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白百合狂想曲  作者: シズカンナ
白百合と狂犬のワルツ (番外編 )
38/39

19、大団円


あの日、エリーデ様の隣でポロポロと泣いたエリアスは

涙と一緒に悪いものを全て出し尽くしたようだった。


おかげで私は即日開放され呪い?の腕輪も外してもらった。さらに、結婚の話も白紙に戻ったらしい。

しかも!あのエリアスから「すまなかった」という謝罪までもらったのだ!

…人は、変われるものなのだな。


「大丈夫なの? 」

自国へ戻る直前、私はエリアスに問いかけた。

隣国の姫(私)との婚約を白紙に戻して、今まで姉とされていたエリーデ様と結婚するのだ。

さすがのエリアスでも、少し時間が必要なのではないか。

私は、二人の幸せのためならばいくらでも協力をするつもりである。

ひいては、それが私の幸せにつながるからだ!!!


私の言葉を聞いて、エリアスは迷うことなく答える。

「今までの苦労に比べれば、大したことじゃない。手に入らないと思っていた宝物に手が届いた。

 ならば俺は己の理想と、エリーデの幸せのために突き進むだけだ 」

「そうエリアスが決めたなら、大丈夫ね 」


そうして、私たちは顔を見合わせて笑いあう。

「あぁ、俺が決めたことは絶対だ 」

「えぇ、絶対に幸せになってね 」

当たり前だ、と笑うエリアスはとても幸せそうだった。




帰路に就く前、とてもお世話になったメイドさんにも挨拶をと、教会に行くと

メイドさんはなんと帝国騎士の服を着ていたのだ。しかも、ふりふりのすっごく可愛いやつ!

「あなたは…一体? 」

「私は、団長アレクシスの部下でございます。貴女様の危機を救うべく、参上しました 」

「え? アレクの…? 」

「はい」と顔を上げて微笑む少女。それを見て、ホッとすると同時になんだかいたたまれない気持ちになる。


「アレクは、私の事…信じてなかったの? 」

もしもの時に助けてくれる者がいたなんて、私は知らなかった。

それはきっとアレクなりの思いやりなのかもしれない。

だけど、まるで監視みたいじゃないか、とも思ってしまうのだ。


「い、いえ!違うのです 」

私の表情を見て、少女は慌てたように言葉をつづけた。

「このことは、その、団長は知りません! 私が勝手に…独断で、していることなのです 」

非常に難しい顔をして、少女は言葉を選んでいるように見える。

「えっと、団長は貴女を信じて待っています。だけど、とても貴女を心配に思っておられる。私は、その、団長の憂いを少しでも晴らすことができたら…と、海を越えたのです… 」

「そうなの… 」

アレクを大切に思ってくれる人が居たことを知って、とても嬉しくなる。

「ありがとう」と伝えると少女は、礼をして去っていった。



そして、帰路の途中。

私はずっと聞きたかったことをヒューバートに怒りを込めて聞いた。

「なんで、裏切ったの?ちょっと、悲しかった 」

「だって…海の向こうよりは隣国の方が近いじゃないですか。でも、申し訳ありませんでした」

と、悲しそうな顔をしたので殴る拳をほんの少しだけ緩めてしまった。もう!


それから私はヒューバートと共に自国へと戻り

その一月後にエリアスとエリーデ様が婚約したことを知るのだった。






―――――――――――――――――――――――――




私の騎士たるアレクシスへ


間が空いてしまい、ごめんなさい。

隣国へ行っていたので、手紙を出すのが遅れました。

でも、私は毎日を健やかにすごしていますよ。もちろん、お祈りも欠かしていません。


また、報告が一つあります。

このたび、隣国の王子の婚姻が決まりました。

彼は、昔からよく知る友人でありとても優秀な人です。

今回の婚姻には、私も微力ながら尽力したので、とても嬉しく思います。

これで、隣国との国交もより強固なものとなるでしょう。


そして、両親が貴方との婚約を認めてくれました。

両親も貴方の素晴らしさがわかったようです。もうすぐ、私は貴方の元へ行けます。

だから、どうか待っていてくださいね。約束ですよ、待っていてくださいね。


では、今日はここまでとします。

貴方に会える日を思って。



リリア



追伸

私を助けてくれた、可愛い騎士様にもお礼をお伝えします。

本当にありがとうございました。

でも、あんなに可愛い人が近くにいるなんて、少し心配になります。なんてね。


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