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肉屋、再び

やっと着いた。

お肉屋さんの裏手。

ここに着くまで長かった。


私の勘から言えば、肉屋の

恰幅のよいおば様は《気にしない》

細っこい旦那さんは《驚く程度》

だと思うのだが、どうでしょう?

私にとってはいい人達だったから、ドキドキしちゃう。


「あの~こんにちは~先日、お邪魔した解体依頼の者なんですが」


声と共に現れたのは旦那さん


「はいはい~少々お待ちを~。ああ、先日の細っこい女の子じゃないか。いらっしゃい。あれ?今日はお連れ様も一緒かい?

ああ、仲が良いんだねぇ。手を繋いでのお出かけ。いいねぇ。春だねぇ。」


って私とエンガが手を繋いでいるのを見て、ニコニコする細っこい旦那さん。


おおう、ちょっと待ってくれ、まさかのリアクションだぞ。

エンガに驚きもせずに、そこに着眼するなんて。

不意討ちのカウンター喰らった気分だよ。

エンガも照れて赤くなってモジモジし始めちゃったじゃないか!

私も多分真っ赤だよ!

改めて言われると照れるよ!!


「なに騒いでんだい?お客かい?

あ!この前の細っこい女の子!

ありゃ、なんだいなんだい!男連れて来たのかい!

手を繋いでまあ~!良いねぇ!若いね!お二人さん!」


っておば様、やーめーてー!!

もう、エンガも私も限界よ!!

真っ赤になる私達二人を見て、これ以上は酷だと思ったのか細っこい旦那さんが話を続けてくれた。


「今日も解体かい?それとも、他の用事かい?」


「あ、今日もオークの解体をお願いします。今回はこの3頭で。」


「この前と同じ値段で大丈夫なら引き受けるよ?この前みたいに騒ぎになるだろうから、今度は真っ直ぐ、僕のいる裏手においでね?」


「ああ、前回のオーク一匹じゃ足りないだろうね。獣人は沢山食うからね。もし、足りない用なら肉を買っていきな!安くしてあげるからね!」


と話す私達に、少し気後れしてるようなエンガ。


「ああ、あんたを責めてる訳じゃないよ?獣人が沢山食べるのは、常識で普通の事なんだからね!私達の知り合いの獣人達も沢山、沢山食うんだから!むしろ、遠慮して食う量減らして、この子を悲しませたりするんじゃないよ?」


と釘をさすおば様に


「ああ。分かってる。ヤエを悲しませる事は絶対にしない。」


と即答するエンガ。

カッコイイ。

普段は可愛いのに、こんな時はカッコイイなんて。

幸せすぎる。


「っか~!!良いこと言うじゃないかい!それでこそ男だよ!ねぇ、あんた!」


「うん。そうだね。男の僕から見てもカッコイイと思うよ。うん。うん。素敵なカップルだねぇ。」


私もあなた達がお似合い夫婦に見えてなりません。

それと、


「ありがとうございます。そう言ってもらえて嬉しいです。お二人には獣人の知り合いがいらっしゃるんですか?」


さっきおば様が《知り合いの獣人達》って言ってたから複数いるんだろうけど、お友達になれそうな人をエンガに紹介してくれないかな?


「ああ、いるよ!皆、気のいい奴等でね!フルフェイスではないけど、人間とも獣人とも普通に仲良くしてる奴等だからね、今度二人にも紹介してあげるよ!」


との有難いお言葉。


「ありがとうございます!それじゃあ、機会がある時に、ご紹介お願いします。」


「俺からも頼む。フルフェイスは獣人にも嫌われるが、あんた達二人の知り合いの獣人なら仲良くなれると思う。宜しく頼む。それと、二人も俺と仲良くしてくれたら嬉しい。」


そうだね。

私もそう思う。


「私も、お二人と仲良くなりたいです。よろしければ、エンガ共々宜しくお願いします。」


「なに言ってんだい!水臭いね!仲良くするに決まってんだろう!もう、私達は仲良しだよ!ね、あんた!」


「うん。うん。そうだね。僕も大賛成だよ。宜しくね?二人とも。」


良かった。良かった。


「ありがとうございます!宜しくお願いします。」


オークの解体も頼めて、

二人にエンガを認めてもらえて、

更には他の獣人の紹介までしてもらえるなんて。良かった。




いい人達も沢山いるみたいだし、この街で暮らしていく方向で考えようと思う。


私が会話に入らなくても、

笑顔で二人と肉や獣人について会話しているエンガを見て、そう思った。

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