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幽霊ちゃんとの怪奇な日常。  作者: くろのくん
第1章 出会い編
13/202

怨霊さんⅡ

(「先輩が余計なこと言うから本当に来ちゃったじゃないですか!」)


(「お、俺のせいじゃないし!」)


小声で言い合いながらフードショーケース越しにレジ裏から覗く、藤宮と俺。店内には、異様な雰囲気を発しながらノロノロと恐ろしく遅いスピードで歩き回っている黒ワンピースの女。


ペタ。。。ペタ。。。ペタ。。。


(「足音おおおお!なんで裸足なんですか!?怖いですよ!」)


(「知るかよ!俺に聞くなよ!」)


ジーーーーー。。。。。。


(「見てます!こっち見てますよおおおお!!!」)


(「バカ!声がでけーよ!笑顔!笑顔だ!お客様だぞ!」)


(「は、はいぃ!」)


ニコッ


ジーーーーー。。。。。。


(「笑顔効きませんよ!先輩!どうにかしてくださいよ!」)


この女俺に丸投げしやがって!どうにかって、どうすりゃいいんだよ!


「た・・・ただいま、からあげ〇ン揚げたてです、いかがでしょーかぁ~。」


「いっ、いかがでしょーかぁ~。」


ジーーーーー。。。。。。クルッ。ペタ・・ペタ・・・ペタ・・・


(「ふう・・。」)


(「ふう。じゃないですよ!からあげ〇ン揚げてもないのに、なんでそんなアナウンスするんですか!あいつが買いに来たらどうするんですか!」


(「しゃーねーだろ!何も思いつかなかったんだから!買いに来たら対応頼む。」)


(「はあ!?ひどくないですかそれ!それでも男ですか!?」)


(「うるせえ!俺は自分が一番大事なんだよ!」)


(「知ってますよ!先輩がそういう人っていうのは!」)


女は相変わらず店内をノロノロと歩いている。一体こいつは何しにコンビニなんかに化けて出てきてんだ。

それよりほんとに霊なのか?逆に生身の人間の方が怖い気がする。


(「あ!先輩見てください。あの女、飲料コーナーの前で止まってますよ!」)


飲料水コーナーの前で急に止まる女。こちらに背を向けて、微動だにしない。


(「なんで急に止まったんだ?」)


(「知りませんよ。私に聞かれても・・・・キャッ!」)


ゆらゆら。ゆらゆら。ゆらゆら。ゆらゆら。


(「揺れてますよぉー・・・体を左右に揺らし始めましたよぉ・・・」)


(「こえええええ・・・!なんで揺れてんだよあの女ぁ・・・!!!」)


二人そろってカウンターの下に隠れる。ゆらゆらと機械的に体を揺らす姿は、不気味としか言いようがない。漫画だったら彼女の周りに、『オオオォ・・・』と文字が浮かび上がるだろう。それにしても怖すぎる。


(「もうあれただの霊ってレベルじゃないですよ!怨霊ですよ。オ・ン・リョ・ウ!」)


(「なんで怨霊なんかがコンビニに化けて出てきて、しかも揺れてんだよ!コンビニに恨みでもあんのかよ!」)


まだ勤務終了まで時間がある。いつもならこの時間でも客が少なからず入店してもおかしくないのだが、今日に限って来る気配がない。いつになったら消えるんだこの怨霊・・・!


(「もう耐えられん。店長に電話しよう・・・!」)


(「この時間じゃ呼んでも来ませんよ!け、警察!警察呼んじゃいましょうもう!このままじゃ私たち、あの怨霊の"ふしぎな踊り"で命吸い取られますよ!」)


(「よし!あいつに気づかれないように、こっそりバックヤードに戻って警察を・・・・あれ?」)


(「どーしたんですかせんぱ・・・。」)


「・・・消えた。」


カウンターから覗くと、怨霊さんの姿は跡形もなく消えていた。



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