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幽霊ちゃんとの怪奇な日常。  作者: くろのくん
第10章 海の家編
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肝試しⅢ

「あのさぁ…ちょっといいかな?」


「ん?なんだ幽霊?トイレか?仕方ないなぁ、耳塞いでてやるからそこら辺でしてこい。廃屋だし、誰も文句言わんだろ。」


「違うわぁっ!!っていうか、もしトイレでも廊下のど真ん中でする女の子がどこにいるんだよぉ!私が言いたいのは_______『ここ、広すぎッ!!』って事!!」 


屋敷に突入しておよそ1時間が経過。3人で固まってヌイの捜索をしていた俺たちだったが、異常なほどの部屋数の多さと廊下の長さに悩まされていた。


「むぅ~…今のところ、食堂が23個、浴室が13個、客間・寝室に至っては52個。もういっそ、ここに住んじゃいましょうかご主人さま。あはは…。」


悪霊が死んだ目をしながらボソリと呟く


「一体、どんな金持ちが建てたんだろうなー…_____んなわけあるかいッ!!!ハァ…ハァ…悪霊、ノリツッコみを俺にさせるな。」


俺たち全員敢えて誰も口にはしなかったが、入った直後から何となく勘付いていた。この屋敷の広さは『異常』だ。この廊下、何Kmあるんだよってレベルで。


「____ま、明らかに【空間支配系】の霊の仕業だな。そりゃヌイも迷子になるわけだ。」


空間支配と聞いてまず思い浮かぶのは、師匠の持ち霊のかよっちだ。彼女の手にかかれば、俺のアパートの一室も迷宮へと変化させることが出来る。だが果たして、その辺の野良霊にこのような芸当が出来るのだろうか。かなりの上級霊の可能性がある。


「うぅ~…こっちは肉がかかっているというのに…!!あれ?階段?」


果てしなく続いているかと思われた廊下であったが、目の前には三つに枝分かれした巨大な階段が現れた。昇った先は闇が濃すぎてペンライトでは照らしきれない。


「…どうする?一応、ここで別れてそれぞれ手分けするって手もあるが?まぁ、1人がどーしても怖いっていうなら強要はしないけど。」


「・・・はい?もしかして君、この幽霊ちゃんが暗いところが怖いとでも言いたいのかな?」


「悪霊は初めから手分けして探そうと言っていたのです!」


全員、あまりの空腹とイライラでどうかしていたのだろう。こういう状況下で一番取ってはいけない行動の1つである『手分けして探す』という愚行を選択してしまう。十中八九、1人ずつ消えていくというのがこの後のお約束だ。


「…決まりだな。俺は真ん中、幽霊は右、悪霊は左に進もう。一番最初にヌイを見つけた奴が【BBQで肉を優先的に食べれる権利】をゲットする。これでどうだ?」


「_____上等!」


「やってやるのですっ!」


______________________________


と、意気揚々と別れた俺たちであったが、分かれて10分もしないうちにそれぞれが後悔していた。


「はぁ・・・まあ普通に考えたら、どれだけ広がってるか分からないこの屋敷で散らばるのはバカだよなぁ…あぁー・・・10分前の自分を殴りたい。つーか、今ここで襲われたら俺なにもできないじゃん…あぁー、くっそっ、ヌイどこにいるんだよぉーーーっ!!」


俺に出来ることと言えば、手当たり次第に目につくドアというドアを開けまくるしかない。


ガチャ…バタン。ガチャ…バタン。ガチャ…バタン。


「ここも_____いない。ここも_____いない。ここも、いな_______ん??」


何個目のドアだっただろうか。何回も目にした寝室だったが、今までと何かが違う。ベッドが盛り上がっているのだ。丁度、人ひとり潜っているくらいに。


「_______もしかして…ヌイ…か?」


パサっ


ゆっくりと毛布をめくると、そこには真っ赤に顔を泣きはらしたヌイの姿が。俺の顔を見るなり、いきなり抱き付いてくる。


「夢…じゃない…!!うわぁぁーーーんっ!!怖かったよぉーーーーっ!!!」


ヌイ、発見。


___________________________

一方、右の階段を選んだ幽霊と左の階段を選んだ悪霊。


「う…こんな時に、トイレに行きたくなっちゃった…!どうしよー…もぉ、あいつがさっきトイレとか言うからホントに行きたくなったじゃんかぁー…うぅ~…トイレどこだトイレぇー・・・」


急に催した幽霊は、半泣きになりながらトイレを必死に捜索していた。別れる前はあれだけあったトイレなのだが、必要な時に限って見つからない。


「やばい・・・漏れちゃうぅー…し、仕方ない。ろ、廊下の隅でするしか_________」


スルル_____

と、履いていたショートパンツを下ろしかける幽霊だったが、思わぬ人物に見つかってしまう。


「ゆ、幽霊さん。何して…まさか、ホントに廊下で用を足すつもりなのですか…!?」


「ふぇっ!?あ、悪霊!?アンタどっから!?ち、ちが!違うわよ!!これはそのー…ああーもう!そうよ、トイレに行きたいのっ!これで満足!?」


廊下の反対側から現れたのは悪霊。別々の階段を上った二人だったが、結局再び合流することとなる。


「幽霊さんがプライドを捨てた…!?そんなに漏れそうなのですか。あ、トイレならそこの角を曲がったとこにあったのです。」


「ほんと!?助かったーっ!!」


すぐさま悪霊が指さす先のドアを目指す幽霊


「あっ、そこじゃなくて、もう一つ隣の_______」


ガチャ


「トイレトイレトイレーーーーっ!!!_______へ?」


幽霊が明けたドアの先にあったのはトイレではなく、今まで一つもなかった『明かり』の灯った部屋。カップ麺の空き殻や新聞、タバコの吸い殻など、棲みついて2~3週間ほどといった具合の散らばり具合のその部屋には、『おかめ』仮面を付けた謎の人物がいた。


「おほぉぉーーーー!!見つかってしもうた!見つかってしもうた!どうしよ!?殺さんと!殺さんと!!!」


こちらに気付き、奇声と共に物騒な単語を連発するおかめ仮面。

そして、瞬時に『あ、コイツヤバい。』と本能的に感じる幽霊と悪霊_______肝試しの夜も、佳境に入る。


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