表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/69

《オークの漬け焼きセット》の威力

さてさて。

ギルドカードは思ったより小さくて、キャッシュカードみたいな感じ。

無くさない様に気をつけないとね。


商業ギルドへの登録も完了したし

お金も預けてきたし

門番のオッサンがオススメしてくれた宿屋《踊るオヤジ》の場所も教えてもらったし。

親切丁寧だしメリットだけじゃなくてデメリットもちゃんと説明してくれるなんて、商業ギルドは素晴らしいね!


なんて考えてるうちに着いた の か ?

コレか?

ちょっとボロいしデカイんですが・・・。


あ、あぁ、成る程。

泊まる奴等が厳つくてデカイ人達なのね。門番のオッサンもガタイ良かったもんね。

だから大きめな建物なのね。納得。


初めての異世界でのお泊まりに

ウキウキワクワク♪

突撃でござる~!


内装はシンプル。カウンターがあって、その奥から沢山の人間の声、食べ物の匂いがする。

カウンター横の階段から上がって2階から上が泊まる部屋かな?


「おう、泊まりか?ネーチャン。ここは大通りだから他より治安は良いが男が多いぜ。大丈夫か?」


おおう。

スキンヘッドでアゴヒゲがワイルドなマッチョなオヤジのお出ましだ~!!

堪りませんな。ありがたや。ありがたや。


「大丈夫です。宿泊と食事をお願いしたいのですが」


「ああ、食事はそっちに食堂があるからそこで頼んで支払ってくれや。1泊小銀貨2枚。風呂は大銅貨3枚だ。」


んと、宿泊で2000円位で大銅貨が1枚100円位だからお風呂は300円。

当然、お風呂には入ります!


「小金貨1枚(10000円位)渡しておくので、連泊で毎日お風呂有りでお願いします。」


「了解。全額無くなる前に一応声はかけるが、宿泊期間にお前が泊まりに来なくても返さないからな。302がネーチャンの部屋だ。鍵持ってけ。」


「分かりました。宜しくお願いします。」



よしよし。無事に寝床確保だぜー!!


部屋はベッドと一人用の机と椅子があるだけのシンプルなお部屋。

お風呂は男女別。お風呂に入る人が少ないから時間別らしい。普通は部屋でお湯とタオルで拭くぐらいなんだって。

入る時間は間違えない様にしなきゃ。



ぐぅー ぐぅーキュルルルル


うん。

ご飯食べよう。

そうしよう。

確か門番のオッサンのオススメは《オークの漬け焼き》だったよね。

異世界の料理、楽しみだなぁ♪


食堂は沢山の人で溢れててうるさいくらい。

取り敢えず、近くにいたオバサンに《オークの漬け焼きセット》を注文してみる。

大銅貨13枚(1300円)だから高級品みたい。

他のは大銅貨3枚から9枚(300円から900円)だし。

隣のオッサンが唾のんだぐらいだし。


ちょっと期待しちゃうもんね♪




・・・・・・・・・・。

・・・・・・・・・・。

・・・・・・・・・・。


おい。ふざけんな。

なんだよコレ。

何で生な部分と焦げ焦げの部分があんの?

何で両立しちゃってんの?

しかもさ、何この異臭。

この肉、腐ってない?

漬けダレ?刺激臭だよね?

何なの?

ってか、よくよく見ると他のテーブルも焦げてたり物体Xだったり異臭放ってるよね?

この料理だけじゃないの?


え?

何で隣のオッサンこっちをガン見なの?

異臭は私のせいじゃないだろうが。

え?

何?何で唾のんだの?

オッサンの目が、私の頼んだ《オークの漬け焼きセット(異臭)》に釘付けなんだけど。

何なの?

もしかして、これはコレが正しい姿なの?



あ、あー、そっかぁ、分かった。

ここは上級者用のメニューしか無い店なんだ。

あれだ。本格的な中華料理とかさ、ブルーチーズとかさ、パクチーとか独特な風味メニューあんじゃん。

あれだよ。あれだ。

あんな感じの専門店なんだよ。


そうと分かれば私がする事はただひとつ。

隣のオッサンにそっと《オークの漬け焼きセット》を差し出し、


「すみません。急に頭痛が酷くて頭がカチ割れそうなんです。食欲も完全になくなってしまったので、宜しければ私の代わりに食べていただけませんか?」


と辛そうな微笑みを見せつつ、その逞しい腕とゴツゴツとした拳を間近で拝見させていただくだけだ。


「んえ?あ、んと、わりぃが俺、今はあんま金持ってねーんだ。支払えねぇ」


おうふっ!

驚いた顔からのションボリ顔。

ご馳走さまです。


「お代は要りませんよ!既に支払ってありますし、何より残すのは作って下さった方に申し訳なくて・・・。私の代わりに食べてくださると助かるのですが・・・。」


と言いつつオッサンのゴツゴツな素晴らしい手を凝視。


うむ。もう一押しかな


「もし、お金が気になる様でしたら、今度この辺りのお店でオススメを教えて下さい。街に来たばかりなので、屋台とかも初めて見るんです。お店の情報と交換って事でどうでしょう?」


おお。おめめがキラキラしたね!

そんなに嬉しいの?この物体Xが?

取り敢えず、物体Xは処理出来そうだし

情報も得られそうだし ひと安心かな。


「本当にいいのか?本当にいいのか?食っちまうぞ?良いんだな?


ウメエエェー♪ンマイ♪ウマイ♪


あんた、いい女だな!俺の好きな店なら何時でも教えてやんよっ!」


ニッコニコのオッサンはくそ可愛いけどさ、臭いがヤバイ。

切り分けると臭いが濃くなるのね。

涙が出てきたヨ。


泣きながら部屋に戻ろうとする私を心配する可愛いオッサンに心を引かれながらも無事に部屋に到着。

薄れ行く意識の中、結界を張って

気絶するかの様に眠りについたのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ