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異世界から来た青年はどうやら無双するようです。2

「あのですね、レベス君。」

「はい、なんでございましょうかティル様。」

「観光、し過ぎました。」

「はい?」


レベスは間抜けな声を出す。

2人は、サーカスを見終えた後、ノリノリで町を歩いていた。不思議な食べ物や、物、異世界ならではの遊びや景色に心踊らせ、1つ、考えることを忘れていた。


「もう、お金がありません。どうしましょうか」

「は?」


異世界と言えど、ここまで発展している国ならばお金での売買は当然ある。ということは働かなければならないのだ。ただし、税は魔力や神力などから徴収されるため、無いに等しい。例外を挙げるなら、外交においての関税位だ。流石に、全ての土地が同じ物を同じ値段に設定することは無理難題だろう。  

 

「まぁ、そういうことなので、レベス、よろ!」

「何で俺だけなんだよ!」

「だって、私は見えてないし・・。」

「そうだった~!」

「じゃあ、ドバッと稼ごうか!」


ティルはそう言い、レベスの手を掴んで飛んだ。レベスはティルに、足の浮かないギリギリのところで高速飛行された為、バランスを崩し転けそうだったが、その度にティルに体制を直される。転けるにも転けられず、止まるにも止まれず、引っ張られている右手の痛みと空回る足とに格闘していた。












「さぁ、着いたよ!」

「やっとか・・・・。」


時間にしてみれば5分もないが、レベスにとってそれは、とても長く感じられるものだった。


「じゃあ、エントリー宜しく!」

「ヘイヘ____ん?エントリー?!一体俺に何させるつもりだよ!?」

「えっ?そんなの決まってるじゃん。_______血湧き肉踊る闘いだよ。」


コロッセオのような建物の前まで来た2人はエントリーをする前に、一戦、観戦する事に決め、中に入った。

 

「さてさて、それでは今回の目玉とも言えるこの対戦。野郎共~準備はいいか~?」

「「「うぉぉぉぉぉぉ!!!!」」」


熱い。その一言で片付けられそうな場所だ。闘技場なのだからそれも当たり前なのだろうが、何もしなくとも汗がにじみ出てくるほど熱い。サーカスの時の熱狂が春のように思えてくる。


「さぁ、ライトコーナーから出てきたのは____挑戦者、疾風のエリーことエリーナ=アルグレン。その剣は誰にも止められない!自慢のテクニックと居合いで今日も相手を貫くのか?!」


紹介が終わると、煙が木で出来た門の横からエリーに向かって噴射され、その煙の中から紺の長い髪を束ね、巫女が着ているような袴を着、腰に片手剣をさした女が現れた。


「続いて、レフトコーナーから出てきたのは、みなさんお待ちかね______クラウン!8562戦全勝という圧倒的な強さで黒星を許さない!!!その強さも去ることながら、謎に包まれた容姿に老若男女から絶大な支持を得る!ニッコリ笑う白い仮面の下で今日も相手を嘲笑うのか?!」


こちらは紹介が終わるとパチン、と指が鳴る音が響き、煙の中から男が出てくる。頭には白いシルクハット、白の燕尾服を纏い、白い笑顔の仮面を被り、ステッキは見せつけるかのような黒だ。


「それでは、誓約をこの手に_____」

「「誓約をこの手に」」


その言葉とともにエリーとクラウンが右手を上げ、開いていた掌をグッと握りしめた。エリーは首に、クラウンは手首に魔法式が浮かび上がり、体内に刻み込まれるように浸透していく。それを合図に審判が静かに両手を上げ「オゥス!!!」と叫び、手を勢いよく下げた。

すると、エリーは片手剣を鞘に入った状態で構え、クラウンはステッキから仕込み刀を抜き、2、3回感覚を確かめるように振ると、構え、とはいえない、肩から力を抜いた状態で相手を待つ。


「この一撃に全てを捧げるッ!!闇身永睡アンシエイスイ!!!」


闇身永睡とは、その名の通り相手を永遠に眠らせる___つまり、相手を気絶または殺傷し、自身は一瞬闇へ溶け込む。しかし、その代償として、闇へ飲み込まれる___つまり、自身も倒れてしまう。元々それは、居合いという一撃に自分の全てを限界まで高める技である。そのため諸刃の剣なのだ。さらに、剣で居合いをしようということ自体珍しい。


「女性にあまり刀を向けたくはないのですが・・・・仕方ありませんね。すぐに楽にして差し上げます。」

「戯れ言を!!」


クラウンはニヤリと笑い、それにエリーは怒りを覚え、踏み出した。


「I will claim victory at any cost.(絶対の勝利はこの手の中に)」


クラウンがフッと笑い、そう呟いた直後。

カキン。

剣と刀の交わる音が響き、勝負は一瞬で終わった。エリーの持っていた片手剣は真っ二つに割れ、体の何ヶ所から血が吹き出す。自身の技による自滅もあるが、クラウンからの攻撃で関節を一部外されているので、どの道動けない。一方、クラウンは何事もなかったように涼しげな顔をして(といっても仮面で顔が隠れているためわからないが)刀をステッキに戻した。


「・・・・・・ク、クラウン選手、圧倒的な強さで8563勝目を収めた!!!エリー選手から放たれた渾身の一撃は届かず、やはりこの男は最強なのか??!!エリー選手にはこの勝負の誓約に基づき、今後のこのような場での勝負は禁止となりました。万が一破ってしまわれた場合には自動的に魔法式が展開され、この世からお別れすることになってしまうので注意して下さい。それでは、次の試合をお楽しみに!!」

「「「う・・・うぉぉぉぉぉぉ!!!!!」」」


大きな歓声を聞くと、クラウンはシルクハットを取り、優雅に一礼する。そしてそのままコツコツと革靴を鳴らし、会場を出ていった。


ふぁ〜。

レベスは大きなあくびを1つ零した。





今回は短かったですね。すみません。

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