3撃。
霊体となった幽霊を体に受け入れた直後、怨霊さんの時は異なる感覚に身を包まれる。あの時は抑えきれないほどの『殺意』だったが今回は違う。まるで俺自身が幽霊になったような______
(「ん?______何だこれ?妙に脚がスース―するような…それに頭から肩にかけて妙にワサワサするな___あれ、髪の毛が赤くね?何か光ってね!?これホントに俺の体______???一体どうなって_____」)
「うるさいなぁー…。頭の中でごちゃごちゃ言わないでよ。今からおかめ男をぶっ飛ばすんだから。」
(「ゆ、幽霊さん???何かさっきから体の自由が利かないんですけど。もしかして、俺の体乗っ取ってんの?また暴走したのか?」)
俺からの問いかけに、幽霊は視界に自分の体が映るように視線を動かしながら答える。
「『俺の体』って…ほら。幽霊ちゃん、なんだかよく分からないけど生身の体ゲットしちゃったみたい!そのせいか、めっちゃ霊力の調子がいいんだよね!何ていうか、すっごい燃料ですっごいエンジンを動かしてるみたいな…まぁ、とにかくごちゃごちゃ言わないで黙って見てて______負ける気がしないから。」
な…何という事だ。『まるで俺自身が幽霊になったような』ではなく、文字通り俺は『生身の幽霊の肉体』となってしまっている…!?思念体だけが幽霊の頭の中で存在しているようだが______俺の体、どこ行った!?
メキメキッ____ガッシャァァンッ!!
俺が現状を理解する間もなく、壁にめり込んでいたおかめが何食わぬ顔で復活する。
「あいたたた…今の飛び蹴りめっちゃ効いたわぁー…痛いわぁー…コレ絶対あばら何本か逝ったわぁー…__________で?どんな死に方がお望みでっしゃろ?」
仮面を被っているため表情は分からないが、先ほどまでのふざけた明るい口調ではなく明らかにこちらを警戒し殺意が込もっている声色だ。
「んんーーー???よく見たらお嬢ちゃん、さっきまで霊だったよねぇ?ねぇ?何なん、その体?おまけにそのぶっ飛んだ霊力______ますますうコレクションに入れたくなったでぇ!!首っ、置いてきやァァァ!!!!」
ダッ___!!!!!
巨大斧を片手に一気にこちらに距離を詰めて来るおかめ男。
(「うわぁぁあ!!ゆ、幽霊、ここは一旦引いた方が_________」)
「さっきの飛び蹴りは準備運動。こっからは『本気』だから。これは______私らをここに閉じ込めた分っ!!!!」
ゴスッッ
「!?!?おぷぅっっ!!!!!???」
幽霊は俺の呼びかけには一切耳を貸さず、斬りかかってくるおかめ男の腹部に幽霊の鉄拳がえげつない音を立てながらめり込んだ。
「_______っ!?!?!?あっあばっ…あばばっ…」
必死に体制を立て直そうとするおかめだったが、あまりの腹部の鈍痛にただその場で悶絶することしか出来ない。反撃の隙を与えず、更に幽霊の追撃が炸裂する。
「んでもってこれが_____ヌイを吹っ飛ばした分っ!!!」
ヒュッ_____バキィッ!!!
「ぬぷぅッ_____!?」
今度は顔面への回し蹴り。幽霊があのヌイを圧倒したおかめ男を圧倒している。今まで俺と手を繋いで戦っていた時とは明らかに一撃一撃の『重さ』が桁違いだ。
「トドメはぁ_________私が漏らした分っ!!!!!!!」
「ハァ…ハァ…ぬぅ!!!!!」
ピシッ________バリィィィンッッ!!!!!
巨大斧でガードを試みるおかめ男だったが、幽霊の『頭突き』がそれを砕く。
「_________こ…ここでやられるわけには___アカンでぇ…~____あば…あばばば______」
バタッ
宙に舞った粉々になった斧の破片と共に倒れるおかめ男。自分のおでこを撫でながら幽霊が勝利宣言をする。
「いてて‥流石に頭突きは痛かった…でも、まぁいいや!あースッキリしたっ!!終わりっ!」
ヌイが驚愕と興奮の入り混じった声で呟く。
「た…たった3撃で倒しやがった…!!これが極霊力の力…!!生きた人間の体まで生み出すのか!」




