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幽霊ちゃんとの怪奇な日常。  作者: くろのくん
第10章 海の家編
133/202

WAVE1

藻屑霊______

海に棲みつく霊の一種で詳しい生態は分っていないが、地上に棲みつく霊とは異なり、どちらかと言えば所謂『妖怪』の類に近い存在らしい。普段は沖の海底で力を蓄えており、海水浴客の増えるこの季節を見計らって海岸へと姿を現し、人々を襲う。『お盆の季節に海に入ってはいけない』とよく言われる原因はこの為だ。


「な…なんて数…100匹以上は確実にいるぞ!?は、早く海水浴客を避難させないと_____!!」


1匹だけでも十分脅威なのに、あんな数で一気に襲い掛かれたら何人が犠牲になるか。考えただけでもゾッとっする。


「で、でもどうやって避難させるの…??こんなにいっぱい泳いでる人いるのに!」


「1匹倒すだけでも、わたしと幽霊の連携でやっとだったのに…どうしましょうご主人さま!?」


慌てふためく幽霊と悪霊。だがヌイは落ち着いている様子だ。むしろこれからの戦闘にワクワクしている。師匠にいたっては、とっくにこの場を離れ砂浜からこちらを暢気に見学している…


「おいヌイ!師匠に手伝ってもらわなくていいのかよ!いくら何でもあれだけの数、俺たちだけじゃ無理があるぞ!」


「…俺たち?ふふふ、ここは私だけでじゅーぶん!!アンタ達は邪魔よ!それに、師匠に手伝って貰ったらすぐ終わっちゃうもん!______それじゃ、始めるぞ。一方的な『蹂躙』を見せたげる!」


ヌイはにやり、と不敵な笑みを浮かべるとサーフボードの上に立ったまま、腕を空に向かって掲げる。

ズズズ________グルルルル…

大きな鎖と低い唸り声とともに空中に出現したのは、以前俺と怨霊さんが戦ったあの『化け犬』。そして次の瞬間、霊体の化け犬がヌイの体へゆっくりと溶けてゆく。


「これは…憑依戦闘!?動物霊とも可能なのか!?」


バチッ_____バチッ______ざわざわざわ__________

ヌイの体から激しく赤い火花が経ち、同時に彼女の髪の毛が逆立ち始める。口元には牙が生え、爪も鋭く尖り始める。それだけじゃない・・・俺の目の錯覚でなければ、彼女の『頭』と『腰』の部分から、とんでもないものが生えている。


「ヴゔゔぅ…ガルルルル……滾ってきたぜぇ~…!!!!」


「犬の耳と_____尻尾っ!?」


「すごーいっ!ケモミミ少女だああああああっ!!!」


「モフモフしたいのですーーー!!」


ダッ______

幽霊と悪霊の歓声に若干満足げな表情を浮かべたヌイだったが、すぐに気を取り直しサーフボードから凄まじい跳躍力で飛び立つ。


「まさかヌイのやつ、潜って海中で闘うのか?いくらなんでもそれじゃあ藻屑霊の方に分があるんじゃ______はぁ!?」


そのまま海中に飛び込むのかと思いきや、なんと海面を『走って』いる。そのまま一気に藻屑霊の集団へ一直線に突っ込んで行く。不意を突かれた藻屑霊たちは、あわてて散らばり海中へと逃げようとする。


「キ…キシャァァ!!!!」


「逃-がーさーなーいっ!!ガゥッ!!!!」


ザンッ______

バッシャアァァァァンッッ___________!!!!!!!!!


ヌイの振りかざした手から出された斬撃は、辺り一面を海水ごとぶっ飛ばし、空中に何十匹もの藻屑霊が放り出される。こうなってしまっては、後はヌイが予告した通りの『蹂躙』だ。


ザシュッ!!ザンッ!!!カブッ!!!!ブチィ!!!


「このヌイ様の牙と爪からは逃げらねーぞ!大人しく狩らせろぉーーーっ!!」


エグい音を立てながら、次々にヌイに『裂かれ』『噛み千切られ』る藻屑霊たち。その圧倒的なスピードの前に、あっという間に辺り一面は藻屑霊たちの残骸まみれになった。凄まじい臭気だが、霊感のない他の海水浴客は何も感じないようだ。ヌイの姿も見えていないのか?


「ハァ…ハァ…ふぅー、終わった終わったぁー。まだ【WAVE1】だしこんなもんかなー。全然暴れ足りねーっ!」


残骸を片手にぶら下げながらこちらに戻ってくるヌイ。これが憑依戦闘を習得したヌイの力…!圧倒的すぎる。

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