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白百合狂想曲  作者: シズカンナ
白百合狂想曲 ( 本編 )
2/39

2、偽花嫁の出陣



「7日以内には、必ず行くから。ごめん 」

そう言って見送る姉は目に涙を溜めていた。


そこで私が感動したことは3つ。

「ごめん」という謝罪の言葉。

二度目になるであろう涙。

そして、姉のお見送り。


そのどれもが今までの姉からすると考えられないものだった。

感動する私の頭には、恋って、結婚ってすごい!!という驚きしかなかった。

こんなにしおらしくなってくれるのなら、姉はあと3回ほど結婚するべきだろう。


「待っています。来なかったから、結婚なんてぶっ壊してあげますから 」


本気の脅しをサラリと投げつけて、さっさと馬車へ乗り込んだ。

意味もなく窮屈なドレスを着せられて長旅をさせられるのだ。

これくらいの脅しは許されるだろう。


なぜなら、もしもの場合、全体的に被害を受けるのは自分だ。

まぁ、そんなこと絶対に許さないのだけど。



船に馬車と乗り物を変えて、国を出てから4日後に王宮へとたどり着いた。

比較的ゆったりとした旅であったから、姉が来るとしたら2日で着くことだろう。


長い長い廊下を歩きながら、これからのスケジュールを考える。

とりあえず、姉の将来の旦那様を見る。それから、点数評価してパラメーター作って…

あ、いけない。候補者ではないのだ。今までの流れでついやってしまいそうになった。

そうだ。姉が恋をした相手なのだから、それだけで及第点だ。


どんな相手が出てこようとも、私には関係ない。祝福するだけだ。

あなたの人生は終わりましたね、と皇帝とやらを祝ってやるだけだ。



横を見れば、帝国の騎士が私の歩幅に合わせて歩いている。

3日間の旅路でこの騎士がしゃべったのはたった一度だけ。自分の名前と所属を伝えたときのみ。

それ以外は、しゃべらずにただじっと私の護衛をしていただけ。

いや、護衛というのは正しくない。正確には監視だ。


姉でなくて本当に良かった。

姉はこういうあからさまに馬鹿にされた態度を取られるのは嫌う。

きっと、食って掛かって「あんた、気に入らない!!」と喚き散らすのだろう。


頭に着けているもののせいで顔もよくわからない騎士。

名前も忘れてしまったが、ただの置物のような奴の名前なんて知らなくていいのだ。

この国にも、二人の結婚を良く思っていない輩がいるとわかっただけで十分。

それらの排除も、できるかぎりやっておきたいものだ。


訳が分からないほど長かった廊下の突き当たり。

煌びやかな装飾のされたこの扉の向こうに、私がとりあえず一番見てみたい人物がいる。

一つ息を吐いて顔を上げた。


ばれるのならば、ばれてしまえ。

それでも尚、姉が欲しいというのならば皇帝には満点をくれてやろう。

私は姉の幸せのためならば、協力を惜しまないのだから。



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