お仕置きの時間
東の空が薄っすらと明るくなり、あと数十分で夜が明けようとしていたその頃。郊外にある超常現象研究会の支部に、人形姫・水子使い・ジェイソンの3幹部を乗せたワゴン車が到着した。普段からあまり使われていないこともあり、支部は無人だ。
「やっと着きましたわ!あぁ、もう。体中がすすだらけで真っ黒ですわ!早くシャワーを準備してくださる?3分以内にできなければ、殺しますわよ!!」
命令された下っ端構成員たちは、急いで中へと入っていく。
元々のターゲットであった怨霊さんを捕縛できなかった事ももちろんだが、何より自分たちが独占しようとしていた『レアもの』を目の前にし、みすみす取り逃がしてしまったこともあり、イライラが止まらない様子の人形姫。
「ヒヒッ、荒れてんなぁー人形姫さんw警察どもが来ちまったら、こちとら逃げるしかねぇ。普通のサツはともかく、【対霊課】の連中が出て来てみろ、いくら俺らでも分が悪ぃ。それに_________」
水子使いに続き、ジェイソンが口を開く
「あのレアもの、暴走してとんでもない霊力を纏ってやがった。あのままアイツとやりあったとしても、俺たち3人がかりでも勝てるか怪しいほどにな。」
「あんたたち、それでも幹部なの!?情けないわね!あんなの、私の人形たちで十分だったわよ!・・・それより、シャワーはまだかしら!もう3分過ぎたわ________________」
ピリッ__________
幹部たちの表情が一斉に固まり、場の空気が一瞬にして凍る。
入り口に入ってすぐのエントランス、暗く電気も付いていないが置いてあるソファーに、何者かが座っている。3人の幹部は、『その人物』が放つ身震いするような強い霊力を知っていた。今、もっとも会いたくなかった人物だ。
「あらぁー・・・お帰りなさい3人とも。こんな時間に、どこ行ってたのかしら?」
「キ・・・キサキ・・・・さん。」
絶句する3人。
研究会の実質No1のキサキさんが何故ここに・・・!?もしかして、手を出すなと言われていた『レアもの』を3人だけで独占しようとしていたことがバレたのか・・・?いやそんなはずは無い。他の幹部には誰にも知られてないはず
_______と、3人が同時に同じことを脳裏で考える。まず最初に口を開いたのは水子使い。
「れ・・・例の暴れてやがった野良の上級霊を見つけたんだが、あと一歩のところで逃がしちまったんすよwい、いやぁー、強かったwすまねぇ!!今度は失敗しないからよ!ヒヒッ」
「そ、そうですのよ!キサキさん!ねぇ、ジェイソン!?」
「・・・強かった(震え)。」
必死で誤魔化そうとする3人。笑顔で話を聞いていたキサキが口を開く
「ふぅーん・・・匂うのよねあなた達。あの子の良い匂いが、ぷんぷんするのよ。」
ズッ____________!!!!
「!?」
ガシッ_________!!
次の瞬間、キサキの影から巨大な黒い【鬼の手】が3本出現し、一気に3人の体を鷲掴みにする
ギリギリギリ・・・・
「嘘つくんだね。私の強さ、忘れちゃったのかな?私、言ったよね?『手を出しちゃダメ』って。」
あくまで笑顔を崩さないキサキ。3人はキサキの圧倒的な強さを決して忘れていたわけではない。しかし、『レアもの』を前にして欲望の方が上回ってしまったのだ。一時の欲望を優先してしまったことに、この夜3人は酷く後悔することとなる。




