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第82話 話がおかしな方向にいっています

「イーリア……防具をつけていないから、横腹を殴るのはやめようか」


 私は剣を父に押し付けながら、左手で横腹を殴りつけていました。


「利き手ではないので、大丈夫ですよね?」


 やめようと言った父は、一瞬で回復してしまいました。やはり利き手の右手で、殴りつけるべきだったかしら?


「それで、私のことをアドラディオーネ公爵に何とおっしゃったのか聞いてもいいですか? 私、解雇されかけているのですが?」

「えー? 変なことは言っていないよ? イーリアの取扱方法って聞かれたのだけど、頑張ったら良い子良い子と褒めてあげるといいよって」


 ……確かにちょっとしたことで、父から褒められた記憶があります。ついでに頭がもげるかと思うぐらいに撫でられた記憶もあります。


「あとは、マリーと同じぐらいに魔法を使えるから、大抵のことは問題ないとか……」


 ん?


「イーリアに何かあると、マリーが飛んでいくから大丈夫だよ、ぐらいしか言っていないよ」


 ……父としては真面目に答えていた。母仕様の魔法を使えることも事実ですし、魔の森(サランディゼロ)で怪我をして動けなくなった時は母が父を引っ張って迎えに来てくれました。


 これは受け取る側の公爵様の問題ですわ。

 お母様に対して、何か思うことがある公爵様のです。


 恐らく、お母様が来るというところに、反応されたと思われます。


 私は父から剣を引き、後ろを振り返ってロイドに返します。


「ああ! 公爵がマリーを怒らせたときのように身長のことを言うと、ブチギレるから、絶対に言ったら駄目だよとは言ったかな。子供みたいな身長だねって」

「は?」


 父の方に視線を戻しつつ、思いっきり右手の拳を振るいます。

 子供みたいな身長って何ですか!


「っ……言ったのは、マリーに初めて会ったとき公爵だよ」

「ちっ!」


 右手をおもいっきり、父の脇腹に向けてに叩きつけようと振るったのですが、防御されてしまいました。


 腕をさすりながら言い訳をする父。


「あと、マルメイヤー公爵の件だけど、王家は手を出すことに決めたのかな?」

「どういう意味ですか?」

「ほら。本来であれば王になっていたマルメイヤー公爵に、国王は気を使っているよね?」

「は? 初耳ですが?」


 本来の王は、マルメイヤー公爵だった? おかしくないですか?

 先代の王の末弟がマルメイヤー公爵で、陛下は先代の王の長子です。


「あー……今の子たちは知らないのかぁ。エリアーナも怒っていたしなぁ」

「何処からお姉様が、怒ることがでてくるのです」

「ほら、マルメイヤー公爵領って、街道の中心だよね?そこを通らないと王都に行くには遠回り」


 マルメイヤー公爵領の街道は全て平地ですが、それ以外のところを通ろうと思えば山道になります。


「マリーの所為で、関税が三倍になっていることに怒っていたね」

「三倍にですか? それはアルベント伯爵領の荷に対してですか?」

「そうだね。まぁ、仕方がないのもあるから受け入れているよ」


 流石に三倍の関税は高いです。仕方がないではすみません。


「マリーが、腹いせに当時王弟だったマルメイヤー公爵の片目を、潰してしまったのだからね」


 これは母が、今回の事のきっかけだと言えなくもありません。王になれる条件が、心身ともに欠損が無いことなのです。


「あれ? お父様が、治療すればよかったのではないのですか?」

「はははは。流石に邪神を復活させようとしていた王弟に正義はないからね」


 ……ちょっと、おかしな流れになってきました。もしかして母が聖女として成したことに誰もが口を噤んでいるのは、王弟だったマルメイヤー公爵が絡んでいるからなのですか?


「お父様、理解不能になってきたので、お母様を交えて、話してください」

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