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第81話 お父様!何を言ったのですか!

「お嬢様、この流れからいくと私は解雇ということですか?」


 どう考えても、私を解雇するという話の流れですわよね?

 どうしましょう?

 第一王子の婚約者という立場が、とても危険だということで、婚約を避けていたお嬢様のために色々動いていましたのに。

 役立たず過ぎて解雇ですか!


「あ……違うのよ? ほら? この前の襲撃事件があったでしょう?」


 はい。失礼な馬鹿王子を殴ったら、丁度その時に毒矢が飛んできたという偶然が重なってしまった事件ですね。


「お父様にその話をしたらね。イーリアをランドルフ殿下の側につけたほうがいいのではと、おっしゃったのよ」

「え? 私はお嬢様のお側についていたいです」

「うーん? 私もイーリアが側にいてくれたほうがいいのだけど」

「お嬢様!」


 アリアお嬢様の嬉しい言葉に思わず、声を上げてしまいました。はしたなかったですわ。


「お父様が、アルベント伯爵とこっそり連絡をとっているのを聞いてしまったの」


 父と公爵様が? 確かに遠縁ではありますので、何かしら繋がりはあるでしょう。ですが、個別に連絡を取っていたとは知りませんでしたわ。


「イーリアの取扱方法は、どうすべきなのかと」

「ん? 私の取扱方法?」

「私もよくわからないのだけど、お父様と聖女様の間で何かあったのだと、お母様から聞いたのよ」


 確かに、最初にお会いしたときは公爵様は挙動不審者の様相でしたわね。

 お母様の名を出すので、会いたいのかと尋ねましたら、全否定されましたものね。


「私からはアルベント伯爵様のお声が聞き取れなかったの。だけどその後にお父様の悲鳴が聞こえたから、とんでもないことを言われたのだと思いますの」


 ……父は何を言ったのですか? お陰で、私は解雇されかけているのですけど?


「アリアお嬢様。少々お側を離れます」


 そう言って私は、実家に転移をしたのでした。




「あら? また戻ってきたの?」

「お母様。お父様はどちらに?」


 この前戻ってきたばかりなのに、また戻ってきたのかと言わんばかりの母に父の所在を尋ねます。


「ロイドに剣の稽古をつけているわね」

「そうですか」


 訓練場にいるのですか。私は屋敷の中を早足で通り抜け屋外に出ていきます。


「お……イーリアお嬢様いつお戻りで?」

「今よ。すぐに戻るわ」


 使用人の一人が、驚いたように声をかけてきました。


「そうですか。昨日はエリアーナお嬢様もお戻りでしたので、何かあったのかと……」

「お姉様が?」

「はい、すごい剣幕で団長……旦那様に詰め寄っておられました」


 嫁いた姉ですが、何かあるたびに顔を見せているので、きっと大したことではないと思うのです。


 そして、何もないむき出した土が広がっている中央に父とロイドの姿が見えました。ロイドは八歳という年齢ですが、バスターソードを扱っています。


 しかし片手では持てず、両手剣のように扱っていますわね。


 そのロイドの背後から近づきます。そして、父に向って振り上げる剣をロイドから奪い取りました。


「あっ! ……お姉様! おかえりなさいませ!」


 私に剣を取られたにも関わらず喜ぶロイド。背後にも、気を向けないといけませんよ。


「イーリア。どうしたのかな? マリーは家にいると思うよ?」


 ニコニコと笑みを浮かべる父に向って、剣を突きつけます。


「おや?」


 軽々と受け止める父。

 私では、剣で父に敵わないことぐらいわかっていますわよ。

 しかし、そのまま剣を押し付けるように近づきます。


「お父様。アドラディオーネ公爵様に何をおっしゃったのか。このイーリアに教えていただけませんか?」

「うっ!」


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