その子、俺のくれよ” 見知らぬ男に、そう言われたらもう終わり!
”その子、俺にくれよ” 見知らぬ男に、そう言われたらもう終わり!”
・・・僕は子供の頃、見知らぬ男性にそう言われた。
僕には11個下に妹がいたのだが。
僕はずっと、”弟か? 妹が欲しかったから、妹がデキた時、僕が一番
家族の中で喜んでいたと思う!”
僕は物心つく頃から、”母親に兄妹が欲しい” とお願いしていた。
誕生日プレゼントも、クリスマスプレゼントも、ずっと兄妹が欲しいと
両親にお願いしていたのだ!
でも両親は? 僕がデキてから次の子供に恵まれず、何回か母親は流産
を繰り返していたらしい。
それでも僕は兄妹がほしくて両親に必死に頼んでいたんだ!
『”お願い! 僕に兄妹をちょうだい!”』
『・・・そ、それは、神様のみが決める事よ。』
『そうだぞ! ママを困らせるんじゃない!』
『まあまあ、パパ! 亜人も悪気があって言ってる訳じゃないんだし、
そこまで言わなくても、、、。』
『・・・で、でもママ、もう子供はデキないかもしれないって事を、
亜人にも分かってもらわないと!』
『”えぇ!? もう子供がデキないの?”』
『まだ決まった訳じゃないわ! まあ、赤ちゃんがデキにくいって
だけよ、もしかしたら? また赤ちゃんがデキるかもしれないしね。』
『マ、ママ、お願い! どうか僕に弟か? 妹をください!』
『・・・亜人、』
『”亜人もああ言ってるし、ママ! もう少し諦めずに頑張ってみるか。”』
『ううん、そうね!』
『パパママ、どうか僕に兄妹をください!』
『・・・・・・』
『分かったわ、頑張ってみるね!』
『でもダメだったら、諦めるんだぞ!』
『・・・うん、分かったよ。』
・・・そうやって、無事に1年後。
”僕に【妹】がデキたんだ!”
僕が11歳の時に、ママのお腹から産まれてきてくれた妹。
初めて妹を見た時、僕はママとパパに凄く感謝したんだよ。
あんなに嬉しかった事は未だにない!
僕は妹のオムツやお風呂にも入れていたし、本当に僕は妹が
可愛くて可愛くていつも傍に居た気がする。
少し大きくなった妹は、僕に懐いてくれて何処に行くにも僕の傍には
いつも妹が居たんだよ。
それに僕とは凄く歳も離れているから、僕は妹が可愛くて仕方なかった。
『ねえーにいにー!』
『うん? どうしたアンちゃん。』
『アンね! にいにー大好きー!』
『にいにーもアンが大好きだよ。』
『”大人になったらアンと結婚してね! にいにー!”』
『・・・ううん、にいにーもアンと結婚したいけど、兄妹は結婚
できないんだよ、ごめんね!』
『なんでーなんでー! イヤーアンはにいにーと結婚するのー!』
『ママ、アンにちゃんと説明して! 兄妹は結婚できないんだって事!』
『”アン、おいで~アンはにいにーとは結婚出来ないんだよ。』
『・・・なんで?』
『もう少し大きくなったら、ちゃんと意味が分かるからね。』
『ママ、適当過ぎない?』
『大丈夫! アンはちゃんと理解できる子よ。』
『うん!』
『・・・なら、いいんだけど。』
*
それから月日も流れ、僕が15歳になり妹が4歳の時、
あの見知らぬ男性が僕と妹の前に現れたんだ!
この男性は、僕の目をジッと見てこう言った。
『”その子、俺にくれよ”』
『えぇ!? な、何ってんだよ! やる訳ないだろう!』
『この子、俺にくれ!』
『やらない! さあ、行こうアン。』
『うん!』
僕は咄嗟にアンの手を取ってこの男性から離れようとしたら?
確かに僕は妹の手をギュッと握っていたのに、、、。
いつの間にか? アンは僕の横に居なくなっていた。
妹が居ないと思い直ぐにその男性が居た場所も見たんだが、
その男性も、もう居なかった。
僕は何が何だか、、、、?
一瞬で、”その男性と妹が居なくなっていたんだ!”
僕は直ぐにママに電話して、妹が居なくなった事を説明した。
その後、ママが警察に連絡してくれて妹を探してくれたんだけど、
もう見つかる事はなかった。
・・・今でも想っている事がある!
妹は確実にあの男性に何処かに連れて行かれた。
妹が居なくなって10年以上が経っても未だ僕は妹を探している。
もし? 妹が何処かで生きていたら、既に15歳になっていると思う!
中学3年生。
ただ、僕がちゃんと妹の手を握っていたら、、、?
あの男性に出会わなかったら、、、?
僕が妹の手を握って、妹から目を離さずにしていたら、、、?
ずっと僕の隣に妹が居たはずなのに、、、。
”どうか僕達、家族の元に妹を返ってほしい!”
あんなに僕がずっと望んで僕の妹になってくれたのに、
こんな事で僕は妹を失いたくない!
僕は絶対に諦めない!
妹はいつか、僕の所に戻って来ると信じてるんだ!
どんなに時間がかかっても、絶対に妹を探し出すんだ!
最後まで読んでいただいてありがとうございます。