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母親に見つかって大尋問大会。

「…………」

場所は移って、我が夏目家のリビング。

ダイニングテーブルに着席した俺と璃衣の向かいには、ニッコニコの俺の母親。


簡単にあらすじを説明すると、ようやく気持ちを伝え合っていいムードになり璃衣とキスしようとしていたところ、母親により発見。


上の兄2人と違って、今まで女の影がまったくなかった俺に彼女が居ると分かって、母さんはニマニマが止まらない……といった具合だろう。

質問したそうに、先ほどからうずうずしていた。


く、誰か俺を殺して。


俺の隣に座っている璃衣は、突然対面することになった俺の母親に、あわあわとしている。

当然だろう。

俺も璃衣のご両親にもし挨拶することがあったら、緊張で凄いことになってそうだし。


母親はニマニマしながら、俺を見る。

両手に頭を乗せて、じっと璃衣を観察した。口の端が上がってる。

それから、ちらっと俺に視線を寄越す。


「へぇー、今までぜーんぜん女子に靡かないと思ったら……アンタ、面食いね。この子、女優さん?レベル高すぎ」

「うるさい母さん。璃衣が綺麗なのもレベル高いのも同意ではあるが、俺は面食いじゃない」

「全然説得力ないわね〜」

「くっ」


違うもんです。俺はちゃんと璃衣の人柄と、可愛いところと可愛いところと……


あれ俺って、面食いなの?

確かに璃衣を彼女にしておいて、面食いではないと真っ向から否定するのは不可能かもしれぬ……。


何も言い返せない俺とニヤニヤしている母親。

その両者が睨み合っている間に、璃衣の動揺と緊張はさらにグレードアップした。

彼女は不安げな顔をして、声を上げた。


「あ、あの……っ、す、すみません勝手にお邪魔させていただいてて…!えっと、私、朝日くんとお付き合いさせていただいています、雪白璃衣と申しましゅ!」


あ、噛んだ。


璃衣は恥ずかしそうに顔を赤くして、肩を縮こませた。その小動物的可愛さたるや。

俺と母親は微笑ましくそれを眺めていた。

やはり親子である。


「璃衣ちゃん、て呼んでもいいかしら?」

「はいっ」

「ふふ、可愛いー。いいなぁ、私本当は娘が欲しかったのよぉ。なのに、息子3人でつまんなかったのー。3人目は流石に女の子だと思ったのに、結局男でねぇ」


おい、息子居るんだが。しかもその3人目なんですが。


「私は朝日の母で、夏目友佳と言います。よろしくね璃衣ちゃん」

「はいっ、と、友佳さん!」

「ふふ。お義母さん、って言ってもいいのよ〜?」

「ええっ」


璃衣はあたふた。

突然母親に返しにくいジョークを投げられ、璃衣はどう呼んだらいいのか悩んでいる様子だった。

色々とぶっこんでくるな。


「それで〜?2人はいつから付き合ってるのぉー?」

「………何で母さんに言わなきゃいけないんだ」

「あらー、つれないわねぇ。夕哉も、真昼も、私が訊いたら全部教えてくれるわよー?」

「あんなオープンな性格じゃないんだよ、俺は…」


陽の陽の陽の人たちだからあの2人。俺は上2人とは違うんです。あんな堂々とイチャイチャして、家族旅行に彼女と来る度胸が俺にありますかないです。


「ほっんとつれないわねー、いいわよ璃衣ちゃんに訊くから。アンタは熱あるんでしょ、早く部屋に帰りなさい」

「帰れるか。絶対璃衣に変なこと言うだろ」

「言わないわよー」


本当かよ。

俺はとにかく口の軽い母親を信用できずに、眉をひそめた。熱があろうがなんだろうがこの場を退場するつもりはなかったのだが、璃衣に腕をトントンと叩かれた。


「朝日くん。まだ治ってないんだから。友佳さんの言う通り、お部屋で安静にしてないと」

「…うっ」


正論パンチ。加えて、璃衣が体調がまだ回復していない俺を心配してくれているゆえの助言だったので、聞かないわけにはいかず。


「ほら、朝日くん。寝てなきゃ、駄目」

「……わ、分かった。でも璃衣、母さんの言うことは、適当だから。まともに信じちゃ駄目だからな」

「ええっ」


俺が璃衣の手を取って懇願するように言うと、璃衣は戸惑った顔をした。

「あらひどいわねー」と母親には不満そうに言われたが、この人の場合は前科がありすぎるので、これくらい言わせてもらう。


俺は璃衣によくよく言い聞かせて、自分の部屋へと戻った。実は結構、熱がぶり返してきていたので、母さんの提案自体はちょうど良かった。

理由は……言わずもがな。


ベッドに横たわると、つい10分ほど前までここで自分が何をしようとしていたかを思い出して、頰が熱くなった。


………キス、しようとしてた。


病人だからそんな雰囲気にならない、なんて全然嘘だった。

まったくの嘘だった。


見舞いに来てくれた璃衣を家に上げた時は、璃衣が訪ねてきてくれたのが嬉しくてそれで十分だったはずなのに……。

手料理まで食べさせてもらって。

ずっと欲しかった「好き」の言葉までもらえて。

次から次へと、欲が止まらなくなった。


今日一日でレベルアップしすぎ。

精神が追いつかない。


布団を頭から被って、悶々とした。

熱がおさまらない。どこがとは言わないけれど。


「あー………」


自分って、こんな欲張りだったのか。


すげぇ。

璃衣と付き合ってから見える世界、全然違う……。













ラスト2話です。

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