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生徒会の王女様は距離感がバグってる  作者: レイチェル


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もう1人のナイト

 喫茶店を出た真冬は、用事があると言った春希と別れ、渚と2人で帰宅していた。渚の家は真冬のマンションとは反対方向であったが、渚は快く真冬のことをマンションまで送り届けていた。

 その帰り道、真冬と渚は他愛のない話をしていたが、その途中でふと会話の中に春希が出てくる。



「それにしても昨日、春希くんから連絡がきたときはびっくりしたよ。真冬ちゃんがストーカーに狙われてるから、助けてくれって。真冬ちゃんと春希くん、そんな接点あったかなぁって思ったよ」


「生徒会の仕事をしているときに、ふと私が相談してしまったんです。私が男の人と接しているのは、生徒会の皆さんだけですから。山形さんは私とはタイプが違う人に見えましたし、岩手さんは部活で忙しくて中々生徒会に来られる機会がありませんから、春希くんに相談したのはたまたまです」


「なるほど。いつも夏くんと綾乃ちゃんに面倒なことを押し付けてられてる2人だから、話す機会があったってことだね。もしかして、昨日のバイト先に真冬ちゃんが来たのも、それ絡みだってことかな? 昨日の春希くん、ものすごい勢いで帰っていったから」


「それは……はい、そうです。まさか、渚さんも一緒に働いているとは知らなくて、話を切り出すことが出来ませんでした」


「なんだ、そんなこと気にしなくて良いのに。せっかく夏くんや綾乃ちゃんから春希くんのバイト先を聞いたんだから、私のことなんて気にしなくて良かったんだよ? 誰も春希くんのこと狙って来たなんて思わないから」


「……春希くん、そんなに女の子たちから狙われていないんですか?」



 中々勘の鋭い渚に核心を突かれたが、真冬が素直に話すと、以外にも渚はそれ以上突っ込んで追及してくることはなかった。それが常識人と言われるが所以であると、真冬は妙に納得する。春希が言っていた通り、渚は信用に値する人物であると、真冬はその答えに至っていた。

 真冬からの問いかけに、渚は苦笑いを浮かべる。先ほど喫茶店の出口で別れた春希が、どこかでくしゃみをしているような気がした。



「春希くんはあまり誰かと深く関わったりするのを嫌ってるみたいだからねぇ。さっき春希くんに言ったこと、嘘じゃないんだよ? 春希くん、見た目はカッコ良くて優しいのに、それを頑なに表に出さないからなぁ。いっつも面倒くさそうにしてるし、誰かと積極的に関わったりすることも無いし。すごく損してるって言ってるのに、春希くんはそれで良いの一点張りなんだよ」


「そうなんですか……渚さんは、春希くんのことをどう思ってるんですか?」


「私? 私は好きだよ? 春希くんのこと」


「えっ……!?」



 隠すことなく自分の感情を素直に話す渚に、真冬は思わず歩みを止めてしまう。1歩先に進んでいた渚が振り返り、真冬の様子を確認すると、慌てたように首を横に振った。



「あっ、訂正訂正! 好きって言っても、恋愛感情での好きじゃなくて、人間性として好きってことだよ? 真冬ちゃんみたいに、ちゃんと男の子として好きってわけじゃないからね?」


「わ、私は別にそんなこと思ってません! 春希くんは、ただの生徒会の仲間くらいとしか見てませんから!」


「ホントかなぁ? さっきの喫茶店で真冬ちゃんが春希くんを見る目は、そんな感じに見えたけどなぁ?」


「ち、違います! もう、怒りますよ渚さん!」


「あはは、ごめんごめん。学園の王女様って言われてる真冬ちゃんとこうやって話す機会が来るとは思ってなかったから、つい揶揄いたくなっちゃった」



 頬を膨らませながら、真冬はスタスタと歩き始めてしまう。穏やかな笑みを浮かべながら、渚も再び真冬の隣に並んで歩き出す。



「でも、私は嬉しいよ。春希くんが誰かとこうして関わろうとしているなんて初めてのことだから、なんだか羨ましくも思うな。きっと、誰にでも同じようなことをするとは思えないから。あの春希くんだからね」


「……私は渚さんの方が羨ましいです。いつもたくさんの友人たちに囲まれて、男女問わず信頼を置かれている。春希くんも、渚さんには心を開いているように見えました」


「そんなことないよ。私からしてみれば、学園の王女様と崇められている真冬ちゃんの方が……」


「……渚さん?」



 会話の最中、渚が急にぴたりと歩みを止める。そして、振り返った真冬に対して、渚は視線のみで合図を送った。

 その意図を瞬時に理解した真冬は、辺りを見渡す。しかし、夕方の住宅街には誰の姿も見当たらなかった。それでも、渚にはその不快な雰囲気が伝わっていたようだった。



「……今まで通り、気付かないフリをしてて。今みたいに、普段通りの話をして合わせてて。出来る?」


「……はい」


「……嫌らしい視線だね」



 先ほどまでの穏やかな微笑みとは打って変わり、吐き捨てるように鋭い視線を後方へと送る。真冬には感じ取れないストーカーの所在が、渚には感じ取ることが出来ていたようだった。

 渚からの耳打ちに、真冬は小さく頷く。そして、真冬は渚の護衛の元で、無事にマンションまでたどり着くことが出来たのだった。

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