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第74話 古城への侵入

 全く情報が入ってこないことにうなだれている私に、雪混じりの風が吹き付けます。

 暗闇の中、うっすらと浮かび上がる古城を上から見下ろしました。

 その視界には見慣れない白い髪が映り込んでいます。カツラって案外邪魔なものですわね。


 どうも、年末にはそのことが決まっていたらしく、リカルド様としてはアドラディオーネ公爵から連絡がいっているだろうと思っていたらしいです。


 公爵様!全然私の耳には入っていませんわよ。……いいえ、その時点では私の婚約は伏せられていました。

 ですが!アリアお嬢様の婚約発表時期ぐらいの情報は、私に下ろしてくださっても良かったのではないのですか!


「はぁ……結界を張っているから寒くはないけど、心が重い」


 そして私の目の前には、吹きすさぶ風にも負けず飛んている黒い蝶がいます。流石に魔鳥が室内で飛んでいると悪目立ちしますからね。

 魔法を唱え直して、蝶に道案内をするようにしました。


 ゆっくりと古城に向って降りていきます。


 城の見張り台もありますが、誰もいません。


 その昔は使われていたのでしょう。その王女様がいた時代には。


 見張り台の上に降り立ち、黒い蝶の動きに注視します。更に下に向かおうとしていますので、一旦地面に降りてから城の中に入った方がよろしいわね。


 リカルド様が言うには、城というのは複雑な構造をしているので、中に入って行動するのは少ない方がいいとのことでした。

 おそらく帰り道がわからなくなるということなのでしょう。


 地面に降り立ちましたが、蝶は更に下に向かおうと地面に止まってしまいました。地下ですか。


 これは中に侵入して地下への入口を探さなければなりません。

 とりあえず、見張り台の塔に入る扉を開けます。


 暗いですわ。


 暗闇で何も見えないため、青白い光をともし、中を照らしました。


 右側に見張りの者が控える場所なのか扉が見えます。正面には上に登る階段。そして階段の横には暗闇に満たされた穴。


 こんなところに、地下への入口があるではないですか!


「おい! こんなところで何をしている!」


 私が地下への入口を見つけたところで背後から声をかけられてしまいました。


 私はゆっくりと声をかけた者に向って振り向きます。


 そしてカクンと首を横に倒して尋ねました。


『あなたこそ、だあれ?ここはわたくしの城』


 青白い光に浮かび上がる古風なドレスを着た少女。それが宙に浮いている。容姿は白い長い髪に覆われていて確認できない。


『もしかして、わたくしと遊んでくれる者?』


 私はすーっと声をかけた者に近づいていきます。が、何も反応が返ってきません。


 よく見ると、立ったまま白目を剥いて気絶をしていました。そして何やら不快な匂いまで漂ってきます。


 下を見ると水たまりが出来ており、思わず眉を潜めてしまいました。

 大の大人が情けない有り様。誰かに見つけられた日には闇歴史になるでしょうね。

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