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幽霊ちゃんとの怪奇な日常。  作者: くろのくん
第10章 海の家編
128/202

真夏のある日

退院してから1週間ほどが経過した、夏真っただ中のある日。事件は起こった。

始めに異変に気付いたのはリビングのソファーで漫画を読んでいた幽霊。


「あれ?ねーねー、なんかこの部屋、暑くない?」


服を手でパタパタと仰ぎながら呟く幽霊の額には、うっすらと汗がにじんでいる。ここ数日間のうだるような8月の暑さもあって、我が家では24時間クーラーをフル稼働させていた。


「…たしかに、言われてみれば暑いな。どうせまた悪霊がクーラーのリモコン踏んで電源消したんだろ。」


「むぅ…そんなことしていないのです!ちゃんと見てください、エアコンは動いているのです!」


ゴー…

悪霊の言う通り、エアコンは起動しており送風もちゃんとされている様子。手をかざして温度を確認すると、むわっとする嫌な感触が。


「は?おいおい…ちょっと待ってくれ…これ、温風になってるぞ?」


「ま、まさか…り、リモコン貸して!」

ピッ_____ピピピピッ____


必死にリモコンを操作する幽霊であったが、何度繰り返してもエアコンから冷風が出る気配が全くない。なおもジリジリと温度が上がっていく室内が、その『まさか』の現実を突きつける。


「クーラーが…壊れた。」

_________________________

故障の事実が判明してから1時間が経過。業者に修理の電話をするも、明後日まで予約がぎっちりという絶望的な返事が返って来た。少しでも暑さを回避するため、窓を全開にして風を取り込もうとするも、全くの『無風』。あっという間に部屋はサウナと化していた。


「あー…暑いぃー…死ぬぅ~…」


「うぅー…この悪霊、暑いのは大の苦手なのです…溶けるのですぅ…」


溶けかけのナメクジのように、大粒の汗を流しながらフローリングに寝そべる幽霊と悪霊。


「お前ら、頼むから口を閉じてくれ…余計暑くなるだろうが…。もう我慢できん、服脱ぐわ。」


「あー!ちょっと男だからって上半身裸になれてズルい!」


「そうですご主人さま!ご主人さまが脱ぐなら…悪霊も脱ぎますっ!」


「ちょっ、馬鹿!マジで脱ぐ奴があるか!分かった分かった!俺が悪かったって!」


あまりの暑さのために頭が混乱している一同。というか、霊なんだから暑さとか関係ないんじゃね?と思うのが普通だが、どうやら実体・霊体モードに関係なく暑さ寒さは感じるようだ。その辺りの霊の仕様はまだまだ分からないことだらけだ。まぁ、そんな考察はどうでもよく、騒いだ分だけ余計に体温と室温は上昇していく。


『こちら、〇〇海水浴場では、多くの海水浴客が訪れ______』


点けっぱなしのテレビからは、海水浴を楽しむ多くの家族連れやカップルが映し出されていた。皆楽しそうな笑顔で泳いだりしている。


「海…海行きたい…ねぇ!海いこーよ!」


「幽霊、お前はリア充たちでごった返しているのが見えねーのかよ。お前と悪霊は、一般人からは見えないからいいかもしれんが、周りから見たら、ぼっちで海に来てる哀れな男に見られるんだぞ?嫌だぜ、俺は。」


家族連れやカップルたちから冷やかな目線で見られるのが目に見えている。わざわざ海にまで遠出してそんな嫌な思いをしたくない。


「私と悪霊の水着姿を独り占めできるっていうのにー?ホントは見たいんでしょー。」


「…いっつも腹出して寝てるお前らの水着を見てもなぁ…。」


いつも凄い体制で寝ていることをこいつは知らないのだろうか。


「ご主人さま!これ、見てください!ピッタリなバイトを見つけたのです!」


さっきから何かパソコンでしていると思ったら、何かを検索していた様子の悪霊。何かのバイトを見つけたらしく、うきうきした表情で画面を見せて来る。


「なになに…【海の家】?」

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