対霊課Ⅱ
「えっとー・・・まず対霊課っていうのはどういう組織なんですか?あと、何で俺が逮捕されないのかとか・・・あっ、そういえば、一緒にいた藤宮と怨霊さんはどーなったんですか?無事なんですか?」
差し入れのプリンをみんなで食べながら、貞子さんに溜まっていた疑問を一気にぶつける
「一気に質問し過ぎ。落ち着きなさい。まず、対霊課っていうのは・・・まぁ、詳しく話せば長くなるけど、簡単に言えば普通の警察官や刑事じゃ取り扱えないような、霊が関わっている事件を担当するところね。それなりの霊力を持った霊使いと霊がペアになって捜査するの。」
そんな組織があったとは知らなかった。もしかすると、以前、初めて前のアパートに研究会が襲撃にきて、部屋が吹っ飛んだ時、警察にありのままに『怪しげな集団が霊を使って襲ってきました』と取り調べの時に言っていれば、対霊課に繋がったのかもしれない、と軽く後悔する。
「今回、たしかにあなたは随分と派手に暴れちゃってくれたワケだけど、全部、事件に巻き込まれての緊急避難ってことで特別に処理されたわ。に・し・て・も!あなた、パトカーと消防車何台パァーにしたと思ってんの!?私がどんだけ苦労して上層部を説得したか、そこんとこ忘れないでよ!?」
「うっ・・・は、はい。すみません。反省してます。」
「それから、あんたと一緒にいた女子高生と、あの怨霊?とかいう野良霊ね。どっちも無事よ。怨霊の方は、ちょっとこっちのほうで保護してるけど。アレ、野良にしては相当強い霊力を持ってるわ。」
とりあえず、藤宮が無事なことに安堵する。怨霊さんは、心配しなくても何となく大丈夫だろうとは思っていた。対霊課に保護されてるのなら今後研究会に狙われることも無いだろう。
「ちょ、じょ、女子高生!?」「ご主人さま、悪霊の知らないとこで、JKと何やってたんですか!?まさか・・!?」
幽霊と悪霊が、『女子高生』というワードに食いついてくる。もし、ラ〇ホに行ってたとバレたらまずいことになりそうだ。
「な、何もしてねーよ!ただのバイト先の後輩だよ!2人とも落ち着けって!」
「話戻していいかしらー?・・・んで、あなたを襲った連中だけど・・・サイトウ、資料。」
「はいどうぞ。」
サイトウから手渡された資料を読み上げながら、貞子さんは話を続ける
「超常現象研究会。数年前に発足し、ここ最近で急速に勢力を伸ばしている【広域指定暴力霊能集団】の1つね。」
「こういき・・・なんですか、それ。」
貞子さんの代わりにサイトウが説明する
「通称、【暴霊団】っすねー。霊力を持った悪い奴らが集まって、それはまぁ、色々と悪さをする集団です。超常現象研究会は、全国で5番目くらいの規模を持つ暴霊団なんですけど、NO1が頭の切れるやつでしてねー、中々捕まえれないでいるんですよー。」
「えっ・・・全国で5番目って・・・あんな危険な組織がまだ4つもあるんですか・・・?」
「暴霊団の指定を受けていない有象無象も合わせれば、相当な数あるわ。まぁ、TOP5の組織と比べたらかわいいもんだけど。」
もし、研究会だけでなく他の組織にも目を付けられたらと思うと・・・考えただけでもゾッとする。
「_______とにかく、今日のとこはこのくらいで終わるけど、今後、詳しくあなたが研究会について知ってることを話してもらうから。あと、出来るだけ警護はするけど、24時間って訳にはいかないわ。こっちも人手が足りてないの。まぁ、あれだけの騒ぎを起こしたから、奴らも早々に襲ってくることも無いと思うけど。」
「それ、フラグじゃないといいんですけどね・・・。」
今のこの動けない状態でまた襲撃されたら、今度こそ無抵抗で拉致られてしまうだろう。
来た時のようにテレビ画面へと消える貞子さんと、部屋を後にするサイトウ。ふと、貞子さんが思い出したように振り返る。
「あぁ、そうだ。一番大事なこと聞くの忘れてた。」
「?なんですか。」
「色々調べるついでに、あなたの素性も調べたんだけど、あなたの実家って___________いや、やっぱいいわ。じゃ、お大事にね。」
「それではー。ボクはまた明日事情聴取に来ますのでー。」
意味深な言葉を残して部屋を後にする2人。
「ご主人さま、実家が何かあるのですか?」
「そうよ、なんで姉さんそんなこと聞いたんだろ?」
幽霊と悪霊が不思議そうな様子で尋ねて来る
「・・・実家、か。はぁ・・・。」
今までの会話の流れからして、嫌な予感がするも、あえてその先は考えないようにした。今はこの動かない体を治すことだけに専念したい。




