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幽霊ちゃんとの怪奇な日常。  作者: くろのくん
第10章 海の家編
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WAVE3~海亡頭~

「こ、こんなの、どうやって倒せばいいのっー!?」


ズルルルルル…ズバァァァンッ!!

砂浜の地形が変わってしまうほどの凄まじい威力で、次々に襲い掛かって来る無数の巨大な触手群。憑依戦闘モードの幽霊は赤い髪を激しく揺らしながら、驚異的な身体能力とスピードで触手を躱しているものの、海亡頭ウミボウズにダメージを与えることが出来ないでいる。


(「幽霊、気を付けろ!一斉に来るぞ!!こいつ_____だんだんこっちの動きを先回りして攻撃してやがるっ・・・!」)


シュルシュルシュル________ズガガガガガガ!!!!

数十本触手が一斉にこちら目がけて振り下ろされる。砂浜に突き刺さった触手目がけて、幽霊が全力で蹴りを喰らわせるものの、効いている気配はない。


「だめ!ニュルニュルしてて、攻撃が受け流されてるしっ!________ったく、何本あんのよ!この触手!タコなら8本じゃないのっ!?」


(「8本どころか、15…いや、下手したら20本はあるぞ…マジもんの化け物だ…。こいつ、怪獣映画とかに出てくるやつだぞ?こういうの相手にするのは軍隊の仕事だろ!一旦引いて、作戦を立て直した方が________」)


「うっさいなぁっ!!私が戦ってるんだから黙っててよっ!」


俺の呼びかけに、聞く耳をもたない幽霊。

これだけの数の触手だ、沖の海中にいる本体は全長数十メートルとか、そんな次元のデカさだろう。海亡頭ウミボウズを倒せばボーナス100万円だったが、桁を一つ足してもまだ釣り合ってないと思えるほどの怪物具合。


_______一方、海上。

憑依戦闘でケモミミモードのヌイは、襲い来る触手を躱しながら高速で海面を駆けていた。


「_____ぜぇ…ぜぇ…よ、よし!あいつらが砂浜でほとんどの触手のタゲ取ってくれてるおかげで、こっちへの攻撃は薄いぞ!今のうちに、本体を叩いて…ボーナスはこのヌイさまが頂くっ!!化け犬っ!そろそろ本体だ、全力で行くぞ!」


(「…ワカッテイル。ギリギリマデ、レイリョクヲアゲルゾ。」)


「____うっ・・・ウゥ…!!!ガルルルルッ…!!!」

ズズズ…!!!メキメキメキッ_____!!!!

ヌイの纏う霊力が一気に上昇し、ざわざわと毛が逆立つ。同時に爪と牙もさらに鋭く尖り、より『獣』へとその姿を変化させる。


「_______今の私が出せる、最大出力での斬撃…!!水の上から真っ二つにしてやるっ!」


ザンッ!!!!!

過去最大の威力でヌイの爪から放たれた斬撃は、海亡頭ウミボウズの本体がいるであろう、海中目がけて一直線に空を裂く。


「いっけえええええ__________なっ!?」


ザシュッ!!!

「________キシャアアアッ!!!」


突如、海中から出現した無数の藻屑霊が、幾重にも重なりあってヌイの斬撃を止める。


「こいつ、子を盾にして______!?くそ、これじゃあ斬撃が届かないっ…きゃっ!?」


ニュルルルッ_____ガシッ!!

触手のうちの一本がヌイの足を掴み、宙に投げ出される。必死に抵抗するも、ぶんぶんと振り回され、一気に砂浜へと飛ばされる。


「ぬわぁぁぁぁぁぁ________っ!?」


「えっ!?ちょ、ちょっと!!嘘でしょ…こっちに何か飛んでき________ヌイっ!?」


(「幽霊っ!避けろぉぉぉっ_______!!!!」)


ズッシャァァァン!!!


海亡頭ウミボウズが投げた先は、砂浜で触手と戯れていた幽霊。見事、ヌイミサイルは幽霊に命中し、二人は仲良くまとめて吹っ飛ばされる。


____________________________

そんな悲惨な幽霊たちの戦闘を、師匠は少し離れたところから様子を伺っていた。


「…あーらら。酷いなー、あれは。まるで連携ってもんが取れてねーわ。」


「あの子たち、だっ、大丈夫でしょうか‥?かなりの勢いで激突してますけど…。」


かよっちが、あわあわしながら心配そうに師匠に問いかける


「あぁ、あれくらいなら大丈夫だ。マジでヤバくなったら俺が止めるさ。にしても______あいつら、潜在的には海亡頭ウミボウズなんか圧倒できるくらいの霊力はあるんだが…如何せん、憑依戦闘を使いこなしてないんだよなぁー。勿体ない。」


「…悪霊に、何か出来ることはないのですか!?」


主人に待機を命じられ、師匠たちと一緒に眺めることしかできない悪霊は、居ても立っても居られないといった表情をしている。


「お前、悪霊といったか?…やめとけ。海亡頭ウミボウズの触手は、例え霊体でも押しつぶす。てめーが主人との憑依戦闘を完成させているならまだしも…今行ったところで足手まといになるだけだぜ?」


師匠の言葉に一瞬黙りこくる悪霊であったが、すぐさま何かを決心していたように再び口を開く。


「______そ、それでもっ!」


「ん?」


「…あ、悪霊は…ご主人さまの霊なので、やっぱり傍を離れるわけにはいかないのですっ!幽霊のバカに任せてられないのです!」


そう言い残し、主人の元へと走る悪霊。その後ろ姿を見送りながら師匠は呟く。


「…随分と懐いてるじゃねぇーか。…どう思う?かよっち。」


「そ、そうですね…悪霊さんの霊力は、間接攻撃型。彼と完全な憑依戦闘が出来れば、『あの程度』の海亡頭ウミボウズ、砂浜から手を触れずに倒すことも容易でしょう。しかし_______」


「_____そう、初っ端から完全な憑依戦闘は無理だろうな。出来てもせいぜい、『今の幽霊』程度だろう。さて、どうするか見物だな。」


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