怨霊さんⅣ
ピンポーン ピンポーン ピンポーン
鳴り続けるチャイム。
「・・・・やばい。」
「どうしたの?出ないの?」
「ご主人様が出ないなら、私が出ますよ?」
チェーンを外そうとする悪霊。
「待て!開けるな!絶対に開けるな!!!」
「?」
「・・・実は昨日から、変な怨霊に付きまとわれてるんだ。今さっきも追われて、急いで逃げ帰ってきた。んで、今ドアの向こうにいるのが多分そいつ・・・だから絶対に開けるな。」
「なんでそんなの連れて帰ってくるのよ!!」
「仕方ないだろ!!アホみたいなスピードで追われたんだぞ!!」
「フッ、お二人とも落ち着いてください。ご主人様、ここはこの悪霊にお任せください。」
「まさか悪霊、なんとかしてくれるのか!?」
「私ほどの霊となれば、その辺の怨霊の一体や二体、ちゃちゃっと追い払って見せますよ。(ドヤァ)」
「すごいわ悪霊!あんたのそのチート性能は一体どこから来てるの?」
「た、頼むぞ悪霊・・。」
「それでは、まず怨霊とやらの面を見てみましょうか。」
足音を消しながら、ドアスコープを覗く悪霊。
「どれどれ・・・あっ。」
「・・・どうしたの?」
「・・・・・これはガチなやつですね。ちょっと無理っぽいです。」
「おおおい!!!さっきのドヤ顔は何だったんだよ!それにガチなやつってなんだよ!?逆にガチじゃない怨霊とかいねえだろ!!」
「いやあ~、実は幽霊さん以外の霊は見たことないんですけど、みんな幽霊さんみたいなのだったら何とかなるかなって。でも、こいつはヤバいですね。ガチです。ハイ。」
「期待した俺が馬鹿だったよ!!!」
「ちょっと、何気にサラッと私のことdisったよね!?」
ピンポーン、ピンポーン、ピピピピピンポーン
チャイムを押す間隔がどんどん短くなってくる。このままじゃいつドアを破られてもおかしくない勢いだ。
「くそお・・・俺が一体何したっていうんだよ。コンビニでレジやってただけじゃねえか・・・」
「大丈夫ですご主人様!冷蔵庫のプリンを渡せばきっと分かってくれます!」
「そのプリンは昨日てめーが食っただろ!!」
「あっそうでした!!!」
だめだこいつ。全く使えん。
「・・・・仕方ない。私の出番ね。」
「幽霊!?」
「幽霊さん、まさか自らの命を犠牲に・・・?」
「勝手に殺すなっ!!・・・こうなったら、もうあの人に頼むしかないわ。」
「あの人って誰だよ。」
「前に言ったじゃん。私の憧れの人、貞子さんよ!!」
だめだ。嫌な予感しかしない。