第97話 武器を扱う令嬢ってドン引きですよね
「まさかイーリアが武器に興味があるとはわかりませんでしたよ」
祖父に婚約発表の場に来てもらうことを取り付けたリカルド様は、馬車の中で機嫌よく聞いてきました。
「……いいえ。そういうわけでは……」
私は歯切れの悪く答えます。これは令嬢として駄目なのはわかっています。
姉の婚約者……今の旦那様に会ったときに思い知らされてしまいましたもの。
姉の婚約者であったグラナード辺境伯領は、豪快な方で笑っておられたのです。しかし、周りのおつきの方々が、姉の槍さばきを見て、ドン引きでした。
あれを見せられて、伯爵令嬢がブンブンと武器を振り回すのは駄目なのだと知りました。
ですから、私が変わった武器をコレクションしているのは、家族と祖父と元聖騎士の使用人たちしかしりません。
「宝石もドレスも特に反応を示さなかったので、どうしたものかと思っていたのです」
確かに私は今流行りのものとかには興味が湧きませんが、知らないわけではありません。
貴族の令嬢の一般知識として、その辺りの情報は仕入れるようにしています。
ええ、母の特注品を持ってくる商人にです。
『最新の流行りですか? これから今日納品した「キリコ」というガラスコップが流行りますね』
『これはお母様の趣味ですわよね』
『ははははは』
という感じです。
しかし、今日わかりました。
母が売り出したい商品を、流行りだと売り出しているということですわよね。
「今から見に行ってみますか?」
「え?」
「イーリアの好みの武器があればいいですね」
まさか、武器屋に今から行くと言っています? ドン引きされていないのですか?
そして、私は王都一と言われている武器屋に来ています。
先程のマリー商会と同じ雰囲気のお店でした。
ええ、いい意味でも悪い意味でもです。
「ようこそお越しくださいました。アルベント伯爵令嬢様」
従業員総出で出迎えていませんかと問いたくなるように、広い玄関ホールに整列しているお店の人たち。
なんですか? この対応は?
「この度はどのようなモノをご所望でしょうか?」
そして、ここラベニア商会のオーナーという方が、わざわざ店の表にまででてきています。
この対応が普通なのですか?
絶対にそうではないですわよね。
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(あらすじ)
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春の暖かい日のお茶会で公爵令嬢である『祝福の聖女』エリザベートは、堂々と私の元婚約者に腕をからめながら言ってきたのです。
婚約破棄された私に。エリザベートに毎回絡まれる私に。毎日汚水の浄化をしている私に。
もふもふの癒しがあってもいいではないですか。
なぜ癒しのもふもふが、隣国の皇子っぽい人になっているのですか!
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