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幽霊ちゃんとの怪奇な日常。  作者: くろのくん
第10章 海の家編
147/202

100万円

舞い上がった砂をヌイと仲良く被りながら、なんとか立ち上がる。


「な…なんなんだ一体______マジで何だ…これ!?」


ズルズルズル_________

俺たちを叩き潰そうとした正体、それは巨大な『触手』だ。俺たちが数秒前までたっていたところにいは、衝撃で数十センチもの掘りが出来ていた。もしヌイに助けられなかったら、今頃ぺしゃんこだ。


「ボケっとすんな!次が来るぞっ!」


ヌイは夜目が効くのだろう、暗闇の中でも触手に反応している。

ニュル________シュルシュル_________ズゥゥンッ!!!


「くっそぉっ______海から伸びて来てんのかこのバカでかい触手は!?とにかく、一旦砂浜から出るぞ!」


次々に振り下ろされる触手を掻い潜り、なんとか射程範囲外にまでヌイと共に避難する。すぐ近くに、同じく避難してくる幽霊たちの姿が。


「…流石にここまでは触手は届かないか。お、幽霊、悪霊!こっちだこっち!」


「はぁ…はぁ…アレなに!?タコ!?デカすぎでしょ!?」


「ご主人さま!あれたこ焼きにしたら何人前になるのですか!?」


興奮状態の幽霊と悪霊。こんな時でもうちの霊たちは食べ物方面に考えるのかと、呆れを通り越してある意味尊敬だ。


「どう見てもタコじゃねーだろあれ。______師匠、知ってんだろ?アレの正体。」


先ほどから落ち着いた様子の師匠とかよっち。その表情から、あのタコの化け物の出現を予期していたことが伺える。


「思ったより今年は早く来たなー…。お前らも察してる通り、アレはお待ちかねの【WAVE3】だ。別名を、海亡頭ウミボウズ。簡単に言うと、藻屑霊の親玉みたいなもんだ。」


「…やっぱりか。【WAVE3】があそこまでの化け物だったとは…けど、運が良かった。あんなもんが昼間、海水浴客がいる時間帯に出たらと思うと…確実に死人が出るぞ?」


沖の方で食い止められる藻屑霊とはわけが違う。砂浜まで届くようなあんな巨大な触手、俺たちだけで防ぎきれるわけがない。


「あぁ、それについては大丈夫だ。アレは盆の最終日の夜にしか出ない、太陽光が弱点だからな。だからほら、そこの看板見てみろ。ここの海水浴場は、日没後は立入禁止なんだよ。」


「ほ、ほんとだ。…ん?ってことは、師匠!あんたわざと私たちを花火に誘ったの!?」


珍しく幽霊の察しがいい。俺はあのタコが出た直後から、師匠にはめられたと気付いていたが。


「奴は光に誘われて出て来るからな。今年は運がいい。始めてからすぐに釣れたからな。大変なんだぞ?なかなか釣れない年もあるんだからな。ちなみに去年は4時間粘ったんだぞ。なぁ、かよっち。」


「わ、わたしは師匠さんと夜釣りが出来て、楽しかったですよ!」


「つ、釣りって…どうすんだよ、あんなのわざわざ釣って…。」


ちらりと海の方を伺うと、やっぱりまだいる。本体は見えないが、月明かりに照らされた海面からうねうねと複数の触手をうねらせている。


「どうするって、倒すんだよ。お前らとヌイで。そのためにわざわざ釣ったんだろ?_____ちなみに、海亡頭ウミボウズを倒した報酬は_____100万だ。」


師匠の口から出た金額に、一同驚愕する。


「ひゃ、ひゃくまんっ!?ご、ご主人さま!100万って、あの100万円ですか!?」


「悪霊、落ち着け。顎が外れるぞ。師匠、なんであのタコがそんな大金なんだ?夜しか出ないなら被害もないだろ?」


「疑ってるなー?海亡頭ウミボウズを放っておくと、次の年に出る藻屑霊の強さに影響するんだよ。実際、とある海水浴場では数年間、海亡頭ウミボウズを放っておいたせいで藻屑霊が手に負えないほど強くなっちまって、閉鎖にまで追い込まれた例もある。」


「なるほど…それでそんなに報酬が高いのか。_______どうするよ?幽霊?」


恐らくあのタコを倒すには一筋縄ではいかないだろう。だが、そんな質問を幽霊にするのは愚問だったようだ。


「ひゃくまん…!!頂くしかないでしょ!それに、タコ100年分までおまけで付いてくるとは一石二鳥じゃん!」


「そう言うと思った。あれを喰う気にはなれんが_____タコ狩って、100万頂くとするか!」


「そうと決まれば話は早い______ってあれ?ヌイは!?」


つい今しがたまでいたヌイの姿が見えない。


「ヌイならもう行ったぞ?言っておくが、今回のボーナスは早い者勝ちだ。」


海の方を見ると、そこには既に触手目がけて海面を走っている、ケモミミモードのヌイの姿が。動きやすいように来ていた浴衣の裾を破いており、白い太ももが見えている。


「なっ!ヌイのやつ、もうあんなところに!先越されちゃってんじゃん!こっちも行くよ!」


「よ、よし。悪霊、お前は一応ここで待機してろ。ひとまず俺と幽霊で戦ってみる。」


「りょ、了解なのです!」


_______こうして、ボーナス100万円をかけて夜のタコ狩りが始まった。

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