」


「分かってるって。」


今夜開催される『奴霊オークション』には、いくつかルールが存在する。その中でも最も重要なルールの1つに『持ち霊(契約霊)は会場に連れて入ってはならない』というものがある。オークションには、暴霊団幹部や裏社会の重鎮など多くのVIPも出席する為、霊による『抗争』や『暗殺』が起こらないとは限らない。それを防ぐため、会場には霊を排除する強力な結界が張られているそうだ。しかし、霊使いにとって霊を連れて入れないというのは、裸で戦場へ向かうと同義。そのため、招待客は各自1人の『護衛』の参加が認められている。つまり、今夜のオークションに招待されてない俺は、ハルカの『護衛』として会場に入るという訳だ。幽霊、悪霊、ふーちゃんは家で留守番している。


42階です_________

機械の音声がオークションが行われる階に到着したことを告げ、ゆっくりとエレベーターのドアが開く。するとそこには、『いかにも』な黒服2人が俺とハルカを出迎えた。


「ようこそいらっしゃいました、招待状を拝見してもよろしいでしょうか。」


「これでいいかしら?」


黒服の一人がハルカから手渡された招待状を受け取った瞬間、ボゥっと音を立てながら小さな炎が上がりやがて1本の『黒い羽根』へとその姿を変えた。カラスの羽だろうか。


「ありがとうございます。ご本人様であることを確認いたしました。オークション開始まで、こちらの会場で今しばらくお待ちくださいませ。」


ガチャ_______

そう言うと黒服は、背後の大きな扉を開ける。会場に一歩足を踏み入れた瞬間、会場全体を包む異様な空気に思わず身をすくめてしまう。


「ちょ、護衛。ビビんないでよ…?背中曲がってるし!」


「…分かってるっつーの!てか、なんでハルカはそんなに落ち着いてんだよ…!?」


「ふふーん。君とはくぐってきた修羅場の数が違うのだよ。にしても…分かってはいたけど、化け物クラスの霊使いがうじゃうじゃいるわねぇー…。おら、ワクワクすっぞ!」


「…お嬢様、戦闘民族なのはくれぐれも隠してくださいね…ここで目をつけられたら、元も子もないんですよ…?」


薄暗い待機会場では、参加者がグラス片手にオークションが始まるのを待っていた。簡単な立食パーティーの形式のようだ。ざっと見て会場内の人数は100人ほど。ここにいるほぼ全員が裏社会の人間だと思うと…ゾッとする。

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