最初で最後
「ばーかっ。 お前、頭大丈夫かよ! その問題はだな・・・。」
俺が説明し始めたのを、そいつは少し不満げな顔をしながらも、黙ってきいていた。
「あぁー、そういうことか。 ここをこっちの式に代入するのか。 気付かなかった。」
そいつは、女の子らしさのかけらもなく、ありがとう、の一言も言わずにうんうん頷きながらも一人、納得している。
俺は、勉強がてんでだめだ。
数学と社会は人に自慢できるほどいい成績をとっているが、他はだめ。
学年最下位をいつもうろちょろしている。
それに比べて、俺の隣で一人納得しちゃってるこいつは、ものすごく頭がいい。
俺が、コイツに勝てるのは数学だけ。
自慢の社会でさえ勝てない。
そいつは、しばらく納得すると。
「あ、他の人にも教えてくる。」
そう言って、その場を去る。
俺はそいつの後ろ姿をじっと眺めていた。
「ハァー。」
俺は、小さくため息をついた。
いらいらする。
むかつく。
そう思いながら、そいつの後ろ姿を目で追う。
そいつは、そいつの友達の机の前に立てひざをついて、楽しそうに話し始めた。
そして、友達に、俺がさっき教えてやった問題を解説し始めた。
・・・っっ。
ふざけるなっ!!!
勝手に、他の人に解き方を教えんなよ。
平均点あがるだろーがっ!!
そう思って俺はいらいらしていた。
つもりだけど、いつの日だろうか、気付いてしまったのだ。
俺自身の本音に・・・。
もちろん、今でも、いらいらするし、むかつく。
なんで、俺がこんなヤツと仲良くしてるんだっ!?
って、思う。
頭はいいけど、見た目は悪いし、体格もごっつい。
性格も、悪いとは言わなくても、いいとはいえない。
取り柄はその明るい性格・・・、と言いたいところだが、そこまで明るいやつでもない。
でも・・・。
でも、どうしようもなく好きなんだ。
・・・お前のことが。
であったのは高2のとき。
同じクラスだった。
そして、気付いたのは高3のはじめ。
クラスが変わったとき、気付いた。
いや、認めたと言うべきだろうか。
お前が、同じクラスにいなくて、さびしくて、物足りなくて、どうしようもなく逢いたくて・・・。
俺は、お前に恋をしていたのだ。
小学生の頃にも、好きな人ができたりしたことはあった。
けど、いつも俺は積極的だった。
だけど、今回のは違った。
自分で認めるのでさえ、億劫だったし、時間がかかった。
多分、これは・・・
・・・初恋、なんだ。
はじめて本気で誰かを好きになった。
はじめて、恋という名の感情を知った。
俺は、今まで、恋愛なんてくだらないものだと本気で思っていた。
そして、今も面倒な感情だと思う。
だって、お前のことが一日中気になって、何も手につかないんだから・・・。
諦めたい。
あいつは、俺のことを仲のいい友達とも思ってくれてはいない。
ただ、クラスが一緒だったってだけ。
仲がいいなんて、所詮俺の思い込み。
そんなの、分かってる。
わかってるよ・・・。
わかってる、よ。
この感情は、恋という名の、一時的な迷いの感情。
本気は本気。
でも、恋という感情事態が一時的なものなのだ。
それを、俺は知っている。
だから、さっさと冷めて、諦めてしまえば、それだけの話なのだ。
そう、告って振られて玉砕するでもいいし、勝手に諦めるでもいい。
諦めれば、終わりなのだ。
この感情は。
一時期の気の迷い、過ちなのだから。
・・・なのに。
・・・なのに、どうしてなのだろうか。
諦められない。
さっさと捨ててしまいたいはずの感情なのに、捨てられない。 諦められない。
そして、日に日に膨らんでいくのだ。
俺の中の思いは・・・。
なぜ、好きになったのかも分からない、たいした取り柄もない人間に、どうして俺はここまで夢中なのだろうか・・・。
好きで、好きで、たまらない。
どうしようもないほど好き。
それほどなのに、まだ、好きで・・・。
俺は、そいつと楽しそうに話しているやつを一目見る。
・・・むかつく。
ものすごく・・・。
多分、嫉妬なのだろう、これは。
我ながら、笑える、と、思う。
楽しく女同士でしゃべっているだけなのに、友達同士でしゃべっているはずなのに、嫉妬するなんて。
すきだよ。
大好きだよ。
この気持ちをお前に伝えるつもりは全くない。
お前はきっと戸惑うから。
それに、友達関係を止めたくない、から・・・。
この気持ちを伝えたら、もう、戻れない気がする。
でも、もし、お前が友達でいることさえ嫌だ、と言うなら、俺はおとなしく身を引く。
だから。
だから・・・ひとつだけ、許してほしい。
それ以外に願いはない。
だから、ひとつだけ、許してくれ。
お前のことを、思い続けていたいんだ。
俺の、最初で最後の恋よ・・・。
俺にとって、お前を好きになるのは、初恋で。
死ぬまで、お前のことを思う。
だから、これは、最後の恋なのだ・・・。
初の短編ですね。
ちょっと、気が向いたので書いてみましたが・・・。
すみません!!
すごく、文章が拙くって、ひどい!!
こんなものを読んだ下さった皆様、まことにありがとうございます。
もし、よろしければ、他の作品を見てやってください。
また、感想、というか、アドバイス。
あったら、お願いします!!
では。