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幽霊ちゃんとの怪奇な日常。  作者: くろのくん
第10章 海の家編
132/202

藻屑霊

悲鳴を上げたのは、俺たちのすぐ傍で海水浴を楽しんでいた若い女性2人組のうちの1人のようだ。恐怖で目を見開き、パニック状態になっている。


「だ、大丈夫ですか!?一体何が_____とにかく、こっちの浮き輪に掴まってください!」


「と、友達がっ!急に何かに引きずり込まれてっ…た、助けなきゃっ_______!!」


途切れ途切れになりながらも、何が起こったのか説明する女性

何かに引きずり込まれただと?足がつって溺れてしまったのだろうか。とにかく急いでゴーグルを装着し、海中を確認してみる。幽霊と悪霊も俺に続いて潜水する。


ゴポポポポ________


(「んんーーーーーーーっ!!!んんーーーーーーーっ!!!!」)


(「いたっ!_______何だ…?あれは…!?」)


幸い、泳いでいた場所はそんなに深くなくすぐに海底が見えるほどの深さだったため、溺れている女性はすぐに確認できた。いや、正確には溺れているのではない。異形の何かに足を引きずられ、沖へと連れ去られようとしている。苦しそうな表情を浮かべながら抵抗する彼女であったが、どんどん俺たちとの距離を離していく。


(「このままじゃまずい!悪霊っ!」)


(「分かってますっ!ご主人さまっ!」)


目で悪霊に合図を送る。それにすぐさま悪霊は反応し、謎の『異形』に向けて手をかざす。


(「逃がさないの________ですっ!!」)

ズズズズ_________グンッ!!!


得意とするポルターガイストを使い、女性を連れ去る『異形』の動きを止め、強制的ににこちらに引き戻す。抵抗している様子の『異形』だが、どうやら俺からの霊力供給も受けている悪霊の力の方が強いらしく、どんどんこちらのとの距離が縮まる。その姿は、さながら針にかかった魚のようだ。


(「次は幽霊っ!分かってるな?俺の手を掴めっ!一発で仕留めるぞ!」)


(「っしゃあぁっ!!任せてっ!」)


ガシッ


幽霊と手を繋ぎ、直接霊力を流し込む。すぐに幽霊の周りに赤いオーラが現れ、幽霊の目も赤く変色する。


(「喰らええええええっ!!一撃必殺っ!幽霊ちゃんパァァァンチッ!!!!」)


『異形』が目の前にまできたタイミングを見計らい、幽霊の右拳が『異形』の顔面を直撃する。


ドッパァァァァァンッ!!!


殴られた異形は襲っていた女性の足を離し、高い水しぶきを上げながら海面へと吹っ飛んでいった。すぐに女性を確保し、俺たちも海中から酸素を求めて上昇する。


「_____っぷはぁッ!!!はぁ…はぁ…だ、大丈夫ですか!?」


「ゴㇹッ…ゴㇹッ…た、助かり、ましたっ…ありがとうございます…!!ゲㇹッ…私、『見えない何か』に足を掴まれてっ…、一体、何が…???ハァ…ハァ…」


酷く混乱している様子だが、どうやら命に別状は無いようだ。良かった。それにしても、この女性が見えていなかった、ということはあの『異形』は霊なのか‥?


ブォォォン______


「おー、どうやら何とか倒したみたいだな。まぁ、まだ【WAVE1】だし余裕だろ。ほら、その女性をはやくこっちに乗せろ。陸まで俺らが届ける。」


混乱する俺たちとは正反対に、水上バイクに乗った落ち着いた表情の師匠とその後ろに乗ったヌイが姿を見せる。


「はぁ…はぁ…見てたんなら手伝えよっ!それより、アレは何だ!?霊か?初めて見たぞあんなの!」


「さっき説明してやっただろっ!あれが、藻屑霊だよ。えーっと…ほら、お前らが倒した奴はそこに浮いてるぞ。」


ヌイが指す数メートル先の海面に俺たちが倒した異形の正体、藻屑霊がぷかぷかと間抜けな姿で浮いていた。


「う…なんだこりゃ。」


「き、きもいのです!なんかブヨブヨしているのです!」


海中ではよく見えなかった藻屑霊の外見は、俺たちが地上で見るような野良霊とは大きく異なっていた。まず目につくのは、全身薄気味悪いほどに真っ白な肌をしている点だ。がりがりに痩せ細ったその体は、恐らく全裸なのだろうが、髪も性器もなく男女の区別がつかない。そして眼はなく、大きく裂けた口があるだけ。また手足には水かきのような膜がある。


シュウゥゥ…______


「うっ…くっさ…!!」


まじまじと観察する間もなく、魚の腐ったような臭気を発しながら藻屑霊は蒸発した。


「ほら、ボーっとしてる暇はねぇぞ!まだ【WAVE1】だからって油断すんなよ!俺はこの人を海の家まで届けて来るから、ヌイ、後はやれるな?」


「任せてください!ししょーっ!!ふふふ、今回、てめーらの出番はこれで終わりだ!あとは指を咥えて眺めてなっ!」


そう言いながら、沖の方を眺めるヌイ。その彼女の目線の先を追って俺たちは驚愕する。


「_______な…アレ全部が…!?」


「嘘で…しょ?」 「あわわわ…やばいのですヤバいのです!!!」


沖の海面に見える無数の『白い点』。はじめは何なのかよく分からなかったが、目を凝らしその正体が分かると、思わず鳥肌が立つ。それは、海面から顔だけを出しこちらの様子を伺う藻屑霊の『大群』だ。



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