第98話 母の影響力がありすぎる
「珍しい武器はありますか?」
何故かピンポイントで、私のツボをいうリカルド様。私はどういう武器が好きだとは言っていませんわよ。
「かしこまりました。では、こちらの部屋で少々お待ちください」
そう言われ、控室であろう部屋に通されました。
そして既視感に襲われる室内。
母からダメ出しをされ、改善された革張りのソファー。磨かれた黒い石の重厚感があるテーブル。
これは小さいロイドが、足をすべらせて額を打ち付けたものと同じ作りですわね。それにより、真っ二つにテーブルが割れて母が使えないと怒っていましたわ。
そしてその黒い革張りのソファーに腰をおろします。そして頭を抱える私。
「ここにもお母様の気配が」
「聖女マリー様が、それだけこの国にとって偉大ということですね」
リカルド様は、そう言って私の隣に腰をおろしてきました。あ、聞きたいことがありました。
「私、変わった武器が好きだと言いましたか?」
武器好きというのは隠していたので、バレていないはずですのに。それに私は武器を使ったところを、リカルド様の前で見せていないはずです。
「先程のアルベント卿との話しからの予想ですね。オリハルコン製の武器など早々に手に入りませんからね」
手に入るのは難しいそうですが、すでに私は5つほど持っています。
その時、女性がカートを押しながら入ってきました。そして何故かガタガタと震えながら、お茶を出してくれています。
初めて会った人に、怯えられる理由がわかりませんわ。
「ごごごゆっくりししししていってくださいませ」
めっちゃカミカミで、言われてしまいました!
「あの?」
「ひっ!」
「私、何かしてしまいましたか?」
「いいいいえ、以前……聖女様が……いらしたときに……少々……粗相を……しししつれいいたしました!」
慌てて出ていく女性。
母はいったい何をしたのでしょう?
やはり、大勢の従業員に出迎えられるって、どう考えてもおかしいですわよね。
「お母様は何をしたのでしょう? そもそもお母様は武器を持ちませんのに」
母は私と同じで武器を持って戦う人ではありません。いいえ、私は武器が使えないわけではないのですが、ある理由から武器を持って戦うことをしなくなったのです。
「それは、るーたんが聞いてきた」
「うきゃ!」
突然ルシア様の声が聞こえてきました。幻聴かと恐る恐る後ろを振り返ると、メイド服を着たルシア様が立っているではないですか!
「ルシア様……ルシア先輩……が、なぜここにいるのですか?」
「るーたんは言ったはず、隠れてついて行くと」
誰も皇女様が、本気で実行するなんて思っていませんわよ!




