表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
霧着栗鼠  作者: 伏見來
2/3

有波

 箱根スカイラインを北上していると霧がだんだんと濃くなってきた。今日は霧が出る予報だっただろうか。こんな時に運転とはほんとに僕はツイてない。普段なら飛ばしているところだったけど、この霧ばっかりはどうしようもない。気持ち速度を落として運転するとしよう。

「神奈川県箱根町に住む小学2年生の女子児童が行方不明になってから2週間が過ぎました。警察にはこれまで複数の情報が―――」

 ラジオを切る。最近は暗いニュースが多くて参る。暗い。…影?

 急ブレーキを踏む。勢いで体が前につんのめりそうになるがシートベルトに支えられる。シートベルトに触れている部分に力が集中して肉に食い込む。ほんとに痛いんだ、これが。一旦ハザードを焚いて前を見る。少し遠くに人らしき影が見える。こんなところで何を、文句を言いに行こう。

「ん?どこいった。」

 車を降りる一瞬で見失ってしまった。え、落ちた?まさかね。再び前に向き直ると車のハザードが見える。どうやら停まっているみたいだ。近づくと初老の男が車の前で屈んでいた。

「あんた、大丈夫?」

 初老の男は驚かされた猫みたいにビクついてこっちを見てきた。

「あぁ、えっと。なにか、車にぶつかったみたいで。」

「ぶつかった?人に?」

 さっきの人影はこのおっさんに轢かれた人か。

「あーと、いえいえ、きっと動物なんですよ。…ほら血もないし、なによりモノがないじゃないですか。ね?」

「はぁ?」

「と、とにかく失礼します。」

 初老の男はそそくさと車に戻ると勢いよく発進していった。

「なんなんだよ、あのおっさん。」

 クラクションが響く。いつのまにか後続車が来ていたらしい。運転手に身振り手振りで謝りながら車に戻り、走らせる。御殿場に帰ろう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ