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幽霊ちゃんとの怪奇な日常。  作者: くろのくん
第10章 海の家編
134/202

もう全部あいつ一人でいいんじゃないかな

その晩______

ここは海の家の2階・従業員用の宿泊部屋。昼の業務を終え、夕食の前に部屋に集まり荷物等を整理している時、ふと口を開いたのは幽霊だった。


「あのさー、私思うんだけど、もう全部あいつ一人でいいんじゃないかなぁー。私ら、いらなくない?」


「・・・。」


幽霊が言っていることももっともだ。というのも、ヌイが藻屑霊を一掃したあの後、何度か再び藻屑霊が同じように押し寄せたのだが、俺たちはただ砂浜から眺めることしかできず、結局全てヌイが追い払ったのだ。仕方なく俺たちは、海の家での皿洗い等々の雑用で一日を終えてしまった。


「そうですよご主人さま!もうすべてヌイに任せればいいのですっ!我らは普通の雑用だけで高額の時給をゲット出来るのですから!」


「______幽霊、悪霊。たしかにお前らの言ってることも一理ある。というか、千里ある。全部ヌイに任せて、俺らは楽して金をゲット出来れば、こんないい話はない…だかしかし!世の中はそんなに甘くなかった…!!」


「へ?」


「どういうことなのですか?ご主人さま?」


首を傾げる幽霊と悪霊。


「_____さっきな、この海の家のオーナーに言われたんだよ。『あの報酬は、藻屑霊をより倒した方にのみ支払われます。今日の調子では、君たちに報酬は支払われない。むしろ食事代と宿泊代を請求することになる』と…!!!つまり、ここに来るまでの交通費諸々鑑みれば…赤字ッ…!!!」


「嘘…でしょ…??」


「そんなこと、ネットのページには載ってなかったはず______あっ」


急いで確認する悪霊であったが、たしかにバイトの募集が掲載されていたサイトには小さな文字で『報酬は歩合制。雑用のみの日給は3000円』との記述が。


「つまりだ・・・このままだた俺たちは、ただこの海の家に金を落としに来ただけということになる。何としてでもこの事態は避けなければならない!!」


とは言うものの、現時点では何の策も思いつかない。というのも、この藻屑霊の襲撃は【WAVE(波)】と呼ばれている。WAVEは大きく分けてWAVE1~WAVE3の3段階に分かれており、徐々に押し寄せる藻屑霊も強くなっていくのだとか。つまり、今日のWAVE1で成す術もない俺たちが、今後活躍するのは絶望的というわけだ。


「うちらも、やるしかないんじゃね?_____ひょういせんとう?って奴!!私たちなら出来るでしょ!」


「幽霊、お前のその自信はどこから湧いて出て来るんだよ。…まぁ、たしかに?残された手立てはヌイのように『憑依戦闘』を試してみることしかない。でもなぁ…もしまた、前の怨霊さんの時みたいに暴走でもしたら…そもそも、こんな行き当たりばったりで出来るような芸当じゃないだろ、アレは。」


入院しているときに、ふーちゃんに耳に胼胝ができるほどくぎを刺されたのだ。『憑依戦闘は訓練が必要だ』と。しかも今回は、多くの海水浴客がいる。もしまた暴走してしまったら、必ず巻き込んでしまうことになるだろう。


「むぅー…。こうなったら、何とか今の我らの力だけであの気持ち悪い藻屑霊を倒す方法を考えなければならのいのですー。」


難しい顔をしながら腕を組み考え込む悪霊。だがそんな彼女の集中力も長くは続かなかった。


グゥ…________


「お…お腹が空いたのです…。晩御飯はまだなのですかご主人さま??」


「私もお腹空いたー。」


「お前らなぁー、もうちょっと真面目に考えてくれよー…。」


ガラッ_______

幽霊と悪霊の腹の虫が鳴ったタイミングを見計らったかのように、部屋の引き戸が開かれる。そこには、シャワーを浴びラフな格好になったヌイの姿が。満面の笑みだ。


「おい、お前らー!!お待ちかねの、晩飯の時間だぞーっ!!なんと、BBQだ!喜べ!」


ヌイが発した【BBQ】という単語に狂喜乱舞する幽霊と悪霊


「おおぉーーーー!!バーベキュー!!やったぁーーー!!」


「肉!海の幸!!楽しみなのです!!!!」


もちろん、そう簡単に晩飯にありつけるはずは無く______________

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