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幽霊ちゃんとの怪奇な日常。  作者: くろのくん
第8章 怨霊さん狩り編
113/202

どうにでもなれ

「_______うっ・・・ここは・・・どこだ?」


『姫さま』と呼ばれる人形使いに捕まってから、どのくらい時間が経っただろうか。

ロープか何かで体を縛られており、全く身動きが取れない。それに、目を開けているのに真っ暗でほとんど何も見えず、息苦しさも感じる。狭くて暗い空間・・・そして体に伝わる微かな振動。


「車の・・・トランクの中か。ガチの拉致じゃねーか・・・怨霊さんと藤宮はどうなったんだ・・・・?」


何とか、この状況を打開すべく体をよじってロープを解こうと試みる。


「くそっ、めっちゃ固く縛ってやがる。脱出は無理か______ん?」


ふにっ


ゴソゴソ動いていると、背後に何やら柔らかい感触が当たる


「むにゃむにゃ・・・もう飲めないよぉ~・・・。」


この感触は、おっぱi・・・じゃなくて。顔は見えなくてこの声には聞き覚えがある。


「この声は・・・怨霊さん!!?なんだ、あんたもすぐ隣で寝てたのかよ!ちょっと、起きてください!」


「ん~・・・う?・・・おはよー。あれ?なんか体に力入らないし。なんで?霊力の『れ』の字も体に残ってないんだけど!」


どうやら、怨霊さんの霊力はスッカラカンにされているらしい。あの『最強』の霊力を誇る怨霊さんも捕まってしまうとは。研究会にも相当の手練れがいるらしい。


「俺たち、揃って研究会に拉致られてるんですよ。たぶんここは車のトランクの中で、どこかに運ばれてる最中です・・・あ、車内に聞こえないように小声で話してくださいね。」


「あー・・・、そういや私、ホッケーマスクの野郎に倒されたんだっけ。めっちゃ強かったわ、あいつ。『ひょういせんとう』?って言ってた。あいつの戦い方。」


ひょういせんとう・・・『憑依戦闘』か?文字から想像できるのは、ハルカとふーちゃんの戦闘スタイルだ。霊が使役する人間の体に憑依し、より強い霊力を得ることが出来る戦闘スタイル。


「なんとか俺の能力で、怨霊さんの霊力を回復してあげたいけど・・・10回に一回くらいしか成功しないんだよなぁ・・・使えねぇー、俺の能力。肝心な時にこれじゃあなぁ・・・。」


このままだと、まず無事では済まされないだろう。何か手は無いのか?__________


「よし、やっちゃおっか。私たちも、『ひょういせんとう』ってやつ。」


「え?」


「あの仮面の大男がやってんの一回見たし、何となくやり方はもう分かる。っていうか、見た感じ霊体になって君の体に入るだけだし。・・・やるしかないでしょ!」


「いやいやいや・・・そんなお手軽なもんじゃないでしょ絶対!」


いつか、ふーちゃんが言ってたような気がする。『この戦闘スタイルは、多くの修行と才能が必要。一歩間違えれば______』

・・・一歩間違えればどうなるんだよ!そこちゃんと聞いとけばよかったわ!


「誰がやるか!!!・・・と、言いたいところだが、現状それしか活路が見出せそうにねぇし。何より・・・藤宮が心配だ。一般人だから見逃されてればいいけど、何かイヤな予感がするんだよな。」


「よし!それでこそ男だ!何が起こるか分かんないけど、まぁ、何とかなるでしょ!それじゃ、行くよー。じっとしてて。」


「い・・・痛くしないでくださいね・・・もう、どうとでもなれ・・・!」


ズズズズズズ________________


怨霊さんが実体化を解除し、霊体となって俺の中へと入ってくる。憑依される過程で、なにか痛みとか吐き気とかあるのかと思って身構えていたが、特に何も感じずに数秒が経過する。


「あれ、もう終わりました?もしかして、失敗ですか____________」


次の瞬間、体の奥底から今までに感じたことのない『何か』が沸き起こってくる。


『霊力』ではない、これは___________『殺気』!?


これはまずい、と思った時にはもう遅かった。意識は一気に飛び、体が勝手に動く。


ブチィッ!!!!


ありえない力で縄を無理やり引きちぎる


「ハハっ・・・なんていい気分だァ・・・。」


もはやこの体は、『俺』のものではなくなってしまった。



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